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2017年5月21日 - 2017年5月27日の記事

2017年5月23日 (火)

明治開化 安吾捕物帖と不連続殺人事件

 と、云う訳で日記系…?
 先日、やっとKindleにインストールしていた上記作品を全て読破出来た
 両方とも坂口安吾作の小説で、安吾捕物帖はシリーズで短編20本、不連続~は長編作品である

 さてさて、坂口安吾及び安吾捕物帖と云う作品は以前にも数回記載したと思うが、2011年10月期にノイタミナ枠で放映されたアニメ『UN-GO』の原案と云う事で興味を持っており、先日バッタもんで佐々木氏が読破後に無料配付していた文庫群に混じっていたので1冊戴き、結局途中からはKindleに青空文庫として上がっていた全作品をダウンロードして読んだモノである
 まぁ併せて作者である坂口安吾にも興味を持って、氏の推理小説としては初めての作品である不連続~も読んだ、と云う訳である
 坂口安吾は1955年2月に没しており、著作権で保護される『死後50年』を経過している為、合法的に青空文庫に上がっているのだ

 先ずは作者である坂口安吾と云う人物だが、1906~1955(享年48)と云うから、明治中期~昭和中期の人であり、処女作発表が1931年と云うから、まぁ戦前~戦後少々までの活躍次期だったのだろう
 1947年に初の推理小説である不連続~を雑誌に掲載開始、その時には既に人気作家になっていた(作家としてブームになったのは1921年発表の『白痴』)そうなので、特に推理小説家として有名な人、と云う訳では無い
(ちなみに安吾捕物帖は1950年に書き始められ、最終作である20話目は1952年の発表である)

 ちなみに横溝正史は1902-1981(享年79)、処女作『恐ろしき四月馬鹿』が1921年、初の金田一シリーズである本陣殺人事件が1948年、絶筆である悪霊島が1980年となる

 …対比すると横溝氏の方が年上だったんだな…ただ、横溝氏は地方出身で実家の薬局を継ぐ為に薬剤師の資格を得て薬局を数年経営していた時期が有り、そこでは小説家稼業に従事していないので、ブームが遅れている訳だ
 処女作の発表年で云えば、横溝氏の方が早いのだが、コレは雑誌投稿作品で、コレを読んだ江戸川乱歩氏に才能を見出されて、半ば強制的に作家として活動する事になった訳で…
 書かれた年代としては不連続~と本陣~がほぼ同時期であったと云うのは、この記事の為に調べた時に初めて知った

 で、作品の方に話は移るが、先ずは安吾捕物帖
 短編でしかもシリーズ最初に序文として『極めてパターン化しており、全5章(作品により多少の変動有り)として、虎之介が海舟を訪ねて事件説明を始めるまで→事件そのものの説明→海舟が推理する→新十郎が真相を暴く→海舟が負け惜しみを云う』と云った旨の説明がある訳だが、まぁ確かにそう云う感じである
 ただ、後半に行くに従って、段々その辺が有耶無耶になっているのだがwww
(海舟のミスリードされた推理を一々考えるのが億劫になったんぢゃないかなぁ…とか邪推するのだがwww)

 UN-GOは…まぁ原作では無く原案、と云えばそうなのだが、結局、第1話位しか原案の事件を踏襲した作品は無いんぢゃね? と云う感じであったのだが…まぁ細かく対比をしている人のページも有る様なので、その辺を調べたい人はソッチを当たって欲しい

 で、読み始めた第一印象が、先ず『読み辛い』であったwww
 兎に角読み辛いのだ…直接面識の有る人のは愚痴った事は有ると思うが、ナンと云うか『講談師が人前で物語を講釈するのに使う台本をその侭冊子にした』感じなのである
 「○○が××を△△したもンだから、たまンない」の様な、文語調・口語調とはまた別の…ナンか云い方は有るのだろうが、私は知らない…な文体で書かれている

 上記の通り明治中期生まれで戦前から小説を書いていた人だから…と云うのは横溝氏も同じなのだが、単語が現代人には馴染みの無い物もフンダンに入っており、横溝氏の小説を数作読んだ後だから挫折せずに読み切れたが、文体の読み辛さが更にソレを増幅させ、最初にコレだったら途中で投げ出していたのではないか、と思える位である

 内容としては基本的にHow done it的な作品であり、容疑者の動機を探る様な事が無い
 複数の容疑者には動機が有り、この状況で起こり得る殺人はどうしたら出来るかを突き詰めると真犯人に辿り着く…と云ったモノである
 wiki情報では、氏は和製ホームズを書きたかったから、このシリーズを始めたと云う旨の記載も有り…まぁホームズも数編の長編以外は新聞の読み物連載だった所為も有り非常に短編で、人間関係を深く洞察する作風は無く、トリックを暴くのが基本になっているし、コレを目指しているなら、そう云う作品になるのだろうな、とも思う

 上記に有る通り、名探偵と誉れ高い新十郎に対抗したい虎之介が、維新の傑物である勝海舟に事件のあらましを告げて知恵を借り、解いたと思った所に見落としが有り、ソコを的確に見抜いていた新十郎が真相を暴く…と云うパターンが成り立っている
 で、真相を知った海舟が『事件の詳細を事細かに告げないから』だとか『現場に居合わせないと気付かない盲点を突かれた』とか、まぁ自分は『与えられた情報の中で最良の推理をしている』と云うスタンスを崩さずに相談に来た虎之介を最後にディスっているのだが、当の虎之介は海舟に心酔しているので恐れ入るばかり…と云う辺りでオチが付く感じである

 途中から、上記の通りミスリードで辿り着く『偽りの真相』を考えるのが面倒になったのか、海舟の出番が非常に減って来ているのだが
 ソレにしても、勝海舟と云えば、維新の傑物で日本史(近代史)には必ず名が載る人物なのだが、そんな人物を此処まで扱き下ろして良かったのか、と云う感想も出る
 調べると、海舟の没年は1899年、坂口は上記の通り生年が1906年なので、生きた時間は全く被っておらず、人物像は伝聞でしかない筈なのだが…

 併せて、最初には警察内部に古田巡査と云う老警官が登場し、新十郎の手足となって証拠集め等を手伝う記載も有るのだが、ソレも途中で御役御免と云うか…何時の間にか出て来なくなり、証拠その他は新十郎が自身で出歩いて集める事が殆どになる
 この時代の作家はシリーズを書くに当たって詳細な設定等記しておかないのが常なんだろぉなぁ…と思えてしまう
(事実、今度気が向いたら書こうと思うのだが、横溝氏の金田一シリーズでも準レギュラーの設定ミスを見付けている)

 この当時の作家と云うのは純文学を追及する学者で無い限り、人気商売であり、読まれる作家が人気作家だった…と云う事は、現在のラノベ作家とスタンスは指して変わらない筈なのだが、読者もその辺を全く気にせずに読んでるだけなのか、最近のヲタが細かい所に気付くだけなのか…ラノベ作家の方が人間関係だの物理的な位置関係だの、詳細な設定を考えてから書き始める人が多い気がする

 さてさて、次に不連続~なのだが、文体は逆に安吾捕物帖に比べればまだ読み易い
 ただ、登場人物が非常に多い
 密室では無いが、酷い田舎の大邸宅…周囲には1里以上離れた場所に人里が有る程度で『犯行の為に外部から進入して、犯行後にまた外部に逃げる』は不可能では無いが、ソレを連続で行うには効率が悪過ぎる…と云う事で犯人は大まか絞られてくる…と云った状況
 そんな邸宅に主人・客・使用人等併せて28人の人間が集められ、立て続けに発生した殺人事件により、8人が被害者となる
 普通に考えれば連続殺人事件なのだが、殺された被害者に一貫性が無く、一連の事件として考えると動機がハッキリしない…別々の犯人が其々別の思惑で事件を起こしているかも知れない、と云う可能性も含めて『立て続けの事件だが、不連続』と云う意味でタイトルが付いた、と作中にもそれとなく書かれている
 まぁ実際の所、それでは推理のし様も無く、同一犯に因る連続殺人事件だった訳だが…

 上記の通り、登場人物が非常に多く、しかも其々に『誰が誰を呼ぶ時にはこの呼び方』の様に『この発言でこう呼ばれているのは誰だっけ?』的な思い出しをしないと話も頭に入り辛い作風である
 更に人間関係も酷く複雑で、現在Aの妻だが、元はBの妾で更にCとも関係有り…の様な入り乱れが激しく、そう云う意味では誰が死んでも叩けば動機の一つ二つ持ってる奴は複数出る…と云う様な、やはり『容疑者多数で、この殺害が可能な人間は…? と云うHow done it的な作品である』と云える

 初出では章区切りで雑誌掲載をしており、懸賞金を出して読者への挑戦状と云う形で『此処までで犯人が判った人は居るかな』的な文章が末尾に付く章が幾つか散見される
 しかも、エラリー・クイーンの様にスパッと書かずに、自分の知り合いの作家名を出して『コイツは良い所まで読んでるがマダマダだ』とか『コイツの発想は当てにならん位、明後日の方向に行っている』とか、作中の人物でない『作者の言』で書かれる文章が有るのは、珍しいと云えばそうだが、読んでて少々鬱陶しい感じも有る
 結果、見事に犯人・動機・トリック等を解き明かしたのが4人出たらしく、その内本当に寸分違わずの1名を大賞とし、残り3名を2位扱い、後はトリック等は外している部分が有るが犯人は当たってる人が4人の計8人に懸賞金を送った、と云う扱いで締め括っている

 まぁ最後に探偵役の登場人物が全ての謎を解き、殺害に関するトリック及び動機の説明等、全部済ませた時に矛盾は無く、他の解も得られない程度には完成していたので、推理小説として成り立ってはいるのだが…横溝小説の方が読み易いなwww

 坂口安吾は他にも20少々の推理小説を書いていたそうだが、申し訳無いが、これ以上読む気にはなれない…現在は横溝正史の『夜歩く』に本を移している
 女王蜂も見れる映像作品は出来るだけ集めたし、原作も読んだので纏められると云えばそうなんだが…間が空いた所為で改めて読み直した方が良いかな、とも云える状況(同じく『本陣~』も)なのがナンともwww
 未だに私のブログで検索件数で引っかかるのが横溝作品(八つ墓村とか病院坂とか)なので、もしかすると期待されてる? 或いは期待はされてないけど、そう云うの書けばまた見られる? とは思うのだが…あれ、書くの凄ェ根気と労力が要るんだよねぇwww
 まぁ気が向いたら、と云う事で

 さて、次は…ナニも書く事が無い
 故に、また何か探しながら…と云う事で
 ソレまで皆様、御多幸を^^

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