横溝正史作品

2017年1月31日 (火)

年初めのHEROⅢ

 と、云う訳で…
 先日、中国系の動画サイトでやっと昨年BSプレミアムで放映された『横溝正史短編集 金田一耕助登場』全3話を確認した
 初期作品の短・中篇を30分でドラマ化、と云う結構珍しい仕立てで、金田一役は池松壮亮と云う俳優であるが、カナリ『原作に忠実』と云う話であった
 見てみたが…金田一が小汚いorz
 冴えない感じで悪い意味で中肉中背(中途半端に背丈が合って痩せ気味)、ドモリ癖が有り一見頼りない…と云う描写・評価のされる金田一だが、別に汚くある必要は無いんだがなぁ…
 今回の3作、『黒蘭姫』『殺人鬼』『百日紅の下にて』は全て角川文庫版の短編集『殺人鬼』に収録されている
 Kindleで角川セールをやってた際に購入済なので、近々中に読もうと思っていたのだが…坂口安吾が思いの他、時間が掛かって仕舞って

 まぁ資料としても良い物が手に入った、と云う事で

 さて、今週末は久しぶりにBar HEROⅢに行った
 最近、2ヶ月に1回くらいのペースで行っており、毎奇数月に時間を作って行っている

 今月も行こうゝと思いながらもナンかタイミングを外して仕舞い…気付けば最後の週末になって仕舞った
 と、云う訳で火曜日に店に電話する…行った時に既に予約席で一杯…とか、目も当てられないので、未然に防ぐ為だ
 まぁソンな心配は無く、普通に席は確保出来たのだが

 その後平日は普通に仕事だし、何も特別な事は起きなかった訳だが
 金曜日、毎回の外食だが、今週は『バッタもん』で食す予定だった
 まぁ此方は月に2・3回(隔週)で行っているので、ソレナリに見知った顔も増えて来る
 適当に常連仲間と云える人とも駄弁りながら食事等して…帰る際に今回初めて同席(ってか私は毎回カウンターなのだが)した常連さんが中古バイク屋を経営してる人らしく、単車談義に花が咲いたのだが、コレが不味かったwww
 閉店時間を過ぎたので、急いで帰ったら『間が持たなかった場合に読む積もりだった』Kindleを店に置き忘れて仕舞ったのだ
 気付いたのは既に日比谷線三ノ輪駅の脇を通り過ぎた時…遅過ぎだ
 帰宅して取り敢えず店に電話したのだが、流石に閉店後直ぐに引き払ったのか誰も店に居ない
 仕方が無いので、その晩は諦めて夜を明かした

 空けて土曜日だが、この日は事前にHEROⅢに予約をした日なので、ソレを優先する
 土曜日の午前中は恒例の歯科治療…先週に左奥上下義歯用の型を取ったのだが、義歯製作は中1週間と云う事でまだ出来ていなかった故に歯科衛生士の歯磨き講座や口内衛生に関する指導を受けたのだが…の後、合羽橋に毎食食べている食物繊維の為のドレッシングを購入しに行き、昼食後は1~2時間休息を取り3時頃に出掛ける準備をして出発した
 で、歯科治療だが、待ち時間は何時もKindleを使って読書しているのだが、上記の通り手元に無い…で、紙の本を持ったのだが、先日発売された『落第騎士の英雄譚』11巻…読み始めたら、アレ? 10巻の続きらしいが、読んだ記憶が無い…
 治療を終えて自室で調べた所、10巻買い忘れてたよ…orz
 コレは秋葉原で買う必要があるのだが、取り敢えず昼食前の外出は、気を取り直して合羽橋に行く
 ドレッシングを購入しに行った訳だが、併せて行き付けの食品サンプル屋で駄弁る…ソコで、『合羽橋には季節感が有る(ってか、サンプル屋は季節感先取りでないとイケナイ訳で)』と云った話になり、今現在は鍋材のサンプルは売り切れて、恵方巻やバレンタイン用のサンプルがメインになるとか…で『バレンタインで洒落て見よう』とアーモンドチョコのネクタイピンも購入する展開に…まぁ良いけどね

 さて、昼食後、時間調整の意味も含めて15時頃まで休憩した後の話
 拙宅から中野に向かうには幾つか方法がある
 自転車…は片道13Km少々有り、不可能では無いと思うが真夜中までBarで駄弁ってその後に1時間以上自転車漕いで帰宅は勘弁して欲しい
 単車…は前に1回やったが、あの周辺は単車ですら駐車場所が無いに等しい
 結局電車…となるのだが、中野駅に向かう方法がやはり数種類
 メトロで茅場町乗換え…最寄駅の一つは日比谷線三ノ輪なので、この方法が一番安い
 もう一つの最寄である南千住からJRで上野・東京乗換え…一見安そうだが、回り道である分、上記メトロの方が安い
 そして自転車で秋葉原まで出てJR…実はコレが実現可能な中で一番安い
(まぁ起点が既に『自宅最寄』では無いのだから当然なのだが)
 と、云う事で、上記の通り秋葉原で買う物(『落第騎士~』の10巻)も有る事だし、とコレにする
 で、先日来、自転車の性能が格段に上がったので秋葉原に行く程度では然したる運動にならない、と自己判断し、秋葉原に行く際は一度秋葉原を通り越して日本橋(東京駅近く)まで行き、秋葉原に戻る…と云う方法を取っている
 今回もソレに併せて一旦日本橋へ…そのまま戻って秋葉原に駐輪して、取り敢えずまんだらけに向かう
 HEROⅢに行く時はナンか手土産…と物色するのが恒例(別に個人的にやってるだけで、そんな入店規則は無いwww)としており、場合によっては合羽橋で購入したタイピンでもアリかな…とは思っていたが、だらけに良い物が有ればソレでも良いか、と
 で、秋葉原店では特にめぼしい物は見当たらず、とらのあなで上記『落第騎士~』10巻と、フと目に付いた『亜人ちゃんは語りたい』の原作漫画1~2巻を購入して電車に乗った
 自転車で遠回りをした事、だらけで時間を潰した事で1時間少々、16時過ぎに電車に乗って中野着が17時前、基本的に食事が出ない(店内にガスが引かれてないから)Barなので、事前に食事を取った方が良いのだが、最近は体重が70Kgを切る事が増えた(今月の平均体重が70.1Kg)ので、そんな自分に御褒美と回転寿司に入る…まぁ資金面での御褒美ってより、少々ガツッと食うぞの御褒美と云う事でww
 ちなみに電車に乗車前、開店時間より前では有るが『バッタもん』に電話してKindleを忘れた事、土曜は既に中野に席を取ってるので、日曜に取りに行く事を依頼して、了解を戴いた
 食後に中野のまんだらけに…すると、以前一度見掛けて買わずに居たら他に買われて仕舞ったのか、その後見付からなかったバリブルーン(前期ゴレンジャーでアオレンジャーが操縦する支援メカ、後期はVer.UPしてバリドリーンとなった)の完成品模型が有ったので、コレを購入、手土産にする事にした
(タイピンはバレンタイン用なので、当初の予定通り自分で使う)

 さて、手土産も持ったし時間も適当に良くなったので、HEROⅢに
 店に付くと丁度看板に電灯が点いてマスターがドアマークをクローズからオープンに変える所だったので、そのまま入店
 新年の挨拶(ってまぁ一応今年最初だしwww)をして手土産を渡して注文…取り合えず此処で馴染みになったジンジャエールの辛口を注文
 この店はマスターがかのヒーロー、宮内洋氏の御子息な(その縁で私が行く様になった)訳だが、マスター御自身は特撮よりもアニメ・ギャルゲ寄りの趣味に精通されており、結構古い話にも付いて来る造詣の深さも有り、話していて面白い
(故に1・2回の来店で済まさずに適当に開けてはいるが、定期的に通っているのだが)
 途中、店に来た他の客(今回は、普通にカクテルを楽しみに来た人や御近所さんは来ず、特撮系が好きな人(に連れて来られた、マスターの素性を知らなかった人)ばかりであった)とも若干話をしながらノンアルカクテル2杯とジンジャエール辛口2杯で0時直前にチェック
 中野駅→御茶ノ水乗換えで秋葉原に着き自転車を回収、帰宅した

 日曜は…まぁ疲れてはいたが、折角の天気の良い日曜日なので、やはり自転車で自宅→日本橋→秋葉原と移動し『亜人ちゃん~』の3~4巻(1~2巻は帰宅後に読んだ…話は若干のアレンジは有るがTVは確かに原作に結構忠実に話を作っている…絵柄は、アニメから入ると原作の絵が少々物足りない感じが有ると思うが…その辺は許容範囲内である)を購入する積りがあったので、敢えて昨日と同じコースで走っておく
 あなで『亜人ちゃん~』を購入したらそのまま御徒町のガストで茶をシバキながら『落第騎士~』の続きを読み耽る

 10巻のほぼ真ん中に来た辺りで16時半になったので、店を出て帰宅
 ガンダムを視聴して単車に跨り一路『バッタもん』へ
 店では『家で家族が飯作って待ってるから』と忘れ物を回収するだけで帰宅、サザエさんの途中で家に着いたので、着替えてそのまま夕食+TV鑑賞…と、普段の日曜日に戻った
 まぁ折角Kindleが帰って来たが『落第騎士~』が2冊連続で話が続いており、前巻の真ん中まで読んでしまったので、当面はコレを読む事になると思う
 来月には『ゼロの使い魔』最終巻が発売予定だし、Kindleの出番はチト先になるかも知れない
 ただ、先日調べた所、Arcadiaで『幼女戦記』の原作小説(WEB版)は未だ掲載されている(出版社の承諾済…当然、編集が入る分、市販されている書籍版の方が文章が洗練されていると思うが、当面はコレで良い)様なので、コレも後でKindleに入れておこうかと思うが

 さて、取り合えずコンな所か…
 冒頭にある金田一だが、『黒蘭姫』『百日紅の下にて』は基本的にドラマ化されてなかったと思うが『殺人鬼』は古谷一行2時間ドラマ版が有るので、比較するのも良いかも知れない
 古谷版では、所謂『私』と云う人物が省略され、金田一が解決する探偵と事件に巻き込まれる『私』の一人二役…とでも云うか、両方の役ドコロに回っているが、何故時間的に余裕の有る(30分ドラマと2時間ドラマだしねぇ)古谷版でソンな無駄な改編したか…まぁ民放(2時間ドラマはTBS系)とBSプレミアム(NHK)の差と云えばそうかも知れないのだが…

 次回は何書くかな…
 毎度ネタが無いので、ナンか探してwww
 ソレまで皆様、御多幸を^^

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2016年10月11日 (火)

悪霊島(ネタバレ多数)

 やっと悪霊島のレポが出来るwww
 手持ちの資料を全部再確認する為に結構手間取った…まぁアニメ見てたり結構寄り道してるんだがwww

 さて、悪霊島…横溝正史の絶筆であり、構想はまだ続いたとされているが、金田一シリーズの最終作である
 雑誌連載終了後直ぐに映画(鹿賀版)が製作開始され、翌年公開、その2ヶ月後に横溝氏が永眠された
 上下巻の作品だが、同じく上下巻である『病院坂~』と違い、解決までに何十年と時間を空けた作品では無い
 まぁ事件の舞台が昭和42年(原作)なので、既に金田一は50歳を超えて(設定では生年は大正2年)おり、ソレから数年掛けて1つの事件を追う様な体力は無いだろうwww

 さて、ネタバレに入る前に今回比較する作品群を列挙する

劇場映画
 1981年 金田一:鹿賀丈史、監督:篠田正浩(上映時間131分)

TVドラマ
 1991年 金田一:片岡鶴太郎(2時間半ドラマ)
 1999年 金田一:古谷一行(2時間ドラマ)

 流石に横溝氏晩年の作だけにメディア化が少なく、コレで映像化は全部である
 漫画は今回取り上げる、私が先日購入出来たJET作、他にもたまいまきこや作画:前田俊夫・構成:橋本一郎と云った諸氏が漫画化しているらしい…たまい版は読んでみたいんだが…電子書籍で良いから読めないかなぁ…

 さて、コレから本格的な比較に入る
 対象は原作・鹿賀版・鶴太郎版・古谷版・JET版の5作である
(鶴太郎版を片岡版としないのは、私は1作も見た事は無いが、片岡千恵蔵も金田一を演じているからであって、他意は無い)
 では、取り敢えず数行空けてから本題に入ろう





 さて、先ず舞台だが、原作では上記の通り昭和42年の6月後半に金田一は岡山に来ているのだが、島には渡らずにウダウダして、結局島に渡ったのは7月に入ってからで、事件の全てが解決したのは7月14日だったと思う
 場所は岡山県の瀬戸内にある島の一つである刑部島、下津井(倉敷市の漁港)から船が出てると云う事だから、中央西よりの辺りだと思われる
 余談だが、倉敷の直ぐ北が総社であり、八つ墓村はじめ幾つかの岡山編で登場した乗換駅があるとされている
 鹿賀版は最初のシーンは昭和55年、ジョン・レノンの訃報を、成長してTV局勤めになった三津木五郎が知る所から始まり、11年前を回想する事から事件の舞台に移る…つまり、事件は昭和44年に起きている
 場所も広島県となっており、刑部島と云う離島が舞台なのは間違いないが、原作よりも更に西に設定されている
 原作では岡山県警の警部である磯川も、この映画では広島県警の警部となっている
 また、上記の通りジョン・レノンの訃報から回想するので、鹿賀版では五郎が事件に関する印象として、ビートルズが切り離せないのだろう、初来日は昭和41年の筈なので、別に42年のままで良かったのに、何故44年にしたのかが不明である
(しかも、BGMで使われたビートルズの楽曲は『Get back』と『Let it be』って…両方ともポールの歌で、ジョンと関連付けるのはねぇ…)
 鶴太郎版は昭和28年7月と明記されている、場所は原作と同じく岡山側の離島であり、本土側には下津井の地名も出ている
 事件の発端として青木修三の今際の際に口にした言葉を旅行者がテープレコーダーに録音していた事で始まるのだが、東京通信工業(後のSONY)が国産初のテープレコーダー『テープコーダーG型』を作ったのが昭和25年、持ち歩き可能な様に木製トランク型ケースに入れたH型が翌26年発売なので、この年代にしたのだろうと思われる
 古谷版では時代設定に明示が無い…しかし、交わされる会話等から昭和36年前後(刑部真帆の生年が昭和16年、コレを20年前と称している)と推察される
 場所は岡山県下津井の地名が明示され、ソコから離島(刑部島)に渡って事件が展開する
 JET版では原作に近いが昭和42年7月に岡山入りをしている…コッチの金田一はグズグズせずに直ぐ島に渡っているので、事件の本番は原作に近い日程の筈である
 やはり原作通り54歳の金田一…と云うのは演じるのは難しい(特に、今回は金田一も命の危険が有った話だしねぇ…)のだと思うが、全体的に年代を前倒しにしている
 更に、役者の都合を考えない漫画版でも結構若く描かれている
(尤も、原作でも金田一は若い頃から年齢不詳に見える様に書かれているが、晩年の作品では逆に60に届いた筈の『病院坂~(下)』でも30台で通る様な形容をされているが…)
 まぁ『金田一=昭和中期』が暗黙の了解で、昭和40年以降に『金田一耕助が活躍していた』と云う事を本能的に忌避していたのかも知れないがwww
(まぁ事実、昭和40年以降に金田一が活躍する話は本作と『病院坂~』の下巻だけなのだが)

 金田一の来島動機であるが、原作ではシッカリ仕事である
 最初に瀕死で発見された青木修三と云う男は、今回の依頼人である越智竜平の秘書であり、身分を隠して島での竜平の評判等を確認する役目を負っていた
 しかし、コレが音信不通となったので調査…と云う依頼だったのだが、実際調査開始直後に死亡が確認された為、死因や他殺の場合は犯人を調査する様追加依頼がされている
 鹿賀版・JET版では、その点は原作と同じとなっている
 鶴太郎版では完全に休養で来ている事になっている
 鶴太郎版はシリーズが9作作られているが、その2作目が本作で、前作が獄門島(この時点で順番とか色々オカしい)…この事件の関係で、瀬戸内の島で休むのが好きになっていた、と自ら説明している…島に向かう船で青木が海に浮いているのが見付かり、事件に関わっていく
(磯川担当の事件にも巻き込まれるのだが)
 古谷版では、原作では磯川に来ている筈の浅井はるからの手紙が金田一に来ており、その依頼の為に岡山に来ている
 原作と同じく、浅井の家に着くと、既に浅井は殺されており、その犯人を見付けるべく島に渡る
 こう書くとナンか凄い格好良い探偵に見えるのだが、普通に考えれば金田一はイキナリ手紙を送られてきたから来ただけであり、死体と対面したって別に生前ナンの約束も交わしていない、本当に見ず知らずの老婆である…別に犯人探しに乗り出す必要も義理もナンにも無い
 警察に届けたのだから、義務も果たしており、誰からの依頼も受けてないので、報酬も出ない…趣味で探偵してる訳ぢゃ無いんだからさ…ソレで飯食ってんだろ?
(最終的に、河合(古谷版の磯川に該当するシリーズレギュラー)から調査経費は貰っているが、事件解決の報酬(何故か警察から報酬が出た様で…公僕の経理はどうなってるかね?www)は河合に返している…当面の食い物として干し芋だけは箱単位で貰っていたがwww)

 登場人物としては基本的に幾つか分類される
 刑部一族としては大善と姪の巴、巴の入り婿で神社神主の守衛、巴の娘の真帆と片帆(双子)、端役だが島の村長も刑部の血縁である
 越智は島で昔からの網元をやっていたが、網元制度が無くなり、単なる顔役程度になっており、刑部一族の下に見られている
 そんな中、アメリカに渡って財を成した本家嫡男の竜平、竜平の姉の多年子、従兄弟だが竜平が巴と駆け落ちした際に刑部側に付き、以来、刑部神社の下男をしている吉太郎、血縁では無いが竜平の秘書が物語最初の犠牲者:青木修三と、島での事業を竜平の名代で取り仕切っている松本克子が居る
 他、過去に父親がこの島周辺で消息を絶ったと云う薬売りの荒木定吉、同じく若頭領を島周辺で消息不明にした神楽太夫の一座、最後に自分の『本当の両親』を探しに来た若者である三津木五郎辺りがメインの登場人物か
 基本、鹿賀版・JET版では、ほぼ全員が登場している
 ただ、鹿賀版ではオリジナルキャラとして、巴の双子の姉『ふぶき』が存在している事になっている
 鶴太郎版でも、これらの人間は、比重が非常に軽くなった存在は有るモノの、取り敢えず登場していると思って良い
 ただし、三津木五郎は三津木五十子と名・性別が変わり、シリーズレギュラーの牧瀬里穂が演じている
 古谷版は…此処辺りから変わってくるんだなwww
 実は古谷版は以前紹介したつのだじろう版手毬唄程では無いのだが、結構話が違っている…被害者や犯人は同じなのだが、ソコに至る経緯がカナリ変わっている
 刑部一族では、先ず片帆が居らず真帆は一人娘として育てられている
 越智では松本克子の位置に越智勝子と云う別の血縁が入り、更に多年子は貰い子として血縁の無い男を育てており、竜平の義理の甥になるその男は拓郎と云うオリジナルキャラである
 更に吉太郎は竜平の従兄弟でもナンでもなく、ただ島出身の前科モノを巴が重宝したから懐いてるだけ、と云う設定になっている
 更に古谷版では三津木姓の登場人物が削除されている…物語で重要なキャラなのに削ってる辺り、その改編具合が判ると云うモノだろうwww

 さて次に被害者だが、発覚順で云えば原作では青木修三・浅井はる・刑部守衛・刑部片帆・妹尾松若(神楽太夫)・荒木清吉(定吉の父)・山城太市(昭和36年頃に島周辺で行方不明になった人形遣い)・越智吉太郎・刑部巴(ただし、遺体は発見されず)の9人である
 過去の話として、巴が真帆・片帆の前に産んだ子が死んでいるが、コレの話は後にする
 鹿賀版では、山城が存在せず、若松と清吉だけが過去に殺されている事になっており、巴は事故死、事件の解決時に大善が自害している
 鶴太郎版でも、やはり山城が存在しておらず、若松と清吉だけが過去に殺されている、後は基本、死人は同じである
 古谷版は、吉太郎は死んでいない…神楽太夫は若松では無く、更にその父である四郎兵衛となっており、片穂・荒木は存在しておらず、山城も当然の様に省略されている…ただ、半オリキャラの勝子が殺されている
 JET版でも山城は名も出ずに『人形遣い』とだけ描かれ、他の行方不明被害者の遺体と一緒に骨だけ描かれている程度(実際、原作でも山城については、取って付けた様に『実はもう1人、過去に行方不明の男が届けられていて…』と調べたら殺されてる事が判った、ってだけで、基本的に物語に殆ど影響していないのだ)で描かれている

 次は其々の殺害方法になるが、共通しているのは青木は崖から突き落とされ(その前に殴られてるかどうかの違いは有る)、浅井は絞殺で自宅放置(古谷版では押入れっぽい収納に隠されていたが)、守衛は『竜平が神社に寄進した黄金の矢』で串刺し、片帆が絞殺の上で島の人里離れた谷に隠され野犬や烏のエサになりかけた…辺りだろうか
 コレらについて、守衛は『純金製の矢で胸を刺し貫かれている』と云う状況は共通しているが、原作・鶴太郎版と古谷版は背中から刺されているのに対し、鹿賀版とJET版は前から刺されている違いが有る
 また、原作を含め殆どの作品で一度刺された矢は心臓辺りで一度止まり(ソレで死亡している)、後から更に強い力で貫通させられている…コレは真犯人を『見てしまった』三津木五郎が犯人を庇う為に更に力を加えて死体損壊をした訳だが、五郎が女性である鶴太郎版では犯人が一突きに刺し貫いている(まぁ…コレは『女性では人体貫通は無理だから庇い立てになった』ので、同じ女性である五十子では確かに意味が無い)し、五郎が『存在しない』古谷版では竜平が事後共犯を買って出ている
 更に片帆についても人里離れた(と云うか昔は里の一部だったが、過疎化と共に不便な土地から人が居なくなった関係で完全無人と化した元集落)に放置、と云う点ではほぼ共通(鶴太郎版では、その辺りの説明は無く、人里離れた場所で埋められていた)で、烏や野犬のエサになりかけていたが、鹿賀版と鶴太郎版では野犬が片帆の腕を食い千切って人里に咥えて降りてきた事から死体発見に繋がった
(原作では片帆捜索に行った吉太郎が野犬に襲われ、ソレを倒した後に見付け、JET版では死体が打ち捨てられた元集落周辺上空に烏の集団が飛んでる事に気付いた吉太郎が見付けている)
 次に、過去に殺されていた行方不明3人衆(笑)だが、一応まとめるとこうなる
(本筋の事件の年と併せて見た方が理解し易い)
 被害者:犯行年:殺害方法を並べてみた
 ちなみに、全ての共通事項は犯人である女性との情事の後に行われた殺人である事、そして死後は全身骨にされて紅蓮洞で子守役(後述)として飾られていた、と云う事である

原作
 事件:昭和42年
 山城:昭和36年:下腹部を切り取られる
 荒木:昭和33年:喉笛を噛み千切られる
 妹尾:昭和23年:舌を噛み切られて

鹿賀版
 事件:昭和44年
 妹尾:昭和39年:方法は語られず
 荒木:昭和34年:方法は語られず
 山城:存在しない

鶴太郎作
 事件:昭和28年
 荒木:昭和21年:喉を小刀で切り裂かれる
 妹尾:昭和19年:舌を噛み切られて
 山城:存在しない

古谷版
 事件:昭和36年
 妹尾:昭和21年:犯人を強姦中に石で殴り付けられ(過剰防衛?)
 荒木:存在しない
 山城:存在しない

JET版
 事件:昭和42年
 山城:昭和35年頃:語られていない 
 荒木:昭和33年:語られていない
 妹尾:昭和27年:語られていない

 こうして見るとソモソモの舞台となった年がJET版以外の全作品で違うので、犯行年も一致する訳が無いのだが、鹿賀版では犯行順まで見事にバラバラだと云う事が判る
 殺害方法が微妙に似ているのは面白いが、やはり此処でも古谷版は話が6~8割違うので、結構な差が出てくる

 吉太郎は殆どの作品で共犯となっているのだが、原作では最後の謎解きの場所:紅蓮洞で金田一一行(竜平・真帆・神楽太夫一座)相手に猟銃で皆殺し寸前の所を隠れていた神楽太夫の1人に射殺される最期を遂げる
 しかし、映像化作品ではソコまで神楽太夫一座が活躍する作品は無く、鹿賀版では暗闇での凶行に及ぼうとして大善に刺し殺され、鶴太郎版では竜平を殺そうとして大善から『竜平は私が殺す』と斬り殺され、古谷版では完全に端役であり、後半殆ど出番が無い(当然死んでもいない)
 JET版では竜平を殺そうとして巴に鋭利な岩で刺され、瀕死になりながらも巴を撃ち、瀕死にした巴を連れて崖から身を投げた

 巴も全ての作品で違う死に様を見せている
 原作では全ての犯行が明るみに出た後、逃げ切れない事を悟った竜平が秘密裏に絞め殺して海に捨てた(と、金田一が推理するが、遺体が上がらず、立証されずに物語が終る)とされる
 鹿賀版では自分の子供のミイラ(産んだ直後に巴自身の手で絞め殺した)を破壊された(吉太郎が猟銃で粉砕)事に錯乱し、探し回ってるウチに紅蓮洞に有った縦穴から落ちて絶命する
 鶴太郎版は竜平を撃ち殺そうとした大善から竜平を庇って撃たれた
 古谷版では全ての謎が解かれた後、我が子らへの手紙を金田一に託して崖から身を投げた
 JET版では錯乱中に吉太郎に撃たれた上、半ば無理心中っぽく吉太郎と崖から落ちた

 後は各作品で追加で死んだりオリキャラだったりの面子だが、大善は死亡率こそ高くはないが、作品毎に違う結末になっている
 原作では真相を知って…その凄惨さに度肝を抜かれて完全に改心した様子である
 鹿賀版では、吉太郎・巴が死んだ後、吉太郎の猟銃で自害している
 鶴太郎版では、やはり吉太郎・巴が死んだ事で自殺を謀るが弾切れで失敗、ナニかが切れたのか一気に呆けて仕舞い、ボケ老人の体を成して生き残る
 古谷版・JET版では、原作と同じく事件に直接は関係しておらず、後の描写も無い
 最後に古谷版での勝子だが、縄で絞め殺された上、神社の山門に吊るされる状態で見付かった

 犯人は巴で完全に共通しており、共犯者について各作品で若干変わっている
 原作では吉太郎のみ共犯で、大善は『薄々気付いているが、敢えて目を瞑っている』状態で、積極的な共犯関係には無い
 ただし、浅井の殺害は大善の命で吉太郎が実行している
 鹿賀版では吉太郎の共犯は変わらないが、大善も共犯の一人となっており、犯行の隠蔽だけでなく片帆の遺体遺棄等の実行犯も行っている…更に、紅蓮洞を突き止めた金田一を殺害しようとするも暗闇で間違い、吉太郎を殺害、巴の最後を見て自害する
 鶴太郎版では基本的に吉太郎は共犯な訳だが、片帆を殺害したのは吉太郎になっている(原作では巴)…島を出ようとする片帆を取り押さえる際、力加減を誤って…と云う形である…しかし、ソレを知った巴は吉太郎を責めもせずに遺棄に手を貸す異常さである
 更に、最後に紅蓮洞で竜平を殺そうとした吉太郎を殺したのは大善である
 大善はほぼ原作と同じく消極的に『感付いているが関わらず』のスタンスだったが、紅蓮洞で竜平を殺す段になって自ら竜平を殺す為に吉太郎を斬殺、改めて竜平を狙って放った銃弾は巴を撃ち抜き、絶望した大善は自殺を謀るも弾切れで死ねず(吉太郎を斬り殺した日本刀はどうしたwww)、呆けてしまう
 古谷版では完全に巴の単独犯で、吉太郎さえ共犯に使っていない
 JET版はこの辺りに付いては原作準拠で描かれており、大善は消極的に目を瞑っている感じであるが、ラストには登場しなくなるので、改心した描写もない
(紅蓮洞への行き方は金田一に語るが、それ以降の描写がない)
 上記から、大善が死んだ或いは自殺を選んだ各作品での大善は、飽くまで『巴を愛していた』だけで、刑部の一族がどうのこうのとは考えて無い事が判る
 血縁としては真帆が残ってる訳で、刑部一族が絶える訳では無いのを完全に意識の外に放っているのだ

 さて、事件の核心に近付いた話になるが、巴が過去に産んだ子供の話と浅井が殺される理由になった『過去の罪状・ソレをネタに生きてきた』とされる事象について比較する
 取り敢えず、各作品共通事項として、過去に巴は竜平との間に出来た子供を産んでいる
 原作では、ソレはシャム双生児として、腰の部分で1体に繋がった双子であった
 コレを見た途端に巴は『発作』を起こして精神錯乱、誰の目も向いていない隙を突いて自分の子を殺して仕舞う
 本来、刑部(大善)としては、廃棄してしまいたい『越智との子』であるので、秘密裏に里子に出す事を計画していたが、巴が殺して仕舞った事で、有る意味、その手間は無くなった…が、コレを知った助産婦だった浅井に恐喝の材料にされる事になった(浅井の罪その1)
 浅井は当時モグリの助産婦だったのだが、その伝手で『望まれなかった子』と『子供が欲しい夫婦』との間で新生児の斡旋をしていた
 『子供が出来ない夫婦』だった三津木(五郎の親)と刑部大善の間で生まれた子をやり取りする筈だったのだが、上記理由でその取引が不可能になり、当時別に御産した磯川(警部の妻)の子を盗み逃亡、三津木に与えた…コレが浅井の罪(その2)である
 詰まり、三津木五郎は岡山県警警部:磯川の実子である
 鹿賀版・JET版ではシャム双生児、その後の赤子殺し、浅井の恐喝については原作と同じく描かれているが、五郎の出生についてはナニも説明していない…つまり、五郎の産みの両親は事件とは無関係扱いである
 鶴太郎版ではTVでシャム双生児(一種の奇形児)の扱いは難しかったのか、普通に1人の子供として出てくるが、コレは本当に死産であった…ソコで終れば良かったのだが、浅井は大善と結託し、事前に新生児を渡す約束をしていた三津木に義理立てする為、他所から子供を盗んで三津木に与えた…コレをネタに浅井から脅迫される事になる
 ただ、この三津木に与えた赤子は『何処かから』としか話されず、結局、五郎の両親は『事件に関係なく、不明』と云う事になる
 古谷版では完全に話が違う…登場人物で紹介したが、真帆が一人っ子として育てられ、竜平の姉が貰い子をして甥が1人いる訳だが、コレが巴と竜平の子で、双子だったと云う超展開であるwww
 『越智との子』を許せなかった大善が、巴の産んだ子を二人とも里子に出す事を画策するが、男だけ貰い手が付き三津木と云う家に貰われる…女は貰い手が無い上、巴が我が子愛おしさで離さなかったので、他所から貰い婿をして、巴と婿の子として育てる事と決めた…結局、三津木は経済的に育てきれずに竜平の姉に里子に出すが、ソモソモが三津木は『刑部の子』としてしか聞かされず、竜平との関係は全く知らずに里子に出している
 その全てを知った浅井と、越智の貰い子のルーツを知った守衛は、コレをネタに大善を恐喝する…しかし、罪の意識に負けた浅井は全てを清算しようと越智の貰い子のルーツを他に漏らし始めた
(ソレを聞いたのが妹尾で、ソレをネタに巴を脅迫、関係を迫った)
 結局、巴は全てを知った上で、これ以上の情報拡散を恐れて浅井を殺害した、と云う形である

 犯行動機は、この『浅井の罪』ってか『竜平と巴の子供』に由来する
 原作では、巴の境遇として、竜平は(本来、島の網元嫡男、と云う事で不在になると政治的に困る立場として免除されていた筈の)兵役に取られ、我が子は奇形として自分で殺すと云う発作を起こしたが、以降、竜平に比較的体格の似た男を見ると発作的に誘惑・関係を結ぶ様になった…ソコで山城・妹尾・荒木等と関係を持つが、フと意識が戻ると竜平では無い男と抱き合ってるので、発作的にコレを殺害していた
 此処で更に発作時の人格が『動けない(そりゃ死んでるしねぇ)我が子の子守役として、コレらも我が子の近くに』と紅蓮洞に一大死体祭りが始まる
(白骨化させたり、釣り糸で固定したりは吉太郎が行った)
 その詳細は判らずとも島の秘密を微妙に感づいた(自分に優しくしてくれていた大人等、数人が行方不明になっている)片帆は秘密裏に島からの逃避を考え、実行するが『自分の元からいなくなる』事を危惧した巴が発作的に片帆をも殺した…となる
 更に守衛については、竜平がその財力にモノを云わせ、巴の身柄を貰い受ける契約を結ぶ(金銭と交換に離婚届を書き、守衛は島を出る積もりだった)事が発覚(まぁ巴の認めも必要な事だからなぁ)し、ソレが発作の引き金となり、その場に有った『寄進された黄金の矢』で一突き…と、云う顛末である
 鹿賀版では基本的に顛末は同じだが、この『発作を起こした時の巴』を戦争中に広島原爆で死んだ巴の双子の姉『ふぶき(映画オリジナル設定)』としてカモフラージュし、巴が島で起こす発作的な奇行は全てふぶきの所為であるとし、物語終盤では吉太郎・大善が共謀してふぶきが崖から身を投げたとカモフラージュ、事態の終息を企てた
 ただ、変更点が2つ有り、1つは片帆の殺害動機だが、片帆は神楽太夫の息子兄弟の兄・誠と恋仲になっているオリジナル設定が作られた…コレにより、人目を忍んで逢瀬に励んだ二人を巴が目撃、竜平と駆け落ち騒ぎを起こしていた記憶から発作を起こして一人になった片帆を殺害している
 2つ目は、守衛が殺害される動機について、竜平の目的は『巴を取り戻す』では無く、『刑部神社・刑部島の権威を叩き落す』事であり、神社の土地権利書を買い取り、本殿以外の全敷地をレジャーランドとして、神聖も何も貶めて仕舞う…と云うモノだった
 鶴太郎版でも鹿賀版と同じく、神社の土地権利書を売る話で進んでいたが、コレは守衛にも大善憎しの感情が篭っていた事が描かれている
 古谷版では、完全に話が違うので比較も何も無いのだがwww、竜平の甥:拓郎と真帆が恋仲となり、しかしその二人は本当の双子である事を知った人間が次々と巴を脅迫し、金銭だったり肉体関係だったりを迫るが、ソレの解決策として殺人と云う方法を選んだ…と云う事になっており、精神錯乱の発作とか、その辺りも全く無くなっている
(古谷版では、巴は完全に常識人であり、精神的な異常性は全く無く、物語としても巴を悲劇のヒロイン的に描かれている)
 JET版では、鹿賀版と殆ど同じ様に書かれているが、『ふぶき』は存在しない点では原作に準拠している

 さて、事件が解決し、その後の話になるのだが、原作では竜平が出資して進めている島のレジャーランド化をそのまま続ける事にしている
 此処まで酷い連続殺人(しかも最初の妹尾から数えれば約20年も続いた)の現場でレジャーランドなんざ開いても客が来るかどうか不明ではあるのだが…過疎化した島に産業を持ち込み、島へ人が戻って来る策として進める事としている
 鹿賀版では事件により土地権利書を買い取る事が出来ず…と云うか復讐をする対象であった大善も死んだ事で、逆にレジャーランド化する意味が無くなり、計画を白紙に戻している
 鶴太郎版では、金田一が『島の主人はこの自然だ』と主張し、竜平も納得してレジャーランド化を打ち消している
 更に、唯一事件に関係しなかった刑部直系である真帆を竜平が引き取る様な描写が有った
 古谷版では、巴が拓郎と真帆に宛てた手紙を金田一が渡し、二人は納得した上で拓郎は京都の大学に、真帆は島に残る選択をする
 竜平は島の祭りを盛り上げる為に出資しただけで、レジャーランド云々の話は全く出ていない
 JET版は基本的に鹿賀版と同じなのだが、大善も死んでいないのに巴の死がショックだったのか、連続殺人の現場では採算が取れないと見たのか知らんが、竜平はレジャーランド化の計画を投げ出した様だ
 まぁ守衛の死で土地権利書も入手出来なかったろうケドな

 最後に、各作品で特記するべき事項が有れば…と云う事で、此処で比較するか
 浅井の『過去の罪』を起こした年代について、である
 原作では22年前としており、昭和20年の事である…終戦の年だな
 鹿賀版では24年前としているので、同じく昭和20年となる
 鶴太郎版では22年前としており、昭和6年って事になる
 古谷版では20年前としており、昭和16年…真珠湾攻撃、第二次大戦に日本が参戦した年である
 JET版では原作と同じ22年前、昭和20年の事である
 此処で『事件の何年前か』と云うのを記載したのは『=五郎の年齢』になるからである
 五郎が存在しない古谷版では『=真帆・拓郎の年齢』と云う事になる…あぁ、此処で鹿賀版が舞台を昭和44年に設定した意味があるのかも知れない
 鹿賀版で五郎を演じたのは古尾谷雅人だが、生年は昭和32年、劇場公開年は昭和56年で、古尾谷の年齢は丁度24歳になる
 ただ、この観点から云えば、鶴太郎版は五十子の年齢は22歳になるが、演じた牧瀬の年齢は丁度20歳(生年:昭和46年、放映年:平成3年)だし、古谷版で真帆・拓郎を演じた中本奈奈(22歳)と中村俊介(24歳)は同い年ですらないのだがwww

 他に特記すべき事項は…
 原作ではレジャーランド化についての動機は島を追い出された形になった竜平が故郷に錦を飾るつもりで起こした事になっており、周辺地域の工業化により海が汚れ、漁業が出来なくなった島民が本土の工場勤めの為に島を出る事で進む過疎化を止める為の事業としていた

 鹿賀版では、原作では高校卒業と同時に島に帰ってきている真帆・片帆の姉妹が、祭りの為だけに帰島し、祭りの後はまた本土に預けられ直す事になっていた…ならば、何故に片帆は本土で(祭りのタイミング以外の時に)神楽太夫の恋人と会ったり出来なかったのかがチト謎になるのだが…
 また、物語とは関係ないが、ビートルズの楽曲がBGMで効果的に使われたが、ソフト化するに当たり、版権が切れた事で他のバンドのカバー曲に変えている

 鶴太郎版では、他の映像作品ではほぼ描かれている『守衛殺害時の本殿ボヤ騒ぎ』が描かれていない
 また、他の作品では産婆を辞めて占い師になっていた浅井だが、本作では産婆を続けている
 更に、巴は大善の兄の孫となっているが、大善は兄が娘(巴の母)を島外に嫁にやる事も含めて許すと判断した事に激昂し、兄を殺害、兄の娘を犯して産ませた子供…と云う事になっている
 また、竜平はアメリカで成功したのではなく、東京で株をやって財を成した事になっている
(まぁ上記の通り、竜平が島を追い出されたのは昭和16年、真珠湾攻撃(コレは12月の事だが…不穏な空気は有ったろう)の年にアメリカに渡ってるとか、無いだろうwww)
 更に竜平が島に来た本当の理由は『自分と巴の子供は居たのか、居ればその後どうなったのか』を確かめる事であった
 五十子は片帆・守衛両方の死体発見時に近くに居り、疑われる事になるが、金田一はそう思わず、犯人特定の証人とした…が、謎解きの場面で犯人にソレを漏らして逆に犯人が五十子を拉致る展開になった…つくづく金田一が無能であるwww

 古谷版ではもぉ…違い過ぎて改めて特記する事は殆ど無い
 此処まで書いて無い事は1点だけ、巴は大善の実子として登場している事くらいか
(鶴太郎版でも、事実は『巴は大善の子』であったが、対外的には『大善の兄の子…詰まり姪』であるとしていたが、本作では最初から『大善の兄』が省略されている)

 JET版も特記する事は少ない
 鹿賀版と同じ様に片帆と神楽太夫の兄弟が恋仲になるが、此方では弟(勇)と恋仲になっており、事件後は兄(誠)と真帆が良い感じになって終っている…位だろうか

 取り敢えず、書き切ったかな…結構グチャグチャしていて判り辛いかも知れないが、質問が有ればコメントにでも入れて欲しい
 ナンとか20KB程度で収まったな…コレでも駆け足だった気もするが
 次は…書けるとしたら本人殺人事件? 映像化は映画が2本(片岡千恵蔵・中尾彬)、TVドラマ3本(古谷一行(2回)・片岡鶴太郎)で、映画は全く見ていないが、TVドラマは全部確認した
 漫画もJET版を持ってるし、一応原作・TVドラマ3つ・漫画で5作の比較が可能だ
 後は…先日買った『貸しボート十三号』を読み終わったので『女王蜂』を読み始めたし、その辺で…かな
 まぁ金田一シリーズ映像化作品の比較も、また次は少々先の話となると思われる

 次回は…どぉするかな
 ネタが無いので、何か探すしかないのだが…
 まぁナンとかなるべか
 ソレまで皆様、御多幸を^^

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2016年8月16日 (火)

悪魔の手毬唄(ネタバレ多数:原作・映像4種・漫画)その2

 先週の続きになるが、事件の真相が此処からネタバレになるので、ソレが構わない人だけ読み進めて欲しい



 さて、此処からは更にネタバレが強く、犯人等の事件の核心を比較したい
 先ず犯人…の前に、恩田事件の話に戻る
 実は恩田幾三=青池源治郎であり、当然、恩田を殺害した犯人は別に存在する
 源治郎は亀の湯を継ぐ前、映画『モロッコ』の大ヒットで活弁が不要になった時点でモール製作の副業を故郷の村に斡旋して利ザヤを稼ぐ予定だった(コレが昭和6年)
 更に村の有力者である由良・仁礼2家の嫁・娘に手を出し孕ませている(コレで出来た娘が泰子・文子である)
 また、恩田として村に逗留している際に世話をしてくれていた別所の娘にも手を出しており、孕ませた(コレで出来た娘が千恵子)
 事件の後に由良・仁礼の2家は家の力等も使い、別の親を設定する等して『子が恩田の娘である事』を隠していたが、別所の子だけはソレだけの力も無く、別所千恵子は詐欺師・殺人者の娘と村で迫害されていた過去がある
 また、上記恩田=源治郎の関係上、亀の湯の歌名雄・里子も全て父の同じ異母兄妹と云う関係が成り立つ
 兎に角、副業斡旋を続けていた恩田=源治郎だが、モール元受の倒産で結局利ザヤが得られない事が判り、取り敢えず集まった機械の代金だけ持って別所千恵子の母と逃亡する計画を立てる
(由良・仁礼での乱行は自分を優遇しなかった村に対する意趣返しの意味が強かったが、特に村の有力者でもない別所の娘には確かに愛情を持っていた、と推理された)
 ソコに犯人がやって来て恩田を殺害、判別が付かなくなる様に囲炉裏で顔を焼くと云う隠蔽を図った
(隠蔽には放庵の助言が有った可能性がある)
 この辺の粗筋はどの映像作品でも共通しており、若干の細部に違いは有っても事件の本筋に影響の有る程違いは描かれていない

 さて、恩田=源治郎について、金田一はやはり推理でソコに行き着く
 原作では、周囲の証人から恩田又は源治郎の人となりを調査するに当たり、段々イメージが重なってきたとしている
 石坂版では偶々鏡に蜜柑が1つ映り込み、1つの実体が2つに見える事から閃いた…としているが、尺の関係なのか、説明が雑である…私は何度もこの映画を繰り返し見ているが、この説明については此処の会話だけでは全く理解出来ず、金田一の意気込みばかりが空回りして見えるのだwww
(『謎を解く鍵は蜜柑だったんです』『蜜柑?』『えぇ、詰まり、一人二役』…コレで会話が成立する訳が無いwww)
 古谷版では唄の三羽目を調べに神戸に行ってる最中に里子の殺害を知らされ、ソコから里子も恩田の娘なのでは…と、発展して推理した様だ
 古谷2時間版では、実は恩田=源治郎の確信を持つ根拠が全く描写されずに、イキナリ結論に行き着いているwww
 一番尺が厳しいのがこの作品なのだが、結構酷いwww
 稲垣版でも原作と同じく、調査過程で証人の証言からイメージが重なった旨の説明がある
 JET版でも推理の根拠が明確には記されておらず、源治郎の写真(後述)探しを始めている

 ただ、コレは飽くまでも金田一の心象でしかない
 証拠として2つ提示されるのだが、1つが肉体的特長である『両足の中指が長く、靴下・足袋等はソコから破ける』と云う証言、もう1つが両者の写真照合(所謂首実検)である
 先ず、両足の中指が他人より長い…と云う身体的特徴については、原作では恩田事件当初に気付かれている
 ただし、まだ亀の湯に居た源次郎の親類や妻の『リカ』がその特徴を含めて源治郎の遺体である旨証言しているのだ
 本題の連続殺人の際、別所千恵子の母からも、恩田の身体的特徴として証言があり、磯川の中で『死体は恩田』を確定させる
 ただ、金田一は上記青池の親類筋の証言を忘れておらず『恩田=源治郎』の疑念が強くなる原因にもなった
 また、被害者の足(指の長さについて特徴を確認出来る)現場写真等の資料は岡山県警が空襲で焼けてしまっており、当時検死を担当した村医が趣味で撮っていた写真から確認している
 石坂版では恩田事件当時の証言が無く、中指の写真(村医が所蔵)で恩田事件の被害者が恩田である事が確定するも=源治郎には至らない
 古谷版では源治郎の遺体は当時親類筋及びリカの証言で確定するが、中指の言及は無い
 昭和27年になり、別所母の証言から中指の話になり、死体が恩田である事が判明するが、コレが原作準拠の話に繋がり、恩田=源治郎の疑念が強くなる
 古谷2時間版では石坂版と同じく別所母の証言→村医の写真→恩田の死体確定、しかし=源次郎に至らず、である
 稲垣版では少々可笑しいのだが、恩田事件当時に親類筋から源次郎の遺体である旨の証言は有る
 昭和27年になり、別所母から中指証言が有り、村医の写真で遺体が恩田である事を確定するのだが、恩田事件当時の親類筋の証言が全員の頭からすっぽり抜けて『源治郎が犯人』説のみ有効になる

 その後、金田一は神戸に出て源治郎の写真を求める(閉鎖された寒村では、活弁と云う『芸能界にいる人間』を下に見る風習があり、過去を消す為に青池家では過去の写真は全て処分していた…恩田は写真嫌いで通しており、写真が入手出来なかった…と云う経緯で、事件当時に写真照合が出来なかった、とされている)のだが、原作では活弁としての写真を新聞社から入手する
 コレを恩田と関係した3人の女性に確認して貰う訳だが、由良の嫁である敦子のみ、当時は夫が存命中であった中での不義である事が明るみに出、照会に出て来ない状況であった
 石坂版ではその辺の事はうっちゃってwww照会に参じ、仁礼・別所の母と一緒に写真照会をしている
 古谷版では別所母のみ写真照会を受け、由良敦子は照会を拒否する…しかし、金田一が強引に聞き出し、証言を得る
 古谷2時間版では3人揃った所に等々力が写真を持って登場する
 稲垣版では石坂版と同じく3人揃っての写真照合となる
 JET版でも照合の現場には3人揃っての照合である
 原作では更に過去、由良家が恩田事件で更に没落した際、当時当主の卯太郎が病死し、後家になった敦子と仁礼嘉平が密接になった時期を記している
 その時に、嘉平は放庵から『敦子は卯太郎存命時期に恩田と通じていた』と云う事を教えられ、敦子との関係を絶った…と云う経緯だったが、この話が無くとも狭い村で不義密通の過去が公になったのに写真照合に出て来れる『原作と古谷版以外の全作品』での敦子は少々道徳観念が可笑しいのかも知れない
 上記、嘉平と敦子のエピソードは原作以外に語られていない事も有り、古谷2時間版では文子殺害時には御互いの娘の殺人犯人を御互いだと断定して取っ組み合いに近い喧嘩をするシーンも有った
(他の作品では、原作も含めて文子の兄である勝平と泰子の恋人であった歌名雄が取っ組み合いになっている)

 では、犯人だが…原作・全映像作品・漫画(コレには以前書いたつのだじろう版も含めて)全作品において青池リカで共通している
 当然、恩田事件での犯人もリカである
 動機も基本的に全て共通である
 恩田事件については亭主の浮気(しかも同時に三又…里子の妊娠中と云う意味も含めて4人同時期に相手にしていた訳だ)と、恩田としての詐欺について、更にはモール副業で儲ける事が出来なくなった事でコレに見切りを付けて別所の娘(千恵子の母)と上海に逃げる計画を知ったから…と云うものである
 上記で推理されたとおり、源治郎は別所の娘にだけは愛情を持っていたのである
 で、連続殺人についての動機は、上記の通り泰子・文子・千恵子・里子、そして歌名雄は全て父の同じ兄妹である事が起因している
 歌名雄と泰子が恋仲になり、ソコに仁礼が文子の婿に…と横槍を入れる、ソレら全てが血の繋がった兄妹の間で起きている事であるが、ソレを知るのは恩田事件の真相を知るリカと放庵だけである
 この事を公にすれば恩田事件の犯人も自ずと判ってしまう事もあり、誰にも打ち明けられずに犯行に走った、とされる
 また、JET版でのみ、前回にも書いたが泰子が高慢な性格に設定を変えられて(よくソンな性格の娘と恋仲になったな、歌名雄…)おり、1人赤痣で顔体半分が覆われている里子を蔑む姿がリカの目に入り、殺害動機の一つとなった

 原作では、千恵子殺害の積りが誤って我が子である里子を殺害してしまい、本懐である千恵子を改めて殺そうと、千恵子が故郷に錦を飾る為に建設した、通称『ゆかり御殿』に放火し、ドサクサで犯行を決行、しかし警備している金田一・警察陣に阻まれ逃走中に土手を越えて沼に落ち、溺死している
(コレは読む限り本懐を遂げられずの自殺だったのか、逃走中の事故だったのか、判別がし辛い)
 石坂版では里子を誤って殺した事に気付くと、亀の湯・里子の住んでいた土蔵に千恵子を呼び出し、自白する展開になる
 別の場所で謎解きをしていた金田一と磯川が土蔵にやって来て、更に自白を続けるが、金田一らが放庵の死体確認の為に少し席を外した隙に警察の目を盗んで逃走、沼に身を投げる展開になる
 古谷版では里子の死体が未発見の時点で千恵子を呼び出し犯行に及ぶが、金田一に阻止され、沼に入水する
 古谷2時間版では石坂版に近いが、千恵子に告白後、金田一・磯川が土蔵に来るが特に抵抗も無く隙を突いて沼に身を投げる…ただし、此処で金田一が入水を食い止めている
 しかし、放庵を殺した『お庄屋殺し』の毒草を使い服毒死と云う結果で、やはり命を落としている
 稲垣版では映像化作品で唯一描写されている『ゆかり御殿』とその放火が有り、そのドサクサで千恵子殺害に及ぶが金田一に阻止され、放庵の家に逃走する
 ソコで追い詰めた金田一にまで刃を向け、橘・歌名雄までやって来てやっと罪を自白、源治郎の幻(幽霊? 稲垣版の金田一シリーズは結構幽霊描写が多いのが特徴である)を見て、ソレを追う形で沼に入水する
 JET版では里子の遺体発見後に千恵子を土蔵に呼び出し犯行に及ぶも歌名雄に阻止され、逃走、沼に入水する
 基本沼で死んでいるが、古谷2時間版のみ阻止されたが服毒していたと云う形で二重の自殺を企てていた事が特筆すべき所か
 また、映像作品・漫画版では千恵子を呼び出すのは、ほぼ全作共通だが、自白する積りだけの場合と千恵子の殺害を完遂しようとする場合とに分かれるのも比べて見ると面白い
(更に云えば、金田一にまで凶行に及んだのは稲垣版だけである)

 さて、母親が一連の殺人犯として自殺、妹もその被害者として死亡、父親は実は昭和7年に死んだ詐欺師である事が判明し、更に云い寄ってくれた女性達は皆被害者として死んでいる…と云う正に踏んだり蹴ったりの歌名雄だが、原作では『歌が上手い』と云う設定を持っており、一人上京する道を選ぶ
(千恵子のマネージャーが芸能人として育てる思惑も若干有る様だ)
 コレに伴い、亀の湯は別の親戚筋に譲る事が語られている
 石坂版では磯川が引き取り、岡山の農場専門学校に進学させることにした、と金田一に告げている
 亀の湯の今後は全く描かれていない
 古谷版では事件が完全に決着した後、金田一・磯川から真相を聞き、日和に引き取られる事になる
 亀の湯は特に語られないが、常勤の女中さんも郷に帰る旨云っているシーンが有り、歌名雄もどこか工場で働くと説明が有り、継ぐ気は無い様である
 古谷2時間版ではリカの49日後に1人で東京に出る、と金田一・千恵子に語る…やはり亀の湯の今後は語られていない
 稲垣版では千恵子のマネージャーは出てこないが、千恵子の母が育てると東京に引き取られる
 JET版では岡山の農大に進学するが、磯川他誰かが引き取ると云う描写は無い
 原作では1人或いは東京で千恵子のマネージャーに付いて芸能人生活…となる可能性が示唆されるが、石坂版の『磯川が預かる』と云う結末が印象的だったのか、古谷版・稲垣版と磯川ではないモノの、その位置に居る警察(警部等)が個人的に引き取る結末はソレナリに多い
 古谷一行主演の連ドラ版横溝正史シリーズではこの作品が最後の作品(翌年、第2シリーズが製作されるが)で、日和とのコンビが此処で一段落付く為、こう云う展開も可能と判断されたのだと思われる
 稲垣版でも結局シリーズ最終作となった作品で、以降は稲垣金田一と橘が組んで事件に当たる作品は作られていない

 最後の項目に入る前に特筆すべき事を各作品毎に少々記す
 石坂版では『おりん』が『おはん』に名を変えている…当時、同じ東宝系の映画で『おりん』と云う主役が活躍する映画が配給された事に考慮した事らしい
 また、放庵は恩田事件の直後、放心状態のリカを手篭めにし、以降も生活費を強請っている解釈がされている
(原作では、放庵は色好みで少々独特の倫理観が有る描写だが、特に強請りや強姦等はする性格ではない、とされている)
 また、原作では『グラマー歌手』として有名になった『大空ゆかり』について、特に歌手とは云っておらず、更に芸名も使わずに『別所千恵』で有名になっている
(原作では別所千恵子…何故『子』を抜いたかは不明)
 古谷版では捜査主任が済し崩しに日和となっており、原作に登場する立花警部補は登場しない
 古谷2時間版では石坂版に準拠して恩田事件直後、放心のリカを放庵が手篭めにし、その後も生活費を強請っている描写がある
 また、ゆかりはグラマー歌手であり、帰郷の際に里子に対して最新レコードを土産にしている(他の泰子・文子には特に渡していない事で、村に居た時期に一番親しかったのが里子だった事が暗示されている)
 稲垣版ではリカは放庵に手篭めにはされていないが、恩田事件をネタに生活費を強請られている描写はあった
 また、パートナーの警察が署長と云う立場であり、捜査主任を兼ねる展開になっている(ってか、何処署の署長だったのか…シリーズ5作で常に一緒なんだがwww)
 JET版では泰子の生前最後の目撃者は千恵子となっている
(原作その他全てで、その位置には里子が入っている)

 最後になるが、金田一と磯川が別れるシーンである
 事件が全て解決し、金田一も磯川も全て事件から解放される(原作では捜査主任は放庵の捜索時から村に来た立花であり、磯川は御意見番的な位置に居たので、開放が早かった)と、傷心旅行に出るのだ
 磯川がリカを愛していた(勿論片恋な訳だが)事を見抜いていた金田一の計らいなのだが、大阪で二人は別れる事になる
 その際、金田一は磯川に『リカを愛していたんですね』と告げられ、吃驚した隙に列車が出発、返答を得ないまま別れる所で小説が終る
 石坂版では総社駅(岡山の街)で別れる事になるが、磯川は事件の後処理を手伝う事になっているらしい
 そこで同じく『リカを愛していた』事を見抜かれるが、列車の駆動音でソレが磯川の耳に入ったかどうかも不明であり、やはり回答を得ずに列車が出る…ただ、上記の通り別れたのが総社駅、駅のプレートには『そうじゃ』が平仮名で書かれているのが画面ほぼ中央に大きく映し出される
 磯川の答えを画面に表示する暗示的なラストである
 古谷版ではリカの墓前で別れており、その場で『リカが好きだった』事を見抜かれるが、日和は無言の肯定に近い形で返答している
 古谷2時間版でもリカの墓前で別れるが、この作品だけ『リカを愛していた』旨の台詞が全く無い…と、云うのも里子の遺体発見後、解決前に磯川自身がリカに告白めいた事をしているのだ…当然、成功してはいないのだが
 稲垣版では村境で橘と別れ、人力車で村を出るのだが、その際に耳元でハッキリと『リカを愛していた』旨の見抜きを告げられている…橘が驚いている隙に人力車を出させて回答は聞いていないが
 JET版では石坂版に準拠しており、総社駅で別れ、『リカを愛していた』の問答は列車駆動音で磯川に届いていない風な描写であった
 原作でも印象的なラストシーンな訳だが、石坂版の『そうじゃ』と云う駅名(実際にある地名だし、原作でも確か乗り換えの要所になる大きな駅として登場する)を旨く使った映像美であるラストを作って仕舞ったので、他の作品にも少なからず影響を与えていると思う
 また、上記歌名雄の一件でも書いた通り、古谷版(連ドラ)と稲垣版では日和・橘と組む最後の事件なので、こう云う位置設定が可能だったのだと思われる

 以上、各作品を見ながらメモってただけで8.5KB近いメモになっていたので、ある意味覚悟していたが、文章にしたら30KB超えてるとか、どぉよwww
 取り敢えず2回に分けたが、読んでくれる人が居れば有り難い話である

 さて、次回は…何書くかな
 ミケのレポートも書けてないし、その辺思い出しながら書くか、他のネタが有ればナニか別の記事になるかもしれない
 ソレまで皆様、御多幸を^^

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2016年8月 8日 (月)

悪魔の手毬唄(ネタバレ多数:原作・映像4種・漫画)その1

 と、云う訳で、先日やっと隔週刊の『横溝正史&金田一耕助シリーズDVDコレクション』で2時間ドラマ版の標記作品がリリースされた
 原作を読み切ってから少々経つのだが、その時に取ったメモを踏まえて映像作品4本及び漫画作品1作の比較を行いたい
 調子捲って書いてたらトンでもない長文になって仕舞ったので、今回と次回に分けて纏める事にした、御了承願いたい
 また、今週末はミケでチト今週は忙しくなると思われ、原稿が上がってる分、月曜に上げておく事にした

 先ず、本作の映像化作品が現時点でどの位出ているかをwikiから調べる(敬称略)
劇場作品
 1961年 監督:渡辺邦男 金田一:高倉健
 1977年 監督:市川崑  金田一:石坂浩二

TVドラマ
 1971年 金田一は登場せず(火曜日の女シリーズの『おんな友だち』、1時間枠全5回)
 1977年 金田一:古谷一行(横溝正史シリーズ、1時間枠全6回)
 1990年 金田一:古谷一行(2時間ドラマ)
 1993年 金田一:片岡鶴太郎(2時間ドラマ)
 2009年 金田一:稲垣吾郎(2時間半ドラマ)

 漫画としてはwikiには先日紹介した、つのだじろう氏と今回比較するJET氏の2名のみ記載されているが、ナンか調べれば他にも出てきそうな感じである

 この内、今回は原作・1977年映画(以下『石坂版』)・1977年TV(以下『古谷版』)・1990年(以下『古谷2時間版』)・2009年(以下『稲垣版』)・漫画(以下『JET版』)を比較したい
 鶴太郎版は昔見た気もするが覚えてない…もしかすると、一時期TVドラマを一切見なかった時期があるので、見てないかも知れない

 さて、此処からは毎度の事ながらネタバレが非常に強い…ってか、今回はマジにコレだけで本読まなくても大抵判る様な書き方になって仕舞ったorz
 数行間隔を空けるが、了解の上で読み進めて欲しい





 さて、先ずは舞台になる時代及び場所である
 原作では昭和30年7月に金田一が村に訪れ、最初の事件(多々羅放庵の失踪)は8月に入ってからである
 場所は岡山県の寒村『鬼首村』…同名の村が別作品『夜歩く』に登場するが、こちらは古谷版のTVだけ視聴して原作未読であるが『同県同名だが別の村』と云う認識がされているらしい
(登場人物・地形描写は全く違うし、位置描写も違っているらしい)
 石坂版は昭和27年の記述で時期も8月では無い様だ…金田一は常時マントを着用しているし、画面等から見える季節は冬になっている…ロケの都合との見方が強いが、まぁ事件に大きな影響は無い
 古谷版は石坂版と同じく昭和27年、ただし此方は夏である…特に月日の表示は無いが、画面から見える季節は間違いなく夏である
 古谷2時間版も古谷版と同じく昭和27年夏…冒頭で事件概要を説明する磯川警部と金田一が一緒にカキ氷を食べている
 稲垣版は原作と同じく昭和30年、ただし、秋と明示される…コレもロケの都合だろうか
 JET版も原作と同じく昭和30年の話になっている…季節は説明されていないが、1コマだけ8月のカレンダーが描かれている事で、まぁ普通に考えれば8月なのだろう…しきりに汗を拭う描写が有るし
 場所は岡山県鬼首村、コレはどの作品も同じで、文明度は人力車が来れる道があるかバスが日に数本有るか…程度の差であり、まぁ現代日本からすればソレナリに未開の寒村と云ったイメージは、どの作品からも見て取れる
 此処で気になるのが昭和30年とする原作・稲垣・JET版と昭和27年とする石坂・古谷(両方)版である
 物語の根本にある『過去の因縁』に起因するが、コレが昭和7年の事、と云う事で固定するので、石坂・古谷版は丁度ソコから20年後と切りの良い時代設定にしたのだと思われる

 次にその『過去の因縁』について比較する
 『恩田幾三』と名乗る男がモール飾りの副業を農村に持ち込む事から事件は始まる
 葡萄栽培からワイン醸造までの業務を始めて大当たりした村の新興勢力『仁礼家』に対抗し、コレに飛び付いたのが旧家『由良家』である
 由良が一時的に金を出し、参加の村人に副業を推奨、かなり順調に進み、作業用機械の代金が全部恩田に回収された所で丁度実家を次ぐ為に村に帰省した亀の湯の旦那『青池源治郎』が詐欺と見抜き、恩田の塒にねじ込むが逆に殺害され、以降恩田も失踪して仕舞う…と云うのが概要だが、コレが昭和7年の事になる
 原作では、モール会社の元受が倒産しており、結果的に詐欺になったが、恩田は詐欺を行う積りは無かった可能性も示唆されている
 石坂版ではモール元受の倒産は無く、最初から詐欺の積りであった事とされている
 古谷版ではモール元受は倒産しているので原作通り、更に時代も『20年前』とのみ云っており(上記舞台が昭和27年だから)昭和7年と推測出来るが明示されていない
 古谷2時間版では古谷版と同じく『丁度20年前』と云う云い方で昭和7年を暗示しているが、モール元受については石坂版と同じく倒産の描写は無い…つまり、恩田の詐欺確定である
 稲垣版は昭和7年11月とハッキリ明示して説明するが、やはりモール元受の倒産については描写が無い
 JET版では石坂版に準拠しているのか、モール元受の倒産の話は無く、詐欺確定で話が進む
 …さて、此処で昭和7年に拘ったのには理由がある
 被害者である青池源治郎は都会で活動写真の弁士(以下『活弁』)をしていたのだが、トーキー映画の台頭、そして洋画『モロッコ』において『スーパーインポーズ』技術による字幕が付与される事で大ヒットとなり、結果として活弁が必要なくなった…と云う時代背景がある
 コレが元になる為、恩田事件は『モロッコ』公開の翌年、昭和7年である必要が有るのだ
 ちなみに、源治郎が活動していた都会であるが、原作を含めほぼ全ての作品で神戸となっている中、古谷2時間版でのみ浅草となっている…コレは、警視庁の警部である等々力(シリーズレギュラー)を登場させる為に必要な変更で、後で源治郎の写真を取り寄せる為のコネにも使われている

 話は変わるが、今度は金田一の来村動機を見る
 原作では、難しい事件を解決して休養を欲した金田一が勝手知ったる岡山(所謂岡山編…と云われる位、金田一は岡山で事件を解決しており、本作はその中でも比較的後期(時系列的にも)の作品で、色々気兼ねが無くなっている)に向かい、馴染みの警部、磯川に場所斡旋を願い出た所、紹介されたのが鬼首村であった
 磯川は磯川で上記昭和7年の事件を再調査して欲しい思惑があり、正に『鴨が葱背負って』状態だったのだろうwww
 兎に角、昭和7年の事を穿ろうと思った矢先に当時の重要な証人である『多々羅放庵』が失踪し、事件が勃発するのである
 故に、コンビを組むのも基本的に磯川とになるが、所々で上記岡山編である『獄門島(瀬戸内)』や『八つ墓村(岡山と鳥取の県境)』等の事を思い出す描写もある
 石坂版では、もっとダイレクトに磯川から探偵業務を依頼したい旨呼ばれた先で、上記恩田事件の詳細を聞かされる形である…石坂版は劇場シリーズであるので、単発で楽しめる仕様にする為か、金田一の旧知は基本的に出ないのだが、本作の磯川と最終作『病院坂の首縊りの家』に登場する老作家夫婦だけが旧知の存在として登場する
 故に、事件の捜査主任として登場する立花警部(原作では警部補)は金田一の業績を知らないが、磯川は知っており、絶対の信頼を置いている
 古谷版ではやはり養生に鬼首村に来ている…が、事務所の家賃滞納問題でトンボ返りする羽目になり、帰省途中に放庵の元妻『おりん』に出会う…結局、嵐の様な大雨で電車に乗れず、泊まった宿でおりんは既に1年前に他界している旨を聞き、放庵宅に取って返す形になる…結局、恩田事件も含めて日和(このTVドラマシリーズには原作に有る磯川は登場せず、シリーズレギュラーである日和と云う警部がほぼ常に相棒になる)の策略である事が後で判る訳だが
 古谷2時間版では、等々力と金田一の両方が磯川に招かれて鬼首村に来ている…等々力は来村と同時に本庁に呼ばれて東京に戻らされるが、古谷一行が演じる金田一のシリーズで磯川が登場するのは、この作品だけである…兎に角、磯川も来て貰ってから用件(恩田事件の再調査)を云い出すと云う騙し討ちはしているのだが
 ちなみに原作に登場するキャラである岡山県警:磯川と警視庁:等々力は共に金田一の良きパートナーであるが、この二人が直接会うシーンは殆ど無い
(まぁ岡山と東京だしねぇ…)
 映像化作品でも当然、会う事は殆ど無いのだが、この作品はその非常に稀な例の一つである
 稲垣版では、やはりシリーズレギュラーが橘署長で、その紹介であり、策略であるのは登場人物を入替えただけで原作準拠と云えなくも無い
 JET版は漫画だけに役者の都合を考えずに登場人物を描けるのが強みで、磯川の作品は磯川で、等々力の作品(東京モノ)は等々力で描き分けている…当然、原作準拠で磯川が策略的に呼んでいるwww

 コレに併せる話になるが、金田一の素性について、原作では『磯川の紹介』である事、上記の通り岡山編だけでもソレナリに後期の作品だし、東京等でも難事件を解決しているので、その名声を一部(放庵や仁礼家の現当主『嘉平』)は知っている所から始まる
 石坂版では上記の通り磯川は知っているが、それ以外は全く知名度が無く(亀の湯で磯川が紹介しているので、亀の湯の女中や息子の『歌名雄』は知っているが)風体から余り頼りになるとは思われてはいない風である
 古谷版では放庵失踪の捜査開始時点で日和から紹介され、それ以前に知っている者はいない様である
 古谷2時間版では、やはり磯川が紹介しており、亀の湯の面子は知っているが、村内では他に知る者はいない感じである
 稲垣版では、シリーズを通して作家の横溝先生が書いている『自分が解決した事件を小説化した本』を持ち歩いて自己紹介し捲るので、逆に有名である
 JET版では古谷版に近いのか、事件発覚まで特に知らされて無い状態であった

 次に肝心の手毬唄についてである
 原作では、読者に紹介する必要も有った為か、冒頭でお喋りお庄屋の唄を1番とする唄(2番が枡屋、3番が秤屋)が記載される
 ちなみに、お庄屋、枡屋、秤屋…そして後に出る錠前屋と云うのは村に古くから有る屋号と呼ばれる風習で、お庄屋は代々お庄屋をしていた多々羅放庵、枡屋は由良家、秤屋は仁礼家、錠前屋は別所家を指す
 話は戻るが、1番目にお庄屋を歌う唄は本来の手毬唄としては様式が可笑しい…三羽の雀は娘の事を歌っているのに1羽目の雀がお庄屋を歌っている…この唄を外して三羽目が歌う娘唄がある筈…と原作では推理される
 また、金田一がこの唄を聞くのは仁礼家の娘『文子』が殺された後に上記お庄屋唄を1番とした3節を聴く事になる
 この事件の前に由良家の娘『泰子』が殺されているのだが、このときに聞くタイミングを外されるのだ
 唄を教えるのは由良の隠居している老婆なのだが、この老婆が食えない性格をしている
 一羽目の唄に準えてお庄屋が失踪、二羽目の唄に準えて自分の孫が殺された事に気付き、三羽目の雀が歌う仁礼の娘も直ぐに殺される可能性に気付きながらも『自分の孫だけ殺されるのは癪だ』と態とタイミングを外した嫌いがある
 また、後で登場するが、お庄屋歌を外して娘のみを歌った唄では、三羽目の雀は錠前屋を歌っており、上記『別所家』の事になる
 別所家は恩田事件の際、恩田幾三が村に逗留していた頃に世話をしており、恩田失踪の後に娘が生まれている…ソレが『千恵子』であり、村では詐欺師・殺人者の娘と迫害を受けたが、東京でブレイクして『大空ゆかり』の芸名で大スターとなっている
 石坂版では泰子殺害時に一羽目として由良の見立て唄を、文子殺害時に二羽目として仁礼の見立て唄を聞かせており、単にボケて殺害状況を聞いて思い出しているだけ、と云う描写になっている
 三羽目の別所の唄は由良の隠居からでなく金田一が唄の載っている冊子の所在を突き止め、調べている
 古谷版では文子殺害時にやはり由良の隠居から一羽目:由良、二羽目:仁礼の唄として聞かされる…隠居はボケてはおらず、原作と同じく自分の孫だけ被害に遭った事に対する抵抗の意味で、文子殺害時まで唄を公表していない描写である
 三羽目の唄は別所の唄になるが、放庵の捜索に関連して神戸にいる放庵の血縁から冊子を借り受け調査される
 古谷2時間版では石坂版と全く同じで、由良の隠居はボケており、泰子、文子の殺害時に其々その見立ての唄だけを思い出して聞かせて来る…三羽目の唄は金田一が岡山学芸大学で冊子を調べて確認する
 稲垣版では映像作品では唯一、お庄屋唄が金田一の耳に入る
 放庵や亀の湯の娘(歌名雄の妹)『里子』も歌うほど、村では知れ渡っている唄の様だが、一羽目がお庄屋の唄なので、別所の唄が無い
 原作と同じく、その違和感から金田一が神戸に調べに行って三羽目の別所唄を突き止める
 JET版では泰子殺害時に一羽目の由良唄を聞かせるが、以降の唄は『忘れた』と聞かせなかった…が、原作と同じく態と教えなかった節の描写がある
 一羽目にお庄屋を歌った唄は、私の見た映像4本、漫画1本では稲垣版でのみ紹介されていたのは特記すべきだと思う
 また、由良の隠居がボケて本当に唄の続きを忘れていた場合と、最初に殺されたのが自分の孫娘である事から、ある意味捜査の協力を拒む意味で敢えて教えてない場合とに分かれるのも見て取れる

 さて、此処で殺される被害者についてに話を変える
 本作では珍しく全ての映像作品及び漫画で被害に遭う人間は同じ人間『だけ』である
(映像化作品で追加の被害者も無いし、原作で殺されてる被害者が助かる例も無い)
 最初の被害者は失踪扱いであった放庵
 次の被害者は『枡で量って漏斗で飲んで』の唄に見立てられ、滝壺に固定された上で口に漏斗を、その上に枡を設置され、滝の水が枡から零れ落ち、漏斗を通して口に入る様設置された由良泰子
 3番目の被害者は『大判小判を秤に掛けて』の唄に見立てられ、仁礼のワイン醸造庫に縁起物の大判飾りを付けた竿秤の近くで殺された仁礼文子
 最後の被害者は別所千恵子の身代わりになり、『小町娘の錠前が狂った』に見立てられ、辻の地蔵脇で近くに錠前と合わない鍵の組み合わせを置かれて殺された青池里子
 以上4人である
 ちなみに娘唄三羽目の『小町娘』は、所謂性的に不能の女性を指す隠語である
 故事に有る小野小町と云う女性は絶世の美女であったにも拘らず、夫を持たず一生貞操を守った事から身持ちの固い娘、転じて性的不能の娘を指す隠語になったとされている
 となれば『錠前狂えば鍵合わぬ』と云う歌詞の意味も自ずと知れよう

 放庵はお庄屋殺しと村で呼ばれる草の毒で殺害され(お庄屋唄でその様に歌われている)、死体を隠されている
 作品毎に『最近死んだ他の村人の墓に埋葬した』とか『沼に捨てた』とか多少の違いは有るが、物語に影響は少ない
(放庵が失踪扱いの時点で、最重要容疑者となり、捜査が迷走する)
 また、原作とJET版でのみお庄屋殺しは『沢桔梗』と云う毒草である旨描写されるが、実際の沢桔梗は確かに毒草だが、人一人殺すには結構な量が必要になる程度の毒なのだそうだ
(原作では毒を盛られて苦しんでる所を首を絞めて殺している…が、検死結果では盛られた毒のみで死ぬ量だった事も判っており、苦しむ放庵に対し、楽にしてやる意味で止めを刺したのではないか、とも思われている)
 ちなみに上記の通り舞台の季節が違う所為か、石坂版ではお庄屋殺しはヤマトリカブトと云う別の植物となっている…トリカブトって位だから、毒性は多分桔梗より強く、ソレこそコレだけで毒殺は可能だったろう
 更に云えば、古谷版(両方)と稲垣版では『お庄屋殺し』と云う俗称のみ紹介され、毒草の一般名称は一切出て来なかった事を付け加えておく
 また、放庵への犯行直前に『おりん(放庵の別れた元嫁)』を名乗る老婆と金田一が遭遇しており、コレが容疑者(又は放庵の変装)と捜査されるが、古谷2時間版のみ、放庵殺害後(ただし、失踪扱いとなる前)に、金田一は磯川と一緒に居る時に目撃している
(他の作品は原作も含めて遭遇は金田一のみ)
 また、このおりんであるが、放庵に復縁願出の手紙を出しているが、コレが数年前の話であり、実際には1年前に他界している事が明らかになる
 金田一は放庵に依頼され、復縁を了解する返事を代筆(放庵にはおりんの死も復縁依頼が数年前である事も犯人に隠匿されている)し、本来コレが『おりん』が村に来る伏線になる訳だが…
 原作・石坂版・JET版では描写されているが古谷版(両方)・稲垣版ではこの下りが無く、突然おりんが登場する事になっている
 最後に放庵失踪の現場にオオサンショウウオが飼われているのが見付かるのは原作から映像作品全てに共通する
(JET版ではカットされていたかな?)
 しかし、原作では『別れた元妻が帰ってくるので、精を付けようとした』と説明されているが、映像作品では一貫して『放庵は鳥目で、特効薬として食う積りだった』とされている
 一応、原作でも夏は『体力が落ちて鳥目がちになるので』と、精を付ける意味は鳥目の一時的な回復を狙った面も有る事を示唆しているが、まぁ色好みの爺ぃが元妻を迎え入れるのだ、意味合いとしては押して知るべしだろう
 兎に角、犯人がおりんに化けて殺害する訳だが、夜(当時は照明が然程明るくないので、鳥目では人の見分けが付かない)であった事が放庵が簡単に騙された理由にしている
 ただし、殺害してから食事等の偽装をしている稲垣版でのみ、サンショウウオは登場するモノの、その用途や理由については言及していない

 泰子の殺害状況については、原作準拠で全ての作品に共通している
 ただ、JET版でのみ、泰子の性格が高慢である描写がされ(原作にもその様な描写は無い)、原作準拠の動機と併せて動機の一因とされている事だけ特記する

 文子の殺害状況に一番差が出ている
 原作では醸造庫の樽の陰で絞殺され、座らされた形で腰ベルトに竿秤が差さっている形で発見される
 石坂版では絞殺死体が樽の中に放り込まれており、肩から上がワインの水面から出ている…更にその上に竿秤が飾られているのである
 古谷版では原作準拠で樽の脇に座って腰に竿秤が差さっている
 古谷2時間版では石坂版に準拠して樽の中に放り込まれて頭上に竿秤が設置される
 稲垣版が一番凄惨で、文子が樽の上に吊るされ、竿秤は文子の喉元に突き刺さっており、ソコから血が伝ってつま先からワイン樽に滴っている形であった…殺害方法もコレで、後ろから近付いた犯人に気付いて振り返った所に槍の様に喉元を一突き(謎解き時の殺害シーンの再現)と云うカナリ残酷なシーンであった…他の作品では一様に(原作含めて)絞殺が死因である
 JET版は石坂版・古谷2時間版に準拠している
 また、文子殺害の晩に、前日死亡した泰子の通夜の席で由良家屋敷の壁におりんを思わせる老婆の影が映し出され、一時パニックになる(原作では、後から金田一・磯川に報告されるだけで、大騒ぎにはなっていない)のだが、この描写が古谷2時間版だけカットされている

 里子の殺害状況は、原作通りだとチト映像化に問題が有ったのかも知れない
 原作では、里子は基本的に和服で過ごすのだが、この時は千恵子の身代わりとなる為に洋服に着替えていたのだ…犯人がソレに気付かず殺害してから『被害者が違う』事に気付く
 そして身代わりであった事を隠す為、着替えさせようとするのだが、発見が早く脱がした所で和服を着せる事が出来なかった
 …つまり、里子は下着姿で地蔵の陰に隠された状態で見付かるのだ
 石坂版では和服のまま路上放置であり、犯人は警察が里子と断定するまで被害者が違う事に気付いていない描写がある
 古谷版では和服のまま路上放置である…が、犯人は間違いに気付いていた描写がある
 古谷2時間版でも和服のまま路上放置であるが、犯人が殺害時に間違いを気付いたかどうかの判別が難しい
 稲垣版では原作準拠で身代わりの為に洋服に着替えているが、特に脱がされてはいない…しかし、殺害時に犯人は間違いに気付いた様である
 JET版はやはり漫画の強みで女優の事など考える必要が無い為、半裸(てか、洋服の切れ端だけが纏わり付いてるだけの、ほぼ全裸)で発見される、また、地蔵の陰に隠されている描写もあり、殺害時に間違いに気付いたのだとソコから判断出来る

 …と、此処までで結構な字数になっており、以降も調子に乗ってたら12KBを超える文章量になっている…丁度以降の部分は事件の真相に迫る部分だし、この辺で1回〆て置きたい
 次回はこの続きを予定している
 ソレまで皆様、お待ち戴ければ幸いです
 御多幸をお祈りしております^^

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2016年5月24日 (火)

悪魔の手毬唄(漫画:つのだじろう版、ネタバレ多数)

 書く事が無いので場繋ぎでwww

 いや、実は買う積りは無かったのだが間違いで入手して仕舞ったのだwww
 先日の更新で現在、悪魔の手毬唄を読書中である旨書いたが、コレは前回の記述通り、映画1本TVドラマ2本の計3本しか視聴しておらず、今後リリース予定の古谷2時間版のTVドラマは3ヶ月後になる予定である
 漫画版も複数出ている様だが1作も持っておらず、私的に金田一を描かせたら一番良さ気だったJET氏の作品も持ってない
 時間に余裕の有る話だが、古本で良いから入手したい…と云う事で、先ずブックオフとまんだらけを調べたが該当が無かった
 最後に藁にも縋る思いでAmazonを調べてみたら…見付かるぢゃんwww

 少々検討した上でポチったのだが(その時、併せてJET版悪霊島も見付けたので、一緒にポチった…出してる店が違ったので、別発注扱いになったが)、翌日発注を確認して吃驚
 作品名に悪魔の手毬唄、作者にjetとなっていたのだが、価格等が2段で書かれており、その下段のリンクをポチったら、似たような扉絵に書かれた作者が『つのだじろう』となっていた事に気が付いたorz
 取り敢えず、JET版を改めてポチったのだが、つのだ版も取消しせずにネタとして比較も良いか、と思って放置した…と、云うのが入手経緯である
 つのだじろう…私の年代では『恐怖新聞』や『うしろの百太郎』が印象に深いが、どぉも原作付きの漫画を描いているイメージが無い

 まぁ良い、さて、最初に届いたのがつのだ版(その後、JET版悪霊島が届き、現在、JET版手毬唄は発送完了のメールが届いた)だが、読み切って最初の感想は『別の意味でネタになるな、こりゃ』であるwww
 変に原作と比較とか、しようモンなら中途半端に合致してる部分が有るだけにタチが悪く、別記事にするしかない、と思って今回の更新になったwww
 話の8割方が違うが1割強合致するからタチが悪いwww

 さて、原作は半分と少々先まで読み終わった…仁礼文子が死んで金田一が手毬唄を聞かされて…と云った辺りまでである

 で、舞台設定だが、原作では昭和30年7月に金田一が鬼首村に滞在を始め、事件は8月に入ってから起こる
 つのだ版は昭和50年8月の事である…地文等で説明は無いが多々羅放庵に来た元妻のおりんからの手紙について、消印が昭和40年となっており、コレを10年前と云っている事、最初に金田一が岡山県警に呼ばれた際に掛かってた垂れ幕の交通安全週間周知が8月だった事から読み取れる
 ちなみに、wiki情報だが、描かれたのは1984年(昭和59年)である
 場所は岡山県と明記しており、原作と同じである
 詳細は漫画には無いが、昭和50年でバスも通ってない片田舎…と云う事なので、まぁ寒村と云う部分に異論は出ないだろう

 金田一の来村動機は原作では養生の為(本当に休暇を満喫する為)で、ソレを磯川警部に旨い事利用された形である
 静養の為に良い場所を紹介して欲しいと依頼した金田一に、磯川が紹介した場所は昭和7年に発生、既に時効を迎えた(当時は殺人の時効は20年、現在は殺人等凶悪事件に時効は無い)殺人事件現場であり、その話を聞かせて捜査協力をさせようと目論んだ訳だ
 そんな中、関連したと思われる失踪・連続殺人事件が起きて…となる
 つのだ版では磯川警部から20年前の殺人事件の再調査をして欲しい、とバッチリ依頼される
 殺人事件の時効が廃止されたのは2010年、平成22年の事なので、昭和50年当時でも時効は成立していた後の訳だが…まぁだから、警官個人が私立探偵に捜査依頼を出来たのかも知れんが

 しかし、肝心の金田一の外見がナンともはや…丸眼鏡に上下揃いのスーツ、ネクタイであり、口髭も生やしているwww
 映画でも、まぁ八つ墓村の渥美清の様に(アレは完全に寅さんだよなwww)原作のスタイルでないモノが多々有る…と、云うより石坂浩二の映画以前は原作のスタイルを再現した金田一が居なかったと思える程であるが、コレもまた笑うしかない
(昭和50年と云う時代では、逆に原作準拠スタイルの方が目立つかも知れないが)

 人間関係として、仁礼と由良の対立とか、村の青年団での人間関係とかそう云うモノはつのだ版には一切描かれていないwww
 併せて云えば、狙われた3人(由良泰子、仁礼文子、別所千恵子)はユニットを組んでアイドル活動をしている
 しかも歌ってる歌は手毬唄を元にしたと云われる殺伐とした歌で、3人ともトップレスで下半身も裾無しレオタードの様な、体を強調した衣装でである
 ユニット名リリス、3人も其々芸名を名乗るが悪魔に由来したと云われる名に苗字を併せて(別所千恵子は大空ゆかり名では無い)名乗っている

 昭和50年と云えば、丁度日本中がオカルトブームの真っ只中、資料に依ると小松左京の『日本沈没』が1973年(昭和48年)、翌年に映画『エクソシスト』大流行、TVでも『あなたの知らない世界』がスタートして心霊現象をTVで真面目に解説する番組が後を絶たなかった時代である

 兎に角、そのヒット曲を其々1コーラスづつ計3コーラスを歌うのだが、事件はこの3人が自分で歌う歌詞の通りに殺される…と云うモノである
 ただ『リリスのヒット曲は手毬唄の歌詞を基にした』と云うのは解決寸前で判る事で、リリスの歌の歌詞は小説や他の映像作品等で流れるアレとは全く違う
 要点を比較すると其々こうなる
 由良:錆びたナイフで両目を抉り、両手首を切り離して川に流す
(原作ではうわばみ娘、枡で量って漏斗で飲んで)
 仁礼:ハリネズミの様に釘を満遍なく打ち込んで
(原作では爪長娘、大判小判を秤で量り)
 別所:凍らせた人の腿肉を使って一撃で
(原作では小町でござる、錠前狂えば鍵合わぬ)
 …何処をどう参考にすれば原作の歌詞から、こんな歌詞になるのか…
 上記の通り、一応解決間近で鬼首村に昔から有る手毬唄を青池源治郎が改訂した…と、判明するが絶対最初から作詞した方が早いたろうwww

 さて、20年前(原作では23年前の昭和7年)に起きた鬼首村の詐欺及び殺人事件について、被害者とされる青池源治郎は原作では亀の湯の次男坊で神戸に行って活動映画の弁士になり、トーキー及び字幕スーパーにより職を失って村に戻ったのだが、つのだ版では歌手を目指して村を出て、ドサ回りコンサートの前座止まりの鳴かず飛ばずで村に戻った事になっている
 この時に詐欺・殺人の犯人とされた恩田幾三は原作ではモール飾りの機械を売り付ける詐欺(原作では結果的に詐欺になったが、元受会社が倒産しなければソレで本当に儲ける積りだったのではないか、と云う解釈もされている)を働いたが、つのだ版では芸能プロを装ってデビュー詐欺をしている(詰まり、こちらは最初から騙す積り満々である)

 亀の湯に残った源治郎の妻リカだが、つのだ版では子は里子のみであり、歌名雄の存在が飛ばされている
 狙われた3人が全員歌手デビューして都会でやっているので、村で恋仲になる事も無く、歌名雄の必要性が無くなったからなのだろう
 で、此処は原作と同じなのだが、別所千恵子の身代わりになり、青池里子が殺される事になる
 また、殺人動機も基本線は同じく、20年前の事件は源治郎の浮気に対する嫉妬での殺人で、現在の事件は同じ源治郎(幾三)の娘でありながら、1人醜い痣を付けて生まれ付いた我が娘への愛から、残りの3人を嫉妬して…と云う事である
 推理途中で金田一が箇条書きにした要点として『放庵の生死、また所在は何処に?』や『放庵の生活費は何処から?』等、10ヶ条位の疑問点に付いても原作小説に載っている
(死体の状況が違うので、その辺の改変はされているが)

 が、20年前の事件について、被害者と加害者が入れ替わっているのでは? と云う疑問点に対し、青池源治郎と恩田幾三の写真照合をしていない(金田一が進言して照合、直ぐに同一人物と判明した…ちなみに、原作では恩田も源治郎も写真嫌いで写真を残して居らず、当時も照合を試みたが結局出来なかった…となっている)とか、犯人を追い詰める方法がイタコを装い嘘の降霊術で容疑者『おりん』の霊を宿した振りをして犯人に問い詰めるとか云う『昭和50年だろ? 引っかかるのか?』と云う手法だったり、今読むとカナリ笑えるのだ
 頁数等での制約が有ったのかも知れないが、穴が多い…

 降霊術云々については、冒頭に有る通り、私の世代ではつのだじろうと云えば恐怖新聞等のオカルト漫画で第一人者だったのだが、そのイメージが抜けずに今読むから、笑いになるんだろぉケドなwww
 上記の通り、昭和50年と云えばオカルトブーム真っ盛りで、日本中が心霊現象を真面目に信じていた時期ではあるのだが…

 今後、届くだろう原作にカナリ準拠している筈のJET版と今読んでいる原作小説も含め、映像化作品も4作(石坂劇場版、古谷TV全6回版、稲垣TV版、古谷2時間版)が出揃ってから、改めて6作比較をやりたい
 まぁ今回は番外編、と云う事で短く纏めた

 次回は…ナニが有るかなぁwww
 記事になる様な事は…あぁXライダー速水亮氏の第2回FC大会が週末に有るので、その辺が良いかも知れない
 記事が間に合えば、だけどwww
 ソレまで皆様、御多幸を^^

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2016年5月17日 (火)

獄門島 読破(ネタバレ多数)

 と、云う訳で最近、乱読している横溝正史の金田一モノだが、獄門島を読破した
 大昔、小学生の時分に図書クラブ(課内クラブ)に所属しており、その時に一度読んだが、小学生用のハードカバーだったので、多分有る程度年少用にスポイルされたモノだったのだと思う
 故に、有る意味初見に近い積りで読んだ
 話の内容は概略として映像化作品を複数見ているので、ある程度把握しているが、今回もまた違い等を列挙してみたい

 さて、この作品、現時点で映画2本とTVドラマ4本の計6作の映像化作品がある
 取り敢えずリストアップすると(wiki情報)

劇場映画
 1949年(金田一は片岡千恵蔵:前後編仕様)
 1977年(金田一は石坂浩二)

TVドラマ
 1977年(金田一は古谷一行:1時間枠 全4回)
 1990年(金田一は片岡鶴太郎:2時間半枠)
 1997年(金田一は古谷一行:2時間枠)
 2003年(金田一は上川隆也:2時間枠)

 この内、私が見ているのは石坂版映画と古谷版(両方)、鶴太郎版の4本で、映像化作品では無いが、JET著の漫画版も所持している
 以降は原作・石坂版・古谷版・古谷2時間版・鶴太郎版・JET版を比較して書いて行きたい

 先ず時代背景だが、コレは殆ど変わらない
 まぁ最後のオチが復員詐欺(戦死した戦友の実家に『生きている』と知らせると御馳走も礼も奮発するので、ソレを当て込んで詐欺を行う事。広報等政府通達で戦死が判明すると出来ない詐欺だから、戦後直ぐでないと不可能)なので、昭和21年で固定され、季節も見立ての『季違い』が鍵になるので夏~初秋で固定する…筈なんだが
 『季違い』を『気違い』に聞き違えるミスリードが放送自粛用語に引っかかる関係で、飛ばされたり改編されたりと本来のキモの筈なのに映像化の時点で結構不遇である
 実際、殆どが夏又は8月等、夏を示しているが、古谷2時間版では季節の名言をせず、金田一は終始マントを着込んでいるので、秋~冬なのかも知れない

 場所は瀬戸内、岡山県側の孤島なので、登場警察は岡山県警となり、原作では磯川警部とペアを組む事になる
 石坂版では等々力警部(原作では等々力警部は警視庁の警部で、シリーズ中盤以降になる東京モノでコンビを組む、病院坂等は等々力警部が活躍する…病院坂の下巻では定年退職をして、この人も私立探偵になるんだが)である
 古谷版・鶴太郎版・JET版でも原作と同じ磯川警部だが、古谷2時間版ではシリーズ後半レギュラーだった河合警部(オリジナルキャラ)になる
 まぁ尤も、原作では磯川警部と等々力警部のキャラクターは書き分けられているが、映像化作品では金田一が推理するのに必要な証拠・情報提供と云う役割と、空回りする公的捜査の象徴としての警察(捜査主任)が必要なの出ているに過ぎず、役名は何でも、やってる事は殆ど変わらない事が多い
 石坂版についてのみ、シリーズを通して『担当警察官は金田一を知らない』と云う設定で始まるので、警察は一貫して非協力的だが、一緒に捜査して行くに従い打ち解ける展開になる

 本来、金田一が世間に出る2作目の事件(1作目は本陣殺人事件)で、一緒に捜査した磯川警部は本作では既知と云う話であり、古谷版・鶴太郎版・JET版でも磯川警部と既知と云う設定で話が続く
 当然、古谷2時間版での河合警部もシリーズレギュラーなので、金田一とは既知である
 また、警察関係では島の駐在である清水巡査が金田一をある程度信用しながらも行動が妙だ、と云う事で最初の花子殺害事件後に1晩留置所に入れる(その間に雪枝殺害が起こる)のだが、原作ではただ『金田一が怪しい』だけでなく、磯川警部も遠因の一つとなっている
 と、云うのも、やはり話の途中で一つの核となる部分に海賊行為をしていた復員兵が島に1人潜伏する一節が有る(復員すると思われていた一と勘違いする等、物語にも絡んでくる)のだが、ソレの捜索で清水巡査は花子殺人の前に磯川警部と顔を合わせるのだ
 その際、磯川警部が思わせぶりな(友人とは云わずに『知っている、大物だ、大事件が起きるかも』の様な)事を吹き込んだ所で、殺人事件が起きたモノだから…と云う背景も有った
 コレが映像化されたモノは私の見た4作には無かった
 また、古谷2時間版では清水巡査が本庁栄転を狙う野心家で、勇み足で金田一を拘留、河合警部に怒られる…と云う展開も有った
 また、この時は河合警部の登場が非常に早く、拘留直後に河合警部が誤解を解いて釈放したので、雪枝殺害時に金田一はフリーになっていたのだ…が、雪枝が行方不明と云う夜には本鬼頭で留守居をさせられており、結局、犯行を防げない…と云う展開になっている
(他の映像作品・漫画では基本的に『事件慣れしており、清水巡査よりも早く証拠品の発見等をしている等、素人とは思えない言動』と『全てが身内に近いこの島で殆ど唯一の部外者』と云う立場から拘留に至った、とされている)

 場所及びソレに伴う警察関係は以上かな
 次に金田一の来島動機だが、鬼頭千万太の遺言と云う基本線は変わらない
 原作・古谷版・鶴太郎版・JET版の4作が戦友である千万太を看取っており、その際の遺言で『自分が死んだら3人の妹が殺される、ソレを防いでくれ』と託されている
 鶴太郎版でだけ、千万太は戦地で病死となっており、原作を含め他の3作では、戦争では生き残り、復員船の中で病死となっている
 更に、鶴太郎版では『祖父が』3姉妹を殺すと明言しており、来島当時、嘉右衛門が戦時中に病死している事を知った金田一が、事件は起こらずに済むと安心する場面があった
 石坂版では『千万太を看取ったのが金田一の友人であり、遺言を託されたのもその友人。ただ、その友人も病気で来れなくなったので名代として金田一が来た』と云う展開になっている…故に、この作品では金田一は千万太の顔を知らないで島に来ている
 更に古谷2時間版でも金田一が千万太を看取ったのは事実だが、厳密には戦友ではなく、金田一の依頼人と千万太が同じ病院に入院をしており、見舞いを重ねる内に知り合いとなり、依頼を受けるに至った事になっている
 その関係で、職業が探偵である事は速攻でバレている
(来島動機になる遺言云々は伏せているが)
 更に、古谷2時間版では、千万太の遺骨を持参しており、本鬼頭の家に入る際『鬼頭千万太君の御帰還です』と口上を入れて家に入っている
 原作・古谷版・鶴太郎版・JET版は千万太の金田一紹介文(和尚・村長:荒木・村の漢方医:幸庵の連名宛て、静養したいとの要望に沿って島を紹介した、と記載)を持って来島しており、本来の目的を隠している
 石坂版では上記の通り、千万太と金田一に面識は無いのでの絶筆と云う形で『故郷を目前に死ぬのは嫌だ。島でやらねばならない事が有る』と書いた手紙を友人経由で受け取っており、千万太の関係者だと身を立てている
 古谷2時間版では、遺品として千万太の腕時計を持参しており、手紙等は持っていない

 人間関係も大局では大きな違いは無いが、結構詳細では違いが出ている
 本鬼頭に千万太と一(古谷2時間版では肇)、被害者になる月代・雪枝・花子の姉妹と一の妹の早苗、住み込み女中に勝野、千万太の父親の与三松、大戦中に死亡した嘉右衛門は大抵揃っている
 与三松は気を違えている設定が放送自粛に引っかかるのか、古谷2時間版ではお小夜を追い出された反動でヒロポンに手を出して中毒になっている設定で、鶴太郎版ではソモソモ登場していない
(千万太の父親なのだが、殆ど説明無しで画面登場も無かった気がする…了念和尚の口頭説明だけで飛ばされた気がする)
 勝野については、石坂版では大きく扱われている(後述)が、古谷2時間版では登場していない
 分鬼頭では儀兵衛、お志保(石坂版では巴)、鵜飼章三が基本的に揃っているが、儀兵衛は既に死んでいる(古谷2時間版)と云うケースがあった
 村の顔役である了念和尚、村長の荒木、漢方医の幸庵(古谷版では鍼医師)も全員全作品に登場している
 了念亡き後、寺を引き継ぐ典座(食事等雑務を担当する修行僧)である了沢も全作品に登場している
 更に、古谷2時間版では、嘉右衛門・肇と早苗の父・儀兵衛は3人兄弟となっており、分鬼頭は分家と云うより、兄弟喧嘩での分裂となり、肇は嘉右衛門の甥(早苗は後述)と云う設定で話が始まった
 同じく古谷2時間版では、月代が島を牛耳る事を意識しており、現段階で実質本鬼頭を取り仕切っている早苗に敵愾心が有る描写がある

 最後に被害者3姉妹の母親であるお小夜だが、唯一古谷2時間版でのみ島を追い出されただけで生きており、嘉右衛門への恨みを金田一にブチ撒けている

 更に古谷版では与三松が気を違えて座敷牢に…と云う展開は無い
 原作を含み殆どの作品で、座敷牢、一つ家、お小夜の発狂・死亡、与三松の発狂の関係は以下の通りになる
 与三松、お小夜を見初めて身篭らせる
 →お小夜、出産を期に本鬼頭に入る
 →お小夜、聖天を名乗り加持祈祷を始める(与三松が一つ家を作る)
 →お小夜、在る程度信者を集めて新興宗教になり、寺を攻撃する
 →了念和尚の怒りに触れ、網元・寺を敵に回す事で旗色が悪くなる
 →お小夜、発狂(信者を折檻して半殺し→信者離れ)
 →嘉右衛門、座敷牢を作り、お小夜を隔離
 →お小夜狂死の後、与三松発狂、座敷牢に

 古谷版ではこうなる
 与三松、お小夜を見初めて身篭らせる
 →嘉右衛門、お小夜の本鬼頭入りを認めず、与三松を摂関
 →与三松、摂関の後遺症で精神障害
 →お小夜、与三松の治癒を祈り加持祈祷を始める(一つ家が出来る…誰が作ったんだ?)
 →お小夜、了念・村長・幸庵に与三松の精神状態の発端と攻め立てられ入水自殺
 →お小夜の自殺を知って、与三松の精神状況悪化、隔離(特に座敷牢にはなってない)
 …ナンか、お小夜さん余所者ってだけで迫害受けてるだけの良い人ぢゃん

 また、古谷2時間版では上記の通り与三松はヒロポン中毒と云う事になっているが、その辺も展開を書くと
 与三松、お小夜を見初めて身篭らせる
 →与三松、お小夜と別棟(コレは与三松が建てたか)で生活
 →嘉右衛門、与三松・お小夜の家に殴りこみ
 →お小夜、一つ家を建てて嘉右衛門を呪う祈祷
 →嘉右衛門、お小夜に毒を盛り殺人未遂
 →お小夜、単身島を逃げ延びて神戸で暮らす
 →与三松、ヒロポンに走り、中毒に
 此処までお小夜が嫌われた理由が『単に余所者だから』なのだから困ったモノで、まぁ昭和初期~中期辺りまでの島国根性が抜けない時代、と云う事で目を瞑るしかないだろう

 石坂版ではお小夜の発狂が確認され、座敷牢に閉じ込められる前に嘉右衛門に手篭めにされる描写も有った
(その時、与三松はまだ正気だった筈だが、どうしてこうなったwww)

 コレらに関連するが、原作を含めて殆どの作品で与三松は気を狂わせている設定となっており、基本的に怒鳴り声と唸り声位しかない
 しかし、古谷版では発作的に怒鳴る・唸るは在るのだが、意識はハッキリして台詞も有る…ただ、娘の死亡を聞かされても『清い体のまま母の所へ行った、私も早く行きたい』と少々常軌を逸した思考回路をしている設定である

 殺人トリックも、基本的に全て同じで原作に準拠しているが詳細に違いが出ている
 石坂版は以下の変更が有った
・花子については撲殺している(原作を含め、他は殴って昏倒させた所で絞殺している)
・雪枝殺害自体は原作準拠だが、梃子の原理で鐘を持ち上げた際、強風により棒が外れて鐘が落ち、雪枝の首が切断されて海に落ちる描写があった
・犯人を変えた(後述)関係で、月代の殺害に『片手で手拭を使って絞め殺す』と云う難しい事をする為のトリックが省略されている
 古谷版は幸庵が雪枝を、村長が月代を殺害している(この2組について犯人を入れ替えている)ので、幸庵の腕の負傷(雪枝殺害の後に負傷している)は月代殺害と何の関係もなくなっている
 古谷2時間版でも数点違いが有るので箇条書きにする
・花子殺害の為に呼び出した手紙は了念が書いており、筆跡から犯人が判る展開になった
・古谷版と同じく幸庵が雪枝を、村長が月代を殺害しており、幸庵の腕も負傷する描写が無い
・雪枝遺体発見の釣鐘は『天狗の鼻』と呼ばれる崖っぷちではなく、洞窟っぽい通路上であった事で、釣鐘が歩く(擬装用の演劇で使う釣鐘を見間違う)辺りの描写が無い
・俳句の見立てである事を月代殺害の前に金田一が気付き、月代の警備を厳重にと依頼して有ったが、警察のドジで殺害される(金田一はお小夜に会いに神戸に出ていた)と云う展開になっている
 鶴太郎版では花子殺害の呼び出した手紙の渡し方が桂の木ではなく、水神様の祠に変更されていた事、和尚が雪・月の呼び出しには金田一の名を騙った旨告白している事等が変更されている
 最後にJET版は完全に原作に準拠し、幸庵は雪枝殺害の時期に復員兵と立ち回り、左手骨折を負い、月夜殺害にはトリックを使った

 犯人も石坂版を除いて原作に準拠している
 コレは映画公開が同年のTVドラマ版(古谷版)と重なった為に原作者了解の下に脚本を変更、雪・月の実行犯を勝野に変更したのだ
(また、この事に伴い、横溝・市川・石坂コンビでの映画5本全てで『女性が殺人を犯す』と云う定説が出来る事になる)
 この動機を作る為、勝野は本鬼頭で住み込み女中をした際に嘉右衛門に手篭めにされ、一と早苗を産んだ(つまり、早くして亡くなったと云うこの兄妹の両親というのは、誤魔化す為の偽装)と云う設定を新たに加えた

 次に、この作品を語る上で外せないのが推理の鍵になる了念和尚の呟き『きちがいじゃが仕方あるまい』であるが、この辺りを比較する
 コレは見立て殺人の元になる俳句は鶯を歌った春の句であるのに、事件の舞台は夏~秋にかけてである事を嘆いた呟きだったのだが、コレを気を違えている与三松の事と金田一が勘違いする一節である
 『気違い』が放送自粛の対象になった所為で、放送倫理と関係ない劇場映画である石坂版・漫画作品であるJET版では普通に使われているが、古谷版では『きが変わっているが仕方がない』と云い回しを変えている
 古谷2時間版ではソモソモこの辺りは省略され、鶴太郎版では樹が違っている(鶯の歌だが、吊るされたのは梅の木ではなく銀杏の木)と台詞は使うモノの、ミスリードする先を変えて使っている
 ちなみに原作だが、花子殺害現場で金田一が『聞いたと主観した台詞』は『気ちがいじゃが仕方がない』だが、最後の推理説明の際に金田一が『そう聞こえたと思ったんですが、実際には「季が違っているが仕方がない」と言っていた』と語っている

 犯行動機も基本的には殆どが原作に準拠しているが詳細に変更が有る
 古谷版では、お小夜憎しが先に立っていたのか、一の生死は関係無く千万太が死亡していれば犯行を実行する積りだった…と説明されている
 つまり、復員詐欺が有ろうと無かろうと、金田一が千万太の訃報を届けた時点で犯行動機は成立して仕舞った訳だ
(まぁ金田一が知らせずとも広報で知らされたとは思うが)
 石坂版の勝野については、和尚にこれ以上手を汚して欲しくない、併せて云えば自分の腹を切って産んだ子を本鬼頭の頭領にしたいと思って、と云う心理であった旨説明されている
 古谷2時間版だけ大きく変わっており、千万太・肇が両方死んだ場合に3姉妹を殺せ、と云う条件になっていた…この場合、復員詐欺で肇が生還と思われていたので動機が成立しなくなる訳だが、肇の戦死通知が実家である本鬼頭に届かず、寺に届いていた(つまり、物語最初から、早苗は復員詐欺に引っかかっていたが、和尚たち犯人3人は肇の死を知っていた)事が逆に嘉右衛門の執念を感じた、としている
 更に、早苗が嘉右衛門の実の娘(肇の母を嘉右衛門が強姦し、産ませた子)である設定が付け加えられ、コレも動機の一つとなっていた事が物語の最後で暴露された

 また、千万太が死ぬと姉妹が殺される、と云う事を千万太自身が知っていた事について、原作では千万太と一の出征前に嘉右衛門から直接話された、と云う事になっており、コレに準拠したのは鶴太郎版である
 古谷版・古谷2時間版・JET版ではその経緯については省略されており、石坂版では勝野が千万太に手紙で知らせた事になっている

 実行犯である村長・幸庵の両名は、原作では犯行を行う気は基本的に無く、了念和尚が実際に『始めてしまったから』犯行を起こした、と云う心理だった
 石坂版でも村長・幸庵は真相を知っていながら故意に隠していた訳だが、コレに付いても消極的な協力、と云う位置付けで説明されている
 古谷版では、了念・村長・幸庵の3名とも嘉右衛門に心酔しており、積極的に犯行をしている感じであった
 他の古谷2時間版・鶴太郎版・JET版では特にソコまで描写されていない

 では、実行犯の主犯格である了念だが、コレも原作では基本的に犯行を実際に行うつもりは無かった旨、告白している
 ただ、千万太の死が一の生還(復員詐欺)の翌日に知らされ、更に雪枝殺害の見立てに必要な釣鐘が返還される(戦争の鉄不足で徴収されていた)と知らせがほぼ同日に来た事で、嘉右衛門の執念を感じて実行に移した、とされている
 映像化作品でも基本的にこの辺は変わっていない

 更に、推理の手がかりになる枕屏風(犯行の見立て元になる句三首の短冊が貼られている)を金田一の寝室に置いた事について、原作ではある種のスポーツマンシップだったとしており、金田一の素性(難事件解決歴の有る探偵)を事前に知っていた和尚が在る意味『途中で気付いて止めてくれる事を祈って』置いた(明言はしていないが、行間的にそう読める)としている
 古谷版では、コレを了念和尚から金田一宛の挑戦と推理し、了念も特に否定はしなかった
 鶴太郎版では、より攻撃的に『千万太の遺言で殺人を阻止しようとした金田一は失敗し、嘉右衛門の遺言で殺人を決行した犯人側は遺言を実行出来た、犯人側の勝利である』と金田一相手に勝ちを名乗り大笑いしている
 その後、一の訃報が舞い込んで『しないでも良い殺人をした貴方も負けだ』と金田一に返されるが、その時は既に犯行を全て終えて満足した和尚は腹を切っており、事切れていた…と云う展開である
 ちなみに他の映像化・漫画作品ではその事に触れていない

 事件解決後の犯人達であるが、原作では一の訃報を聞いて幸庵は発狂の上自殺、村長は島外逃亡、和尚は憤死となっている
 JET版では幸庵が発狂、村長が自殺、和尚が憤死である
 石坂版では和尚・勝野が二人で崖から身を投げている
(村長・幸庵は犯人隠匿等の関係で警察に逮捕される)
 古谷版では、了念は念仏を唱えながら死亡(多分、事前に服毒していたと思われるが、その具体的な描写が無い)、村長が一つ家(月代殺害の現場)で首を釣り、幸庵は天狗の鼻(雪枝殺害現場の崖)から身を投げている
 また、犯人とは関係ないが、寺で了念・磯川を前に謎解きをしている最中、外で分鬼頭のお志保が聞いていると云う独自展開があった
 古谷2時間版では3人とも素直に逮捕されており、特に誰も自殺や発狂等の描写は無い
 鶴太郎版では了念和尚だけ、『やることはヤった』と陰腹を切って自殺、他の2人については詳しい描写は無かった

 最後に事件解決後の舞台だが、原作では用の無くなった金田一は東京に帰るのだが、その際に早苗を誘っている
(金田一シリーズ数少ない(本作と『女怪』のみ)の金田一耕助の恋愛沙汰である)
 石坂版では特にその様な展開は無く、古谷版では真相を知って自殺を図る早苗に対して今後の本鬼頭の未来を説いて島に止まるよう勧めると云う原作と真逆の展開になっている
 古谷2時間版では、早苗から晩酌に誘い誘惑っぽいことをするシーンも有ったが、結局は事件後早苗は島に残る選択をする
 鶴太郎版ではヒロインの座は何故か月代に移っており(鶴太郎の金田一シリーズは、牧瀬里穂が全て違う役で登場し、ある意味プロモーションされていた。この時も月代の配役が牧瀬だった事が金田一との恋愛沙汰になったと思われる)、早苗は最後に島外に誘われる描写は有るが、余り恋愛感情的な感じは受けない
(当然、早苗は島に止まる事を選ぶ)

 最後に金田一と復員詐欺の来島時期のズレだが、鶴太郎版では 金田一と復員詐欺が同じ船で来島してる描写が有る
 原作・古谷版・JET版では完全に入れ違っており、復員詐欺が島外に出てから金田一が到着している
 石坂版では復員詐欺が笠岡に到着した時に金田一が笠岡に到着し、獄門島への連絡船が着く埠頭を聞いているし、古谷2時間版では復員詐欺が本鬼頭を出る時にすれ違っている

 取り敢えず…っても結構長くなったな、以上で読破・視聴した比較検討の結果である
 現段階では悪魔の手毬唄を読んでいるが、コレの映像化作品は映画2本、TVドラマ5本(内、視聴済が映画1本、TVドラマ2本,追加で3ヶ月後位に今回買ってるシリーズで古谷2時間版が付録される予定)である…JET版漫画もあった筈だが未入手、と云う事で比較材料がかなり少ない
 それよりも、悪霊島が映画1本、TVドラマ2本で、先日のDVDコレクションで古谷版を入手したので全作確認した事になっている
 場合によっては、手毬唄の後に悪霊島の原作を読んで記事にするかも知れない

 次回更新は…短く纏めたいなwww
 ナニを書くかは、まだ決めてない
 ソレまで皆様、御多幸を^^

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2016年3月22日 (火)

病院坂の首縊りの家、読破(ネタバレ多数)

 ナンか最近は、ウチのブログ検索ワードに八つ墓村が多い
 まぁ映像化作品9本中5作を見比べる(更に原作及び漫画を1作)とか、結構マニアックな事してるしなぁ…

 で、調べてみると『慎太郎 嫌われる理由』と云うワードが目に付いた
 コレは本作で物語の発端が『多治見の財産を里村慎太郎に相続させない為に辰弥を村に呼ぶ事にしたから』であるのが気になるのだろう
 まぁ、犯人の意図からすれば、上記条件が無くとも犯行の動機は有ったのだし、犯行が起きれば『別件で村に呼ばれていた』金田一も乗り出したろう事から、解決もしただろうと思われる
 そう云う意味では、飽くまでも『慎太郎が多治見家内で疎まれている事は、辰弥が巻き込まれる原因』でしかない訳だ
 で、それにしても何故ソコまで慎太郎が嫌われたか…映像化作品では特段説明している作品は少なかった(しかも、非常に印象に残らなかった…誰版だったかな、1件有ったのを覚えている)のだが、その辺を一応書いておこうか

 慎太郎自身は、確かに敗戦を境に没落したが、少佐まで進んだ人物だし、品行も悪くない…確かに多治見姓を名乗ってはいないが、慎太郎の父親が、里村の一人娘を娶った関係で里村姓が無くなる事を危惧し、婿になった形で里村になっただけで、歴とした多治見の血族である
 では、何が嫌われる原因になったか、と云えば、その父親だが、32人殺しの要蔵の弟だった事が原因である
 長男がアレ(我侭放題に育った関係で、村で好き勝手やった上で、婚約者の居る鶴子を路上強姦の上強制的に妾にし、逃げられたと知って32人殺しとか…もぉ何処から突っ込んで良いモノやら)であったのと対照に、非常に人格者だったらしいのが原因の様だ
 大正~昭和初期で長男偏重の時世で、長男よりも人望・能力共に秀でていると周囲に認められた次男は、お家騒動の原因になると思われ、徹底して排除されたそうで…その名残で、その息子であり、没落したとは云え将校にまでなった慎太郎を疎む風習が出来た…と云う事らしい
(併せて云えば、現時点では没落して完全に無一文、多治見に養われてる境遇…と云う事も要因ではある訳だが)
 辰弥も久弥と云う兄(要蔵の実子)が居た訳だが、慎太郎の父の場合は、長男:要蔵に既に子(久弥)が居たので、要蔵が使い物にならん場合でも久弥に継がせれば良かったから不要とされ、辰弥は久弥に子が居なかった(更に云えば、別に久弥は病弱なだけで人格云々で別の跡継ぎを用意する必要が出てきた訳では無い)から呼ばれた…と、云う事なのだろう

 その辺は、本当に明治~昭和初期に生きてきた横溝氏だから書いた話であり、現代の教育を受けている我々は説明されれば『そう云う時代も有ったんだな』で理解はするが、多分ソレを常識と云う形で書く事は出来ないんだろう
 そう云う意味では既に明治~昭和初期(第二次大戦前)辺りまでは時代劇の扱いになって仕舞っても仕方の無い事なのかも知れない


 

 さて、イキナリ話が逸れたが、やっと『病院坂の首縊りの家』の文庫(上下巻)を読破した
 先日、映像化作品(石坂版映画と古谷版2時間ドラマの2本しか作られていない)の解説は行ったので、原作について少々書き留めて置きたい

 以前の記事にも記したが、この事件は確かに色々人が死んだが、結局は脅迫事件だったのだ、と云う印象が抜けない
 舞台は上巻が昭和28年、下巻が昭和48年の港区高輪である
 映像化作品では、石坂版は昭和26年の奈良県吉野が舞台になっており、古谷版は原作(上巻)と同じである…石坂版は場所はロケ地の関係と云えなくも無いが、時代を2年手前にした意味が良く判らない…監督の市川崑氏は横溝作品の造詣に深い人だし、2年ばかり変えた所で何が変わる訳でもないと思うのだが…

 死亡者(事件で死亡した者)数は、山内敏男・法眼由香利(上巻)及び本條直吉・吉沢平吉・山内小雪(下巻)の計5人である
 病死として、本條徳兵衛・法眼弥生(下巻)が物語にかなり重要な位置を占めているが、こちらは間違いなく病死であり、事件性は無い

 映像化作品だと、時間経過が無い(事件勃発の昭和20年代で完結している)事から、徳兵衛が『殺され』、直吉は生き残る(石坂版では直吉も怪我を負うが、古谷版では完全に被害無く生き残る)

 また、吉沢は確かに殺されているのだが、動機がまるで違い(ってか、犯人が違うから動機が違うのも当然であるが)、原作では下巻での殺人犯の共犯となり…まぁ犯人としては、最初から吉沢も殺す事を計画の一部に練り込んでいた…更に云えば、元『怒れる海賊たち』の面子を全員殺す計画だった所を、金田一に阻止されるのだ
(吉沢の殺害は、金田一の予想以上に素早く行われたので防げなかった)
 そう、殺人防御率が激低と云われる金田一だが、此処では殺人計画の途中で阻止に成功するのだ(コレは結構重要な気がする)

 上巻の2人は、映像化作品では在る意味此処が中心になるのだが、2作とも由香利は事故死、敏男は後追い自殺、風鈴に見立てる装飾は敏男の遺言、と、云う事で一致している
 ところが、原作では二人は相討ち(ただし、小雪が現場に到着した時には敏男も遺言(後述)だけをうわ言の様に云っていただけらしく、真相を疑う事も可能だが、取り敢えずソコには言及していない)と云う事の様だ
 そうすると、風鈴に見立てた装飾は何故必要だったか、と云う話になるのだが、幾つかの要因が有った様だ
 1つは、映像化作品でも要因とされたが、敏男の遺言…と云う事も有ったらしい
 2つ目に相討ちの様相が非常に酷く、首から下の死体損傷が激しく観衆に晒されたくなかった事である…特に敏男は鞭で散々シバかれた上に先端の硬い棘部分で陰部を繰り抜かれているとの事で、敏男の名誉の為…と云う点が強い
 最後に、どぉも敏男は由香利解放後も由香利との逢瀬を繰り返していたらしく、周知(怒れる海賊たち)には小雪との結婚と振れており、更に事実婚だった小雪としては、浮気現場での死亡を隠したかったと云う意味もあるらしい

 さて、物語の発端に近い位置にある山内冬子の自殺なのだが、どぉも映像化作品の方が凝って考えている…と云うか、映像化作品では、かなり血縁状態を複雑化させ過ぎている嫌いがある
 原作では、特に冬子と法眼弥生、又は山内敏男と弥生に血縁関係は無く、小雪と敏男も血は繋がっていない
(敏男は冬子の前夫の継子であり、冬子は小雪しか産んでいない)

 由香利と小雪の関係は姪・叔母(由香利の母が小雪の異母姉妹)と云う事になるのだが、まぁスグサマ入れ代わっても気付かれない程に瓜二つ…と云うのは双子でもかなり難しい(私も一卵性双生児の兄弟と同級(小学時分に弟と、中学時代に兄と)だった事が有るが、容易に見分けは付く)ので、コレは本当に偶然…と云う事で済ませたのだろう
 ただ、この二人が瓜二つ…つまり、法眼琢也の血筋が色濃く入っている、と、思える事態なのが結構重要な意味を持った
 と、云うのも映像化作品では『弥生が猛蔵に強姦され、そのまま半妾の様な扱いがあった過去』…と云うのが徳兵衛が弥生を脅迫するネタだった訳だが、此処は原作を少々アレンジしている程度で事実関係は近いのだ

 何処がアレンジかと云えば、弥生は当時嫌々だったか…と云えば、ソコまでではなかったような過去らしい
 弥生の母、鶴子は弥生を生んで直ぐに夫を亡くし、兄:鉄馬の云い付けも有り、猛蔵と再婚したが、そんな境遇の鶴子はナニを云ってもやっても受身の、当時で云う『日本の妻』の典型だったらしい
 いくら美しくても、コレでは欲求が満たされない猛蔵が次の相手に選んだのは弥生だったが、こちらは非常に快活に育った事等も有り、ソレナリに相手をしていたらしい
 しかし、年頃になり、琢也と結婚して子を宿すと『自分の生んだ子は琢也の子なのか、猛蔵の子なのか』で悩み、結果として実の子である万里子と更にその子(孫になる)由香利に余り愛情を注げなくなっていたらしい
 ソレを子らは敏感に感じ取り、愛情を貰えなかった子として所謂拗ねた大人になった結果、家柄と財力は高い傲慢な性格の子になった…と云う経緯である
 ただ、同じ『琢也の子』である小雪を見て、由香利は琢也の血筋である…つまりは万里子も琢也の子である…と、確信したのは上巻の事件後、小雪を初めて見てからであり、全ては遅かったのだ

 話は戻るが、冬子の自殺について…冬子が弥生の実子(石坂版)だとか、敏男が弥生の実子(古谷版)だとかが無いのであれば、何故冬子が自殺に至ったか…コレは琢也のポカ…としか云えないだろう
 まぁ軍役に出た訳でなく、空襲で突然死んで仕舞ったのだから、仕方ないと云えなくも無いが、妾を囲っておいて、本妻に対して事後を全く引き継いでいないのが原因である
 昭和初期当時は、重婚は認められていないが妾の存在は半ば公的に認められていた(法律上は、明治中に廃止されたが、風俗としては残った)訳で、しっかりと琢也は弥生に冬子の事を頼むと云って置けば良かったのだ

 チト話を逸らすが『妾』と云う言葉は良く知らずに使っていた事に気付く
 調べると『婚姻した男性が妻以外に囲う、経済的援助を伴う愛人』と云う事であり『対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交する』売春とは『不特定の相手方』と云う点で違い、今でも『妾を囲う』事は刑法的には犯罪の定義に入らない
 また、狭義には『妻も承知しており、社会的に隠された存在では無い』モノであり、妻に隠れて行う不倫とは意味合いが異なるモノの様だ
 つまり『妾を囲う』のは、男の甲斐性(その女性や子供の生活面で不自由させないので)だが、『隠れて不倫』は男の不貞である…と云う違いが有る訳だ
 特に戦中・戦後の時代は男性が少なく、女性が経済的に自立出来ない時代だったので、この様な習慣・風土が幅を利かせていたのだろう
 山内冬子の例で云えば、法眼琢也は妻、弥生に冬子の存在及び子供(冬子の前夫との子である敏男と、琢也との子である小雪)の存在は伝えており、弥生もソレを承知していた関係の様だが、飽くまで琢也が処理する問題として弥生は一切の対応を任されなかった…ソコで琢也が空襲で急死した、と云う状況になった訳だ

 で、住処を空襲で焼け出され、頼るものは琢也のみとなった冬子が法眼家を訪れれば、琢也の訃報は知らされたが、家ではナニも保障せずに門前払い(丁度、事情を聞いていた弥生も地方に出ており、対応は弥生の娘の万里子が行ったのだが、上記の通り万里子は高慢に育った娘である)をされ、自殺…と云う顛末らしい
(子供2人放って自分だけ死ぬのは如何なモノか…とも思うがな)

 そう云う意味では山内兄妹も法眼家に一定以上の恨みは持っていなかったと推測出来る(当然、一定線までは恨んでいたと思うが)
 ただし、由香利は…会う事は出来たが侮辱を受けた…との事なので、事件の発端になる由香利誘拐については、ある意味自業自得だったのではないか、と思われる
 コレも上記『愛情を注がれなかった子(万里子)の子であり、由香利もまた、弥生から愛されなかった子である』事に起因すると思われる…因果応報、とでも云うのだろうか

 で、犯人…と、云っても『何の』犯人か…つまり、この作品では目に見える殺人(上記の通り山内敏男、法眼由香利及び本條直吉、吉沢平次、山内小雪の5人が殺されている)で云えば、上巻2人は相討ちであり、下巻3人は同一犯に因る殺人である
 映像化作品では上巻2人は上記の通り事故死・後追い自殺で、下巻3人はやはり同一犯に因る殺人…であるのだが、この犯人が変わっている
 死んだ由香利と行き場のない小雪を入替える事にしたのは弥生で原作・映像作品共に共通だが、映像化作品ではその後の殺人も弥生の犯行となっており、原作では…滋である
 …滋、この名は前回の記事も含め此処までで殆ど出て来ていない…誰? とも思えるのだが、前回の記事に記した映像作品では、由香利の婚約者(石坂版)又は弥生の現夫(古谷版)で、五十嵐家の一粒種である
 原作では再三の通り20年の時が過ぎているので、上巻の最後に由香利と結婚し、渡米している(下巻では帰国している)のだが、結婚した相手が由香利に『なった』小雪である事を知らされずに20年を過ごした、ある意味可哀相な人でもある

 コレの動機にも絡む事だが、冒頭に記したとおり、この作品での本質は脅迫・恐喝事件であり、被脅迫者が脅迫者に対して行った対応が殺人となった…と云うだけである
 ただ、間抜けな事に殺された本條直吉は脅迫者ではなく、脅迫者に勘違いされた者であるのが、原作での特異性である
 また、吉沢が殺されたのは、元『怒れる海賊たち』皆殺し計画と併せて犯人の八つ当たりに近い状況で、最後の小雪に関しては、事故に近い
(ある意味、全ての終結を悟った小雪が、ドサクサに紛れて滋の拳銃を自分に向けて暴発させる様に組み付いた可能性も有る様だが)

 映像作品での徳兵衛・吉沢は間違いなく弥生を脅迫(石坂版では、吉沢は最初、滋を脅迫したが、今度は滋が弥生を脅迫…ソコで、弥生は吉沢を殺害、滋に罪を着せる行動に出た。古谷版では直接弥生を脅迫した)していたので、動機も判りやすかったのだが、原作では脅迫された滋が脅迫者を勘違いして直吉を殺害した…と云う構図である
 直吉もまぁ…徳兵衛が弥生を脅迫して得た本條会館で会長職にもなったのだから、脅迫者の利益供与を受けた形にはなるのだが、犯行自体は晩年になるまで知らなかった様だし、可哀相な話である

 では、原作での脅迫者は誰か…と云えば、既に名の出ている徳兵衛と、兵頭房太郎である
 …をぃをぃ、此処でまた初見の名前が出て来たぞwww
 そりゃそうだ、この房太郎、映像化作品では出てきていないのだwww
 原作では本條写真館(上巻)の助手として写真術を学んでおり、下巻では独立してヌード写真家としていた人物である
 その伝手で、本條写真館が躍進して本條会館(冠婚葬祭から新婚旅行前の宿泊まで一気に可能とする大会館…映像化作品では徳兵衛の夢に終るが、原作では20年間~ソレ以前から~にも及ぶ恐喝で得た資金を元手に作り上げ、繁盛している)となった下巻時点でもフリーパスで過去の資料館に入っては恐喝の種になる写真を物色出来る立場に居た人物である
 映像作品では、石坂版には本條写真館の助手と云う立場で日夏黙太郎と云う人物(演:草刈正雄)が登場しているが、コレは金田一の助手的立場(原作ではシリーズ数本に登場している多門修と云う人物に当たる)の位置にあり、犯罪とは無縁であるし、古谷版には、そもそも本條写真館に助手など居ない
 コイツが本條写真館に保存してある写真を元に滋を恐喝(コレも、当然だが由香利=小雪を知らないので、由香利と滋の息子、鉄馬は敏男の子である…と、云う事をネタにした)し、滋は写真の出所から直吉を脅迫者と勘違いして殺した…と云う構図である
 まぁ…映像化するにはチト複雑ではあるな

 さてさて、事件後の舞台については原作でも語られていない
 本條写真館…下巻時点では本條会館だが、コレは直吉に息子と娘が居るが、学生であり、事業を継げるとも思えない
 当面は、創始者の血縁と云う事で名ばかりの会長職として生活は出来る程度の褒章は得られるだろうが、法眼家と経済的に切れた本條会館が何処まで存続出来るかは不明である
 法眼家・五十嵐家について云えば、五十嵐家には跡取りが居ない…結局、滋は子を成せなかった(上記の鉄馬は敏男と小雪の息子)のだから、コレは仕方が無い
 五十嵐産業は法眼家の影響を抜けた企業として続くのだろう…しかし、実質この企業を回していた弥生・由香利(小雪)の死亡と滋の逮捕等スキャンダルが続いた訳だ、今まで通りの業績が残せるとは思えない
 法眼家(病院事業)は完全に法眼家の跡取りである鉄馬は医者になる気は無い様だし、病院を潰すか、他者に渡すしかないだろうな…序でに云えば、鉄馬は恋人の家に婿入りし、法眼の家も潰すかも知れない
 法眼滋は、その背景から酌量の余地は有るにしても、3人の人間を殺しているので、実刑は免れないだろうし、出所してもこれ以上血筋を残すことは出来ないと思われる

 で、以前の記事でも書いた通り金田一は渡米後消息不明…と、なっている
 ナンでも横溝氏は生前、金田一は昭和50年に密かに帰国し、余生は日本で送った…と、語った事が有る様だが、当然その辺りは小説にはなっていない
 実際、余生と云っても、ほぼ全財産を現金化し、知人やら施設やらに分配しているのでは、どうにもこうにもなるまい…とは思うのだが
 昭和50年と云えば、オイルショックの影響が冷めずに、まだ不況期だった筈である…金田一はと云えば、63歳にもなっており、金も身寄りも無い60の老人が生きて行けるほど楽な時代は過ぎていると思うのだが

 ナンかネタバレが多過ぎて、もぉどうもこうも無い状態になって仕舞ったが、これから読もうか、と云う人には申し訳ない
 最初からネタバレ多数を明言しているので、ソレを承知で読んだのだ、と勘弁して欲しい
 さて、次回は…ネタが無い(毎度の事だが)
 故に、何を書くかはその時になってかな
 ソレまで皆様、御多幸を^^

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2016年2月 9日 (火)

八つ墓村その2(ネタバレ多数:古谷2時間版・稲垣版)

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 と、云う訳で以前、八つ墓村の原作小説読破に伴い、今まで見た映像作品等の比較等を行った記事を書いた
 結構な評判なのか、未だに閲覧数は最近の記事でトップである

 まぁだから…と云う訳でも無いのだが、先週発売の『横溝正史&金田一耕助シリーズDVDコレクション』26号が『八つ墓村(2時間ドラマ版)』であったから…と云う理由と併せて、またネタにしたい

 このDVDでだけで1回分の記事にするには少々情報が足りないので、稲垣吾郎版の2時間ドラマも鑑賞した分を合わせたい

 さて、何度も書いている通り、本作は横溝作品中一番映像化された作品であり、同時に1回も原作通りに作られた事の無い作品である
 取り敢えず、映画3本とTVドラマ6本の一覧をwikiから抜粋して紹介する

映画
 1951年:松田定次監督・金田一は片岡千恵蔵
 1977年:野村芳太郎監督・金田一は渥美清
 1996年:市川崑監督・金田一は豊川悦司
TVドラマ
 1969年:金田一は金内吉男、2クール1時間枠番組中の1回
 1971年:金田一は山本耕一、NHK銀河ドラマ30分枠で全5回
 1978年:金田一は古谷一行、横溝正史シリーズ1時間枠全5回
 1991年:金田一は古谷一行、今回DVD収録の2時間ドラマ
 1995年:金田一は片岡鶴太郎、金曜エンタテイメント枠2時間
 2004年:金田一は稲垣吾郎、金曜エンタテイメント枠2時間

 以上である…前回の記事では1977年版・1996年版の映画と1978年版のTVドラマ、原作とJET氏の漫画を比較した記事にした
 漫画も実は結構描かれていて、影丸譲也、つのだじろう、掛布しげを、長尾文子(敬称略)と計5人の漫画家が作画している
 私が読んだ事があるのはJET氏だけなので、他に比較が無いのが残念であるが…

 あぁ、序で…と云うかナンと云うか任天堂DS用ソフトとしてAVGが作られている
 同じソフトハウスから犬神家の一族も出ており、こちらはプレイした…ってか、まだ終らせて無いのだが
 故に八つ墓村をプレイする気にはなれないのだが…犬神家をプレイした感じ、プレイヤは金田一になる形で進行されるので、金田一が完全に脇役である八つ墓村ではどうなるのか、非常に気になる

 さて、以前の記事で話題にしたのは以下の事項だと思う
・舞台
・寺田辰弥の職業
・金田一来訪の理由
・典子の存在
・死亡者数
・各作品での特筆事項(尼子の財宝・物語の結末等)
・犯人
・多治見家のその後(遺産等)
・主役(誰の視点で語られているか)
・真相に至った経緯(誰が主に推理しているか)
・事件後の小竹
 …結構多岐に渡って書いてるなwww
 ソレでも前回の病院坂の方が文字数が多いんだから、どうなってるんだかwww

 取り敢えず、この項目について書いて行こうと思う
 ちなみに、原作では昭和23年の事件となっており、病院坂の勃発5年前、金田一が36歳の時の事件になる
 文章中では昭和2X年としているが、大正11年生まれの辰弥が27歳(数え)である時点で確認出来る

・舞台
 先ず古谷版だが、昭和28年となっている
 何故に5年進めたのかは不明だが、特に年が進んだ事で何も不都合は起きていない…逆に云えば、進める必要も無かった訳だが、単純に金田一の年齢の関係かも知れない…とも思う
 このドラマが放送されたのは上記の通り1991年であるが、このとき金田一を演じた古谷一行氏は48歳(wikiより、1944年生まれであるとの事)、更に上記の通り金田一が36歳である事を演じるのに無理があったのかも知れない
 場所は冒頭のナレーションで原作の地の文である『岡山と鳥取の県境近くの寒村』と云う事を明言しており、原作と同じである
 ただ、辰弥の住所は東京となっており、原作の神戸からかなり離れている…この事に関連するか判らないが、この作品では諏訪弁護士が完全に削除されており、辰弥を探しているのは金田一…と云う事になっている
 稲垣版では昭和23年となっており、原作通りである
 場所も岡山県北西部と云う事は、原作にある標記と齟齬は無い

・寺田辰弥の職業
 コレに関しては以前の記事で一部訂正がある
 原作に関して、古谷連続ドラマ版(1978年)と同じヤミ市のブローカーと記載したが、復員後に化粧品会社に就職…と記載されており、私の記憶違いであった
 化粧品会社と云う事は、石鹸工場と云う豊川版に近いのだが、豊川版ではその知識を元に、要蔵の遺体が死蝋化している事に自分で気づくが、他の作品では金田一等他者に説明されている
 さて、古谷版では化粧品会社勤めではあるが、セールスマンと云う事で、職場のデスクにじっとしている業種では無い旨の話がされている
 稲垣版では特に『会社の業種』については説明されていない
 ただ、事務所に電話が有り、ソコから徒歩圏内に倉庫が有る(或いは倉庫の事務室に電話が有るのかも知れないが)様な会社で、倉庫整理をしていたシーンが有る
 整理していた資材も嵩張るが軽めの物とかロール紙(トイレットペーパーの様な)の様な物が見えたので、やはり化粧品製造業とか、その辺の工場務めを設定しているのではないかと思う
 また、稲垣版では辰弥の母:鶴子は結婚をしておらず、辰弥は井川姓で登場する

・金田一来訪の理由
 古谷版は上記の通り、多治見家から辰弥の捜索を依頼されたのが金田一であり、最初からこの事件に関わっている
 料亭で辰弥と丑松を引き合わせて、水入らずにする為に席を外したタイミングで丑松が死亡し、その事件の調査…と、云う事で引き続き依頼された形になる…つまり、依頼人は多治見家、と云う事になる
 稲垣版は渥美版と同じく諏訪弁護士からの個人的な事件調査…と云う事らしい、ただ、諏訪弁護士から美也子が金田一の宿として久野医師宅に住まわせる依頼を受けていた
 ただ、最初は乗り気ではなく、半ば断ろうとしていた訳だが、横溝正史(登場人物として、原作でもシリーズ中に成城のY先生として度々登場している、金田一事件の記載者である…ただし、八つ墓村の原作小説は辰弥の手記である体裁で書かれている)に事件のあらましを報告した際、八つ墓村と云う村名を聞いた横溝が多治見要蔵の事件を思い出し、金田一に依頼を受ける事を勧める展開になっている

・典子の存在
 コレは…ソモソモ、典子が登場する映像作品が少なく、wiki情報では最初の映画である片岡版と現時点最新の映画である豊川版の2作でしか登場しない…と、ある
 で、今回の2作品にも登場しない
 慎太郎は事件の動機にも繋がるので、両作品とも登場している
 ただ、古谷版では妙連(濃茶の尼)が絞殺される際、現場近くに慎太郎が居たことを目撃する辰弥の脇に居るポジション、龍の顎で情を交わすポジションには美也子が座っている
 しかし、良く考えると、妙連を絞殺している所を慎太郎に見られているのに、その足で鍾乳洞の中に入り、辰弥と合流…その場から立ち去る慎太郎を辰弥と一緒に目撃…って、凄くね? どうやって慎太郎を追い抜いたのかwww
 稲垣版では、ソモソモ妙連は崖から突き落とされている(殺害方法が違うし、慎太郎も目撃していない)し、洞窟への逃避行は辰弥単独で行っているので、このポジションは存在しない

・死亡者数
 古谷版では、原作とほぼ同じである…ただし、後述するが、2人居る大叔母の双子のうち、殺されるのは小竹である
 稲垣版では原作と同じ8人(丑松、久弥、洪禅和尚、梅幸尼、妙連、小梅、久野医師、春代)であるが、最後に村人が鍾乳洞で辰弥を追い詰めた際、洞窟崩落で79人が死亡すると云う事故が起きている(詳細は後述)
 更に両作品とも、美也子は春代に噛み付かれた小指からの感染で死亡する…と云う、原作に近い死に方をしている
(ただし、古谷版は治療が間に合わず…だったが、稲垣版は犯行の露見後、治療を拒否して自殺に近い死に方であった旨、説明される)

・各作品での特筆事項(尼子の財宝・物語の結末等)
 古谷版では、登場人物相関の簡素化がかなり激しい事が云える
 西屋として本来は多治見と同じ分限者である筈の野村荘吉が要蔵の弟として紹介される
(野村の名代として美也子が出るので、荘吉は画面に登場しない)
 この事で、反多治見派…と云うか西屋派閥の村人が存在しなくなり、美也子が分家筋とは云え、多治見の血族に入った形になる…その関係か、美也子が小竹・小梅の区別が付いている…この事が、籤殺人偽装中の大叔母殺害について、小竹を選んで殺している事に繋がってるのだと思われる
 また、上にも書いたが諏訪弁護士・典子の削除されている
 この事からか、辰弥への殺意も恐怖に因る集団心理と云う程度で、警察に押し止められる程度にしか起きず、結果として洞窟崩落の様な事も起きない
 また、原作に有る事だが、辰弥が要蔵の血を引いていない事は久弥・春代は知った上で辰弥に財産譲渡を行う積りだった事が語られる
 まぁ要蔵が仕出かした(将来を誓い合った仲の居る娘を強姦・監禁して強制的に妾とした)事に対する侘びの意味も有ったのかも知れんが、要蔵の血を閉ざしたいだけなら、辰弥を呼ばずに慎太郎に相続で良かった気もするのだが…嫡男(要蔵)よりも出来のよかった弟(慎太郎の父)と云うのが、嫡男重視の古い因習の中で嫌われた…と云うが、その辺の感覚は昭和後期の生まれである私には良く判らない
 それに、今回の改編では、上記野村荘吉や久野医師も要蔵の弟と紹介されている…32人殺しの犯人と医者なら、間違いなく久野医師の方が出来が良いよなぁ…久野医師は慎太郎ほど嫌われていないのは何故?www
 尼子の財宝については発見されることは無く、村には伝説として残る程度である
 また、この作品では後述になるが辰弥も独自に推理しながら進み、真犯人に行き着く…此処で鍾乳洞内でのチェイスは村人相手ではなく、犯人と行うこととなり、この辺は妖怪化した渥美版に近い
 ただし、崩落事故による死亡は無く、直前に金田一・警察に止められて犯人は逮捕される
 また、英泉(殺されなかった方の住職代理)の正体(辰弥の実父)が明かされ、事件の最中で負傷した実父の看病等の為、辰弥は村に残ると金田一と別れて終わる
(その後にどうなるかの描写は無い…最初の丑松殺害の容疑者となった時点で元の会社は解雇されている旨の台詞も有り、今後どうするのか、謎のままである)
 更に、村は後の統廃合で村名を失う事となる旨、最後のナレーションで語られる
 次に稲垣版だが、ソモソモ西屋が存在しない事と設定されており、美也子は久野医師の弟の未亡人として登場する
 上記の通り、諏訪弁護士から住処等の保障を依頼された美也子は久野医師宅に金田一を逗留させるのはこの為である
 村人の暴走が起きた際、多数の村人に洞窟の進入を許す展開はある意味原作や渥美版に近い展開で有るが、追い詰められた辰弥を救ったのは尼子の亡霊である
 此処だけオカルトになるのだが、追い詰められた辰弥の背後から亡霊が威嚇し、怯んだ所に洞窟崩落…村人79人が死亡する中、辰弥は自力で帰還し、生き長らえる
 尼子の財宝はシッカリ辰弥が見付け、私物化する
(金田一に報酬として数枚渡され、次回作ドラマの女王蜂で横溝と旅行する資金になる)
 また、辰弥の父方の系譜が『尼子の落ち武者襲撃に唯一反対した村人の血筋』である事が語られる
 美也子は原作と同じく指からの傷で死亡するが、上記の通り犯行が全て露見した後、治療を自ら断り、のた打ち回って死亡する…と、語られた

・犯人
 両作品で犯人は同一人物(原作と同じ)である
 ただ、幾つかの違いが有り、古谷版では動機がかなり違う
 古谷版での犯人は、要蔵の32人殺しで孤児となり、要蔵の弟である荘吉に養われる
 その後、荘吉の息子に嫁ぐ事になるが、その夫が事業に失敗、本家である多治見に救援を要請するも拒否されて旦那は自殺、失敗した事業は多治見が買い取って繁栄の材料とした…と云う経緯があり、多治見家ソノモノに強い恨みが有った事が動機とされている
 ソコで、多治見本家の血筋を全て根絶やしにし、多治見が嫌っている慎太郎に相続させる事を目指して犯行に及んだと説明される…此処には他の作品等に見られる慎太郎への愛情は無く、単に『多治見家が一番嫌がる相続をさせたい』だけである
 つまり、此処では多治見の血が入って無い辰弥を殺す必要は無く、辰弥は殺さずに血縁で無い証明だけをする積りだったのが、辰弥に真犯人を突き止められたので殺すしかない…と、なったのである
 まぁある意味、辰弥が能動的に動き過ぎた結果の展開であるwww
 稲垣版では、原作通り真犯人は慎太郎に懸想しており、多治見の財産を相続すれば、以前の様に自信に満ちた姿で自分に求婚してくれる筈だ…との思いから犯行に及んだとされている
 原作の様に財産目当て…と云う事では無い様で、事件前に夫殺しもやっていない(夫が存命の時は慎太郎も同郷の友人と云う扱いだったらしい)事が語られている

・多治見家のその後(遺産等)
 多治見の財産については、両作品とも慎太郎に相続をさせる事で落ち着いた様だ
 稲垣版ではソレ以外の収入(尼子の財宝)が有るので、辰弥は困らない筈だが、古谷版では仕事も解雇になり、遺産も慎太郎…となると、本当にどうする積りなんだろう?www

・主役(誰の視点で語られているか)
 古谷版では、基本的に視点は辰弥である
 上記の通り推理も独自に行い、真犯人に辿り着く所まで行った…まぁ詰めが甘くて最後には金田一に助けられた訳だが
 辰弥の目が届いていない部分(警察内部での会話等)では第三者視点又は金田一視点となるが、比率としては辰弥が多い
 金田一も一応独自に推理し、真相に辿り着いており、最後に辰弥が真犯人に追い詰められた際に助ける活躍をしている
(英泉も庇ったが、結果で云えば庇いに入って怪我しただけ…と云う見方も有る)
 稲垣版では導入部は金田一視点(横溝に事件の冒頭を説明する等、辰弥の居ない場所での進行になるので)であるが、村に行ってからは基本的に辰弥視点で作られている
 ただ、古谷版と同じく、辰弥の知り得ない場面等では第三者視点又は金田一視点で作られる

・真相に至った経緯(誰が主に推理しているか)
 古谷版では上記の通り、金田一・辰弥の両方が独自に推理しており、辰弥は偶然だが金田一は証拠や過去の資料等から犯人を特定している
 稲垣版では、辰弥は完全に巻き込まれ形で物語に翻弄されているだけで、推理自体は金田一が行っている

・事件後の小竹
 古谷版では小竹殺害後、小梅が全く描写されていない
 村人が辰弥を吊し上げようと多治見邸に乗り込む際に、頭の白い老女が一瞬、屋敷の隅に逃げる姿が映るが、後姿であり、小梅かどうかの確認が出来ない
 この老女が小梅であるならば、一応、マトモな判断が出来る程度の精神状態ではあろうが、辰弥が慎太郎に相続させると決めた事には異を挟んだと云う話は聞かないので、在る意味『今まで多治見を支えてきた』と云う気概は無くなっているのだと思う
 対して稲垣版では、原作通り小梅が殺され、小竹が残るが、小竹は腑抜けた描写がされている
 村人が辰弥を追い詰める際、多治見家に火を放つ(或いは夜の事だったので、照明用の松明が移り火しただけかも知れん)が、ソレにも反応せずに座り続けているシーンが有る
 ただし、今回の一件で最後に説明された死者数は美也子を含め88人と有る
 また、崩落で死んだ村人が79人と新聞に記載されている事から生存したと思われる
(犯人に殺されたのが8人、村人が79人生き埋め、そして美也子を足せば88人となり、小竹の入る余裕は無い)
 飽くまで多治見邸に火が付いたのは、辰弥捜索の際の暴走であり、放火は村人の本意ではなかったのだろう

 取り敢えず、映像作品2本だけで書いたのに文書量が凄い事になったが…まぁ良いか

 次回は…本当にネタが無くなったかなwww
 取り敢えず、休みも1日(木曜日)有るので、何か探したい
 ソレまで皆様、御多幸を^^

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2016年2月 2日 (火)

病院坂の首縊りの家(ネタバレ多数)

 昨年から買い揃えている朝日新聞出版社の隔週刊冊子『横溝正史&金田一耕助シリーズDVDコレクション』
 昨年一杯で週1ドラマだった『横溝正史シリーズ』『横溝正史シリーズⅡ』の収録が完了し、今年から単発2時間ドラマシリーズ『名探偵・金田一耕助シリーズ』の収録となった

 で、1月5日と云う第1火曜から出版された24号は『病院坂の首縊りの家』が収録されている
 金田一耕助最後の事件として横溝FAN・金田一FANには馴染みの深い作品であるが、このドラマシリーズでは16作目…このドラマシリーズが2時間モノになって全32作だったと思うので、丁度半分での作品と云う立ち位置になっている

 以降はネタバレになるので注意願いたい
 ちなみに、私は以下で紹介する映像化作品(石坂版・古谷版)は両方視聴しているが、原作小説は先日ブックオフで見付けたので買ってはいるが、未だ序盤部分しか読んでいない事を予め記しておく
 故に、原作に関しての突っ込みは有り難く受ける
 また、データ的な所はwikiを参照して記載しているので、更に正しい情報が有れば突っ込んで欲しい

 さて、この作品は上記の通り『金田一耕助最後の作品』な訳だが、ナニが最後かと云うと、この事件解決後に金田一は単身渡米し、その後は消息不明となったと記述されているからだ
 横溝氏はその後、金田一作品として『悪霊島』を執筆しており、金田一を絶筆した訳では無い
 ただ、時系列として、悪霊島は昭和42年に起きた事件の話であり、病院坂は昭和48年に『解決した』話である
 コレも有名な話だが、病院坂は事件の勃発が昭和28年で、その事件も金田一は調査するが解決に至らず、当時は殺人に時効が設定されており、15年で成立した訳だが、昭和48年に関連したと思われる事件が勃発し、再度調査が開始されて事件の全容が明らかにされた…と云う展開である

 文庫本でも上下巻に分かれており、横溝作品最長の(金田一・由利先生・時代物等問わず。他に上下巻に分冊されているのが悪霊島だけだが、悪霊島が347+346=693p、病院坂が367+405=772pである…更に調べると雑誌掲載時から約200pの削除がされて文庫化されているとの事で、そうすると原文は約970pの超長編となる)作品である
 で、今現在で映像化された作品は1979年の市川崑監督の石坂浩二版と1992年の今回DVDに収録された古谷一行版の2回だけである

 まぁね…上記に有る通り、超長編作品である事、最初の事件勃発から解決までに20年と云う歳月が流れ、途中時効を含んでいる事、『とある1つの事項について、複数の人間から時代・世代を渡って脅迫され続けた』と云う異常性が事件の中心である事等、映像化するには非常に面倒臭い作品である事は間違いない

 先日購入した金田一耕助映像読本(洋泉社MOOK映画秘宝EX)では後発の古谷版を『原作の映像化と云うより石坂版をベースにした』的な評価がされている
 石坂版が劇場作品なので139分、古谷版はCM込みで2時間番組…と云う事で約93分(其々のDVDパケの記載から)程度の長さである
 当然、原作を忠実に作ることは不可能で、監督・脚本担当の人が作品中の重要箇所をピックアップして映像作品を作る事になる訳だから、流石に事件の中心を外す訳にも行かずに似たような展開になったのだと思うのだが…

 取り敢えず、両作の共通点は以下の通り
・山内敏男が法眼由香利を誘拐、法眼病院跡で結婚写真を撮影
 (撮影は本條写真館の息子・直吉)
  →撮影後に弾みで由香利が事故死
   →敏男が自殺、敏男の義妹・小雪に敏男が『自身の生首切断・法眼病院跡に風鈴の様に吊るす事』を遺言
    →小雪が法眼家当主・弥生に助力を依頼、生首風鈴事件が完遂
     以降、小雪が由香利として生活する
  (由香利と小雪は瓜二つの容貌であった(映像作品では、二役))

・直吉、金田一が結婚写真の被写体について調査を依頼
  →花嫁は由香利では無いか、と推測

・生首風鈴を直吉が発見(この時には金田一も同行)
  →事件現場で弥生から由香利の帰宅及び写真の被写体が由香利では無い旨証言

・捜査が難航しているうちに、小雪からの自白文書が警察に郵送
  →小雪及び敏男の首から下の遺体の捜索になり、警察の規模縮小

・アングリーパイレーツのメンバー、吉沢が由香利=小雪を看破
  →コレをネタに弥生を恐喝
   →弥生に殺害される

・弥生が少女時代に義父・五十嵐猛蔵に強姦されており、証拠写真を直吉の父・徳兵衛が撮影していた
  →コレをネタに徳兵衛が弥生を恐喝
   →徳兵衛が弥生に殺害される

・事件の真相が暴かれた後、隔離されていた弥生の母、千鶴が死亡
  →その混乱に乗じて弥生が逃亡、法眼病院跡で自殺
   →事件の真相解明後、金田一が弥生の強姦写真の乾板を廃棄
    (地面に叩きつけて割る)

 取り敢えず、大きな所はコンなモンかな…原作を詳細に知らないので、概要を綴った他者のブログ等で推測する限りだが、原作から大きく外れている部分も若干有る感じだが、まぁ生首風鈴事件を中心に書く場合は、コレを無理なく発生させる為に、この程度の変更は仕方が無いのではないか…と、思う
 ただ、原作の粗筋を垣間見るに、確かに人も数人死んでいるのだが、この事件の中心は上記の通り『脅迫・恐喝事件』の様だ
 結果的に人が死んでいるのだが、その根本に有るのは恐喝事件に思えてならない…しかし、映像作品でソレを中心に描くと非常に地味になる事は間違いなく、こう(恐喝等は殺人の動機の一つである形に)せざるを得なかったのではないか、と思う

 で、弥生が猛蔵に強姦される辺りは、石坂版・古谷版では共通しているが、原作の概要では確認できなかった…もしかすると、恐喝の内容は由香利=小雪の点だけかも知れない
 ただ、此処で映像化作品2作での一番の違いが生まれる

 弥生が猛蔵に強姦され妊娠するが、出産した子が石坂版では山内冬子(法眼琢也(弥生の夫)の妾)であり、敏男は冬子が琢也の妾になる前に結婚していた際(夫と死別して琢也の妾になった)、子が出来なかったとして受けた継子である…弥生と冬子の親子関係が判り、冬子は弥生に親子の名乗りを交わしに法眼家に行くが、由香利(冬子の異父妹になる)に悪し様に追い返され、失意のうちに法眼病院跡で首を縊る

 対して古谷版では弥生が産み落とした子が敏男であり、冬子は知らずに敏男を継子として受け、後でその事に気付き法眼家に報告に行った際、由香利に悪し様に罵られて何も告げずに法眼家を出て法眼病院跡で首を縊る…更に、弥生は琢也と結婚後も猛蔵に犯され続けた経緯が有り、由香利も猛蔵の子である可能性が抜け切らなかった旨の台詞も有る

 原作でも事件の数年前に山内冬子が法眼病院跡で首を縊る事件は起きているのだが、その原因が概要に載っていなかったので原作を読まなければ判らず、現時点で私は知らない…此処も結構重要な相違点なのかも知れない

 この違いはどんな意味が有るか、と云うと結構大きな意味が出てくる
 山内家の親子関係を書くと、山内なる冬子の夫は結局、子を成せなかった事は共通した話になるのだが、山内家(と云うか冬子)と法眼家の血縁関係が事件の意味を結構大きく変える

 石坂版では、冬子が弥生の子であるのだから、冬子と由香利が姉妹となり、小雪は由香利の姪と云う血縁になる
 また、小雪は冬子と琢也の子であり、由香利が弥生と琢也の子であるならば、小雪と由香利は異母姉妹と云う関係も成立する

 古谷版では、継子として貰われた敏男が弥生と猛蔵の子である…つまり、敏男と由香利は異父兄妹、或いは由香利も猛蔵の子である可能性が否定出来ず、その場合は完全に両親の同じ兄妹と云う事になる

 実は、原作小説では家系図が違っており、そもそも由香利は弥生の孫(弥生の娘夫婦…と云う存在が、石坂版・古谷版ともに削られている)と云う設定であり、この辺りの血縁関係の考察は全く意味が無くなる
 ただし、当然だが新しい血縁関係の考察が必要になってくるのだが…ソモソモ、上記の通り弥生が猛蔵に強姦されたと云う事項が原作に無い可能性も有るので、原作を絡めた考察は此処で止めておきたい

 話を戻して、小雪が由香利と瓜二つの説明を、石坂版では此処に求めていると思われる
 異母姉妹であり、更に母親が親子関係に有る…遺伝子の3/4は同じ可能性がある事から、瓜二つになった…と云うモノである
 実の兄弟姉妹でも瓜二つになる事は結構稀である事から、ある意味偶然と云えなくも無いが、他人の空似…と云う確率より若干は高いのかも知れない
 古谷版では、由香利と血が繋がってるのは敏男になるのだから、小雪と似るのは完全に他人の空似である

 また、五十嵐滋と云う存在も石坂版・古谷版では違っている
 石坂版では原作と同じ様に由香利の従兄弟として登場し、将来的には由香利と結ばれる(結果、法眼家の跡取りになる)事を望んでいる描写になる
 更には、小雪=由香利のネタで吉沢から恐喝される最初の被害者となるが、このことで逆に入替りが真実であると確信し、自身も弥生を恐喝する立場になる
 ソコで、弥生は吉沢を殺害し、滋にその罪を着せるトリックを実行する展開になった
 真犯人が判明後には当然釈放されただろうが、弥生恐喝の事実は消えないので、法眼家に迎えられる事は無いだろうと推測される
(まぁ法眼家も生き残りが由香利(小雪)だけになる訳だしな)
 尤も、犯人判明で物語は終っており、後日談は『本條写真館は黙太郎の退職後、呆気なく潰れた』と云う事しか語られてないので、推測の域を出ないのだが

 古谷版では弥生の夫と云う立場で登場し、夫婦愛から徳兵衛殺しの罪を着ようとする
 こちらも後日談は語られていないが、犯人判明後には犯人詐称の罪で若干の罰を受けるだけに止まっただろうと推測される

 古谷版では、弥生は少女時代に猛蔵に強姦され敏男を産んで里子に出し、その後法眼琢也と結婚するが死別、更に五十嵐滋と結婚している事になる
 何故にこんなに結婚が多くなるか…と云えば、法眼家と云う代々病院を継いで来た家系を守る為…と云う事になるのだろうか
 琢也との間に由香利が出来てはいたが、女性であり、男子を嘱望されたのではないか、と云う事なら納得も出来る
 前述の通り、原作では弥生と由香利の間にもう一世代『弥生の娘で由香利の母』の夫婦が有るので、弥生がソコまで結婚を繰り返す形にはならない訳だが…20年分の時間を短縮する為には仕方の無い措置なのだろう

 此処で、一世代飛ばした事は石坂版でも矛盾…と云うか妙な所を生んでいる
 琢也は知らずにとは云え母娘を正妻・妾としている訳で、幾ら弥生の少女時代に孕まされた子と云っても当然十数年の年齢差がある筈で…で、弥生が産んだ娘と冬子が生んだ娘は、容貌だけでなく歳まで同じ(詰まり、ほぼ同時期に母娘両方の相手をしていたって事で)…って琢也はドンだけストライクゾーンが広いんだ、とwww

 原作では20年の月日が流れているので、当然その間に結婚したり死別したり家系図の登場人物は一世代分増えるのだが、映像作品ではそうも行かない…登場人物が増え過ぎると視聴者の理解が追い付かなくなって来るし、役者さんは経年を化粧で表現する必要も出来る
(事実、この映像作品でも弥生役の女優は基本、40代後半~50代位の中年女性の役だが、回想シーン(猛蔵の強姦シーン)では10代の少女役もこなさなければならない…化粧を頑張ってるのは判るが、実際非常に無理が有るwww)
 ソコで、ある程度の簡略化も必要になる訳だが、石坂版の家系図・古谷版の家系図…この両作も微妙に違っているので、その把握が一番面倒臭いwww

 映像作品の両方で、法眼家・五十嵐家の家系図は画面に出るが、一瞬であり、DVDで見直す・止める事の出来る今だからシッカリ読む事が出来るが、放映・放送当時にはアレを一瞬見て理解出来る人はほぼ居なかっただろう
 更に、戸籍上の家系図と血縁上の家系図が違って来るので、完全に理解するには、それら家系図を理解出来ないと難しい話になる
 かく云う私も完全には理解出来てないと思うwww

 以前、八つ墓村を原作通りに映像作品が作られた事の無い作品と書いたが、本作も同じく原作通りには作られた事が無いのだ
 まぁ八つ墓村が映画・TVドラマで計9作作られているのに対して、本作は上記の通り石坂版・古谷版の2作だけな訳だが

 事実、戸籍上・血統上の家系図の難解さは有るにしても、殺人トリックそのものは単純で、誰も出来ない筈の殺人(密室等)が起きてるとか、物理的に不可解な遺体が存在してる(一度発見された遺体が消失する等)と云う訳でも無い
 敢えて云うなら生首風鈴が、作品全編でキーワードとなっている南部風鈴の『見立て』になるのかも知れないが、それだけであり、他にも殺人は行われているが特に飾られている訳でもなく、他に映像化された横溝作品の殺人に比べて華が少ない

 そう云った意味では、映像化が難しく、視聴者にも理解させるのが難しい設定ばかりの話で、探偵がトリックを暴いて殺人方法や犯人の逃亡方法を解き明かす話では無いのだ…非常に苦労ばかりで評価が低い作品になりかねない
 だから、映像化も少ないのではないか…もっと云えば、映像化も本来したいと思う人は余程のファンであり、それでも『金田一最後の事件』と云う肩書きが無ければ映像化自体をしないかも知れない

 今回DVDに付属した冊子(本来は冊子の付属がDVDだがwww)を見ると、横溝氏は『クリスティが「カーテン」と云う作品でポアロを寿命で亡くなった事にしているが、横溝氏は金田一を「殺したくは無いが、彼の物語に幕を引きたい」と考えて』事件解決後に渡米・消息不明と云う結末を書きたかった…と記載されている
 有る意味、今回はこの結末が書きたくて書いた小説(更に別の資料からは、一度書き始めて中途で放り出した『病院横町の首縊りの家』を練り直して書いた…と云う事実も記載されている)なのかも知れない
 事実、数々の事件を一緒に追った等々力警部は定年退職した後(下巻の昭和48年時点で)の話となっているし、これ以上老いた金田一を書きたくなかったのは事実だと思う
 上記の通り、その後で書いた金田一小説は悪霊島…病院坂の解決をする6年前の時代を書いているのだし
(老人の6年は体力的には随分違うと思う)
 wiki情報に依ると、金田一の生年は大正2年(1913年)であり、病院坂解決時の昭和48年(1973年)時点で61歳になる筈である
 今でこそ珍しくないが、昭和中期~後期では充分老人の範疇になろう…悪霊島での昭和42年時点では55歳、ナンとか探偵活動も可能な年齢だとは思うが、派手な事は出来ない(尤も、金田一自身、結構な運痴である記載はされているのだが)年齢になっていると思われる
 ちなみに悪霊島より前の時系列で解決した事件は昭和36年2月の蝙蝠男で、この時は49歳…50歳を超えて扱った事件は、悪霊島と本作の2件のみなのだ

 と、云う訳で書いてるウチに本気で興味が沸いたのでブックオフで買ってみた訳だ
 現在読んでいる途中なので、この記事についての薀蓄も含めて改めて書くかも知れない

 と、云う訳で次回更新は…書く事が見付からない
 まぁ毎回そうなのだが、何か見付ける事にしたい
 ソレまで皆様、御多幸を^^

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2015年7月 7日 (火)

八つ墓村、読破(ネタバレ満載)

 と、云う訳で、最近読んでるラノベシリーズを放っぽり出して読み始めた横溝正史の小説である

 先日、古谷一行の金田一耕助シリーズDVDコレクションの購入開始時に寸評を入れた訳だが、その際に『平成27年5月現在で一番多く映像化された横溝作品だが、原作通りに作られた事が1回も無い』旨の記述をしたと思う
 で、その事に興味を持ってブックオフで文庫本を買った訳だが、ソレを読み切ったのだ

 さて、その時の記事から、当時、他のWEBやwikiから仕入れた情報で以下の様に書いたと思う
 この作品は原作小説でも特徴的な部分が大きく2つ有るらしい
・金田一が空気である
・映像化に合わせて登場人物や関係性を省略・簡素化している

 …と、云う事でネタバレ満載でこの辺りを追求して書いて置きたい
 これから読みたい人や映像は…もぉ公開して何年も経ったモノだし、良いよね?
 なお、比較は原作・渥美版('77)・古谷版('78)・豊川版('96)・JET版(漫画:'96)の5作でのモノとなる
 多分、鶴太郎版と稲垣版も見てはいると思うが、覚えてないのだ

 先ず、舞台であるが、基本的に同じ(と思う)
 岡山と鳥取の県境にある寒村…と、原作では書かれているが、どの作品でも寒村と云う意味では全く変わらない(諏訪弁護士の事務所が原作だと神戸だが、渥美版では大阪、古谷版と豊川版、JET版では明記されてなかったかも知れない)

 時代的には、渥美版だけ'70年代に設定されており、これは日本航空とのタイアップの関係で、主人公の職業を空港の航空機誘導員として航空旅客機を映画の大画面に出さねばならなかった故の変更である
 …ってか、何で横溝作品の映画化で航空会社とタイアップしたか、その時点で松竹の気が知れんwww

 主人公;寺田辰弥は豊川版では石鹸工場勤めで、渥美版では上記の通り、空港勤めであり、この2作品では真っ当なサラリーマンである
 原作及び古谷版ではヤミ品を流すブローカーで生計を立てており、JET版では定職についてないと記載されている

 金田一が村に来た切っ掛けも、原作・JET版では最後に語られるが、西屋の頭領:野村荘吉が、その弟:達雄の死に疑問を持ち(ってか、原作ではかなり本気で疑っている人物がいる)、その調査に金田一を呼んでいる形である(つまり、今回の事件とは別件で滞在していた訳だ)
 豊川版では辰弥を探し出した諏訪弁護士が、今回の件にキナ臭いモノを感じ、金田一に調査を依頼すると云うモノである
 渥美版でも、諏訪弁護士からの依頼となっているが、こちらは殆ど諏訪弁護士の個人的な依頼になっている
 即ち、自分の事務所が現場となった殺人事件について、腸内で溶けるカプセルに毒が仕込まれていると云う事で、容疑は晴れたが、このままでは気分が悪い、と、この殺人事件に関しての調査を依頼した…と云う事である
 まぁ一応、依頼に沿って被害者の村に来て調査を始めたら、弁護士事務所の一件を発端にした連続殺人事件に切り替わったので、併せてその調査を…と云う事らしい
 そう云う観点で来ているので、久弥の死亡時も現場に居ないながら死体の司法解剖を岡山県警に進言したりと出来たのだろう
 しかし、結局やったのは事件がほぼ終了してから村人に事件の解説をした事だけであった…以前の発言や後述もするが、この映画だと最後に多治見邸宅が全焼するが、その後、ドサクサに紛れて村からは消えており、ラストに諏訪弁護士事務所で辰弥に実父の偽情報を流したと云って〆る
(まぁ、この作品では辰弥の実父は登場すらせず、外国で成功し、帰国していた癖に村での事件に一切関わらず(劇中、TVで村での連続殺人事件が報道されているにも拘らず、だ)完全に無視を決め込んでいる…この親父も何処か可笑しいのだが)
 まぁ、クライマックスで真犯人の手掛かりを残した春代も、真犯人も鍾乳洞内で死んだので、金田一が村人に解説しないと、辰弥が鍾乳洞から出たところで逮捕or嬲り殺しだったかも知れんので、その意味では一応辰弥の助けにはなったのかも知れんが
 最後になったが、古谷版が一番酷く、本当に通りすがりなのである…村名に惹かれて…と云う事から、その村の謂れなんかも宿で聞き歩く…と、視点が辰弥でなく、金田一だからか、説明してくれる人が居ない所為で非常に無神経な言動が目に付く

 次に典子…本作の真のヒロインについてである
 原作では、登場時こそ月足らずで誕生した、少々知恵足らずで面相も余り芳しくない旨の書き方がされているが、中盤に辰弥に告白(一目惚れらしい)をした辺りから、行動力もあり、常に辰弥をサポートしながらも何故か物語の転機には必ず脇に居るポジションを取り、容姿も綺麗になる(辰弥の一人称で書かれるので、辰弥の心象が変われば一気に美化される…と云う事も有るのだろう、一応、原作では周囲も最近綺麗になったと話を聞く…とあるが、何処までやら)離れ技を見せ、最後には辰弥の子を身篭って結婚…と、云うサクセスストーリーを歩む娘だが、映像化作品では省略される事が多い
 渥美版・古谷版では省略、豊川版では登場するが然したる活躍も無く、JET版でも辰弥のサポート自体はするが、特に恋仲になる等の進展は無い

 次に死亡者数であるが、原作が井川 丑松・田治見 久弥・洪禅(和尚)・梅幸(尼)・妙蓮(濃茶の尼)・久野 恒実・田治見 小梅・田治見 春代の8人が犯人の手によって殺され、森 美也子が鍾乳洞で抵抗された際に負った傷が元で中毒死、片岡 吉蔵と周(西屋の若頭)が辰弥を追い詰めた際に起きた落盤に拠る事故死となるが、渥美版では田治見 小梅が最後に田治見家が炎上した際に家の中に一人仏壇に向かっており、多分焼死したと思われ、古谷版では里村 慎太郎も殺害され、英泉(古谷版では富三造となっている)が犯人と刺し違えている
 豊川版では田治見 小竹も犯人に殺害されている
 片岡 吉蔵と周に関しては、ソモソモ映像化の際に殆ど省略されており、森 美也子に関しては渥美版では落盤による事故死、古谷版・JET版では鍾乳洞内で相打ち(相手は両作品で違うが)となり、豊川版では服毒自殺である

 各作品で特筆すべき点は其々以下の通り
 渥美版は以前の記事にも書いた通り犯人が犯行発覚後に妖怪化して事故死、多治見家邸宅も炎上し縁者は全員死亡している事
 古谷版では全ての事件解決の数ヶ月後に近くの河が氾濫し、村全部が流され、村人は一人も生き残っていない…ドコロか、主人公辰弥も丁度、尼子の財宝を取りに来ていた最中だったのか、一緒に流されて命を落としている
 豊川版では辰弥は多治見の遺産は放棄した状態で元の生活に帰り、里村の兄妹も神戸に帰る事で事実上、多治見家は無くなる
 JET版は尼子の財宝について発見されずに解決し、辰弥は母親の思い出に浸る為に時折来ようと決心する所で話を終える

 次に犯人だが…まぁ此処までの文章を読んでいれば、誰が犯人かは判ると思うが、取り敢えず名は伏せる
 流石にコレは全作品共通である…(まぁ石坂版獄門島の様に色々な事情で犯人を原作から変更する事も有るが、取り敢えず本作では無い様だ)
 ただし、古谷版だけ、諏訪弁護士が共犯・一部実行犯として逮捕される展開になっている
 原作では、財宝を見つけた辰弥・典子夫妻の財宝所有権について尽力し、最後まで辰弥の味方で終わる人だし、渥美版と豊川版では金田一を呼びつける元の依頼人にもなっている訳だが…作品が変わると立ち位置が一気に変わるキャラの最右翼である

 多治見家については、原作では要蔵の血縁は死に絶え、分家筋の慎太郎が継ぐが、慎太郎は結婚せずに辰弥の次男に次を任せたい(長男は当然、寺田:辰弥の養父の姓を継がせる)と云う申し出が有り、決着するが、映像作品では結構まちまちである
 渥美版では血筋は絶え、戸籍上は辰弥が残るが家屋等は全焼、結局土地のみが残る形になるが、達也が相続したと云う話は残らない
 古谷版では再三になるが、村ごと濁流に飲まれてるので、血筋も財産も何も残らない
 豊川版では結局誰も継がなかったんぢゃないかな? 辰弥は元の生活に戻り、慎太郎・典子は神戸に出る…と云う事で、他の血筋は全て絶えた訳だし…宙に浮いた財産はどうなったか、よく覚えてない
 JET版では、慎太郎が継ぐ形で落ち着く…が、一応辰弥にもソレナリの分与を行っているので、円満に解決している

 で、物語の視点だが、原作では上記の通り辰弥の一人称で書かれている
 渥美版・豊川版・JET版もソレに準じており、要所ゝでしか金田一が登場しない…が、古谷版だけ、辰弥と金田一が両方主役級に登場している…シリーズ物で2話目以降、アバンで『僕、金田一耕助です…』から始まる前回までの簡単な粗筋紹介をするのが、このシリーズの鉄則なので、金田一が蚊帳の外だと問題が有ったのだと思う

 あと、森 美也子が尼子の血を引いている…と云う設定については、渥美版と豊川版でその様な語られ方をしているが、他の作品では原作を含め、そんな事は一切書かれていない
 併せて云えば、渥美版では辰弥の父親(母親の鶴子は物語の設定上、村の出身で無ければ話が成り立たないからだろう)の血筋も遡ると尼子の地盤に辿り着く…と、判明した所で金田一が調査を辞めた、と云っている…此処までオカルトにしたなら、しっかりオカルトにすれば良いのに…とも思うが、まぁ可能性と云う事で判断を視聴者に委ねる事でオカルトにしてるのかも知れん

 最後に謎解きだが、金田一も確かに謎を解いていた…が、原作では本当に『何もしていない』のだ
 原作では上記の通り、別件の調査で呼ばれたが、調査を断ろうとしていた(物証が出ない事がほぼ確定していたので、立証不可能と判断した)所に達雄殺しとほぼ同じ手口の連続殺人が起きた事で事件捜査に乗り出すが、犯人をほぼ確定していた(妙蓮(濃茶の尼)殺害辺りで…既に5人も死んだ後ではあるが、時間の進み方から云えば、辰弥が村に来て数日後の話である…その後の展開に結構時間が掛かっているので、日程的にはかなり初期段階と云える)にも関わらず、物証が無いから泳がせて次の殺人を未然に防ぐ・現行犯で逮捕…と、考えて泳がせておいたら出し抜かれて犯行は続くわ、辰弥は吊し上げ寸前になるわ(と、云うか丁度良く落盤事故が起きなければ殺されていた)、本当にナニしに来てんだ、と云った状態である
 村人の暴動を抑えるのに警察権力は役に立たず、説得したのは結局長英(死ななかった方の和尚)である
 まぁ病床に伏していた(それ以前の仏事には和尚ではなく、副住職扱いの英泉が執り行っていた)長英和尚に事のあらましを告げ、村人の説得を依頼したのが金田一なので、全くの役立たずではなかったが、事件に対しては、自分の推理を磯川警部に相談してれば、警察の人海戦術で犯行の防止・現行犯逮捕は出来てた(まぁ残り3人を絶対に助けられたか…と云えば微妙だが)可能性は少なくないと思う
 その所為で、最後の謎解きってか解説の場では、磯川警部の苦い顔が何回出た事やら…
 金田一の推理スタイルが『秘密主義で、警察から情報は仕入れて推理する癖に、警察に推理を披露しない』と云う、酷い云い方をすれば警察に寄生してるだけの推理ヲタクなので、仕方が無いと云えばそうなのだが…
 更に、金田一作品では、謎解きの後、犯人が自殺する事も多く、一部では金田一がソレをも見越してる癖に見逃しているに近い描写もされており、一部では警察(等々力警部)はある意味ソレを黙認している節もあるとか…殺人防御率率が他の創作に出てくる名探偵に比べて著しく低いのも、この辺りに起因しているとの事である

 最後に小竹婆ぁさんであるが、前述したとおり、渥美版では最後に焼け死に、豊川版では犯人に殺されている
 古谷版では小梅殺害後は全く登場しなくなっており、生きてるだろうケド状況不明のまま終了する(尤も、前述の通り事件後数ヶ月で村全体が流された時に死亡してると思うが)
 では、原作はと云えば、小梅殺害後、一気に腑抜けて仕舞うのだ
 一卵性双生児は片方に重大事が起きるともう片方にも影響がある…と云う様な記述がされるが、それ以前に生まれてから両人とも嫁にも行かない行かず後家で家の内外を取り仕切っていた相方が目の前で惨殺されたのだから、仕方が無いとも云えよう
 ちなみにJET版でも腑抜けた小竹婆ぁさんが1コマだけ描かれている

 まぁ…取り敢えず、筋が似通ってる癖に違う5つの話を全てネタバラシしながら書いているので、支離滅裂になってる部分も有るかも知れんが、勘弁して欲しい
 最後に、原作をそのまま映像化出来たら見たいか…と云えば、鍾乳洞探索の部分(特に久野医師の遺体発見の下り)は編集で短くしても良い気がする…まぁソレだけ広大で蟻の巣の様な迷路になってる、と云う事を云いたかったのかも知れんが、読んでて疲れる部分でもあった
 まぁ昭和前~中期の作家だけに、表現も少々古く、読み易くは無かったのも事実であるが

 取り敢えず、思い付いた所は一気に書き上げた積もりであるが、何か書きそびれが有ったかな…
 まぁ個人的な解釈・感想と云う事で流して欲しい

 次回はナニ書くかな
 ネタは常時探しているので、適当に見繕う積もりである
 ソレまで皆様、御多幸を^^

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