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2016年2月7日 - 2016年2月13日の記事

2016年2月 9日 (火)

八つ墓村その2(ネタバレ多数:古谷2時間版・稲垣版)

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 と、云う訳で以前、八つ墓村の原作小説読破に伴い、今まで見た映像作品等の比較等を行った記事を書いた
 結構な評判なのか、未だに閲覧数は最近の記事でトップである

 まぁだから…と云う訳でも無いのだが、先週発売の『横溝正史&金田一耕助シリーズDVDコレクション』26号が『八つ墓村(2時間ドラマ版)』であったから…と云う理由と併せて、またネタにしたい

 このDVDでだけで1回分の記事にするには少々情報が足りないので、稲垣吾郎版の2時間ドラマも鑑賞した分を合わせたい

 さて、何度も書いている通り、本作は横溝作品中一番映像化された作品であり、同時に1回も原作通りに作られた事の無い作品である
 取り敢えず、映画3本とTVドラマ6本の一覧をwikiから抜粋して紹介する

映画
 1951年:松田定次監督・金田一は片岡千恵蔵
 1977年:野村芳太郎監督・金田一は渥美清
 1996年:市川崑監督・金田一は豊川悦司
TVドラマ
 1969年:金田一は金内吉男、2クール1時間枠番組中の1回
 1971年:金田一は山本耕一、NHK銀河ドラマ30分枠で全5回
 1978年:金田一は古谷一行、横溝正史シリーズ1時間枠全5回
 1991年:金田一は古谷一行、今回DVD収録の2時間ドラマ
 1995年:金田一は片岡鶴太郎、金曜エンタテイメント枠2時間
 2004年:金田一は稲垣吾郎、金曜エンタテイメント枠2時間

 以上である…前回の記事では1977年版・1996年版の映画と1978年版のTVドラマ、原作とJET氏の漫画を比較した記事にした
 漫画も実は結構描かれていて、影丸譲也、つのだじろう、掛布しげを、長尾文子(敬称略)と計5人の漫画家が作画している
 私が読んだ事があるのはJET氏だけなので、他に比較が無いのが残念であるが…

 あぁ、序で…と云うかナンと云うか任天堂DS用ソフトとしてAVGが作られている
 同じソフトハウスから犬神家の一族も出ており、こちらはプレイした…ってか、まだ終らせて無いのだが
 故に八つ墓村をプレイする気にはなれないのだが…犬神家をプレイした感じ、プレイヤは金田一になる形で進行されるので、金田一が完全に脇役である八つ墓村ではどうなるのか、非常に気になる

 さて、以前の記事で話題にしたのは以下の事項だと思う
・舞台
・寺田辰弥の職業
・金田一来訪の理由
・典子の存在
・死亡者数
・各作品での特筆事項(尼子の財宝・物語の結末等)
・犯人
・多治見家のその後(遺産等)
・主役(誰の視点で語られているか)
・真相に至った経緯(誰が主に推理しているか)
・事件後の小竹
 …結構多岐に渡って書いてるなwww
 ソレでも前回の病院坂の方が文字数が多いんだから、どうなってるんだかwww

 取り敢えず、この項目について書いて行こうと思う
 ちなみに、原作では昭和23年の事件となっており、病院坂の勃発5年前、金田一が36歳の時の事件になる
 文章中では昭和2X年としているが、大正11年生まれの辰弥が27歳(数え)である時点で確認出来る

・舞台
 先ず古谷版だが、昭和28年となっている
 何故に5年進めたのかは不明だが、特に年が進んだ事で何も不都合は起きていない…逆に云えば、進める必要も無かった訳だが、単純に金田一の年齢の関係かも知れない…とも思う
 このドラマが放送されたのは上記の通り1991年であるが、このとき金田一を演じた古谷一行氏は48歳(wikiより、1944年生まれであるとの事)、更に上記の通り金田一が36歳である事を演じるのに無理があったのかも知れない
 場所は冒頭のナレーションで原作の地の文である『岡山と鳥取の県境近くの寒村』と云う事を明言しており、原作と同じである
 ただ、辰弥の住所は東京となっており、原作の神戸からかなり離れている…この事に関連するか判らないが、この作品では諏訪弁護士が完全に削除されており、辰弥を探しているのは金田一…と云う事になっている
 稲垣版では昭和23年となっており、原作通りである
 場所も岡山県北西部と云う事は、原作にある標記と齟齬は無い

・寺田辰弥の職業
 コレに関しては以前の記事で一部訂正がある
 原作に関して、古谷連続ドラマ版(1978年)と同じヤミ市のブローカーと記載したが、復員後に化粧品会社に就職…と記載されており、私の記憶違いであった
 化粧品会社と云う事は、石鹸工場と云う豊川版に近いのだが、豊川版ではその知識を元に、要蔵の遺体が死蝋化している事に自分で気づくが、他の作品では金田一等他者に説明されている
 さて、古谷版では化粧品会社勤めではあるが、セールスマンと云う事で、職場のデスクにじっとしている業種では無い旨の話がされている
 稲垣版では特に『会社の業種』については説明されていない
 ただ、事務所に電話が有り、ソコから徒歩圏内に倉庫が有る(或いは倉庫の事務室に電話が有るのかも知れないが)様な会社で、倉庫整理をしていたシーンが有る
 整理していた資材も嵩張るが軽めの物とかロール紙(トイレットペーパーの様な)の様な物が見えたので、やはり化粧品製造業とか、その辺の工場務めを設定しているのではないかと思う
 また、稲垣版では辰弥の母:鶴子は結婚をしておらず、辰弥は井川姓で登場する

・金田一来訪の理由
 古谷版は上記の通り、多治見家から辰弥の捜索を依頼されたのが金田一であり、最初からこの事件に関わっている
 料亭で辰弥と丑松を引き合わせて、水入らずにする為に席を外したタイミングで丑松が死亡し、その事件の調査…と、云う事で引き続き依頼された形になる…つまり、依頼人は多治見家、と云う事になる
 稲垣版は渥美版と同じく諏訪弁護士からの個人的な事件調査…と云う事らしい、ただ、諏訪弁護士から美也子が金田一の宿として久野医師宅に住まわせる依頼を受けていた
 ただ、最初は乗り気ではなく、半ば断ろうとしていた訳だが、横溝正史(登場人物として、原作でもシリーズ中に成城のY先生として度々登場している、金田一事件の記載者である…ただし、八つ墓村の原作小説は辰弥の手記である体裁で書かれている)に事件のあらましを報告した際、八つ墓村と云う村名を聞いた横溝が多治見要蔵の事件を思い出し、金田一に依頼を受ける事を勧める展開になっている

・典子の存在
 コレは…ソモソモ、典子が登場する映像作品が少なく、wiki情報では最初の映画である片岡版と現時点最新の映画である豊川版の2作でしか登場しない…と、ある
 で、今回の2作品にも登場しない
 慎太郎は事件の動機にも繋がるので、両作品とも登場している
 ただ、古谷版では妙連(濃茶の尼)が絞殺される際、現場近くに慎太郎が居たことを目撃する辰弥の脇に居るポジション、龍の顎で情を交わすポジションには美也子が座っている
 しかし、良く考えると、妙連を絞殺している所を慎太郎に見られているのに、その足で鍾乳洞の中に入り、辰弥と合流…その場から立ち去る慎太郎を辰弥と一緒に目撃…って、凄くね? どうやって慎太郎を追い抜いたのかwww
 稲垣版では、ソモソモ妙連は崖から突き落とされている(殺害方法が違うし、慎太郎も目撃していない)し、洞窟への逃避行は辰弥単独で行っているので、このポジションは存在しない

・死亡者数
 古谷版では、原作とほぼ同じである…ただし、後述するが、2人居る大叔母の双子のうち、殺されるのは小竹である
 稲垣版では原作と同じ8人(丑松、久弥、洪禅和尚、梅幸尼、妙連、小梅、久野医師、春代)であるが、最後に村人が鍾乳洞で辰弥を追い詰めた際、洞窟崩落で79人が死亡すると云う事故が起きている(詳細は後述)
 更に両作品とも、美也子は春代に噛み付かれた小指からの感染で死亡する…と云う、原作に近い死に方をしている
(ただし、古谷版は治療が間に合わず…だったが、稲垣版は犯行の露見後、治療を拒否して自殺に近い死に方であった旨、説明される)

・各作品での特筆事項(尼子の財宝・物語の結末等)
 古谷版では、登場人物相関の簡素化がかなり激しい事が云える
 西屋として本来は多治見と同じ分限者である筈の野村荘吉が要蔵の弟として紹介される
(野村の名代として美也子が出るので、荘吉は画面に登場しない)
 この事で、反多治見派…と云うか西屋派閥の村人が存在しなくなり、美也子が分家筋とは云え、多治見の血族に入った形になる…その関係か、美也子が小竹・小梅の区別が付いている…この事が、籤殺人偽装中の大叔母殺害について、小竹を選んで殺している事に繋がってるのだと思われる
 また、上にも書いたが諏訪弁護士・典子の削除されている
 この事からか、辰弥への殺意も恐怖に因る集団心理と云う程度で、警察に押し止められる程度にしか起きず、結果として洞窟崩落の様な事も起きない
 また、原作に有る事だが、辰弥が要蔵の血を引いていない事は久弥・春代は知った上で辰弥に財産譲渡を行う積りだった事が語られる
 まぁ要蔵が仕出かした(将来を誓い合った仲の居る娘を強姦・監禁して強制的に妾とした)事に対する侘びの意味も有ったのかも知れんが、要蔵の血を閉ざしたいだけなら、辰弥を呼ばずに慎太郎に相続で良かった気もするのだが…嫡男(要蔵)よりも出来のよかった弟(慎太郎の父)と云うのが、嫡男重視の古い因習の中で嫌われた…と云うが、その辺の感覚は昭和後期の生まれである私には良く判らない
 それに、今回の改編では、上記野村荘吉や久野医師も要蔵の弟と紹介されている…32人殺しの犯人と医者なら、間違いなく久野医師の方が出来が良いよなぁ…久野医師は慎太郎ほど嫌われていないのは何故?www
 尼子の財宝については発見されることは無く、村には伝説として残る程度である
 また、この作品では後述になるが辰弥も独自に推理しながら進み、真犯人に行き着く…此処で鍾乳洞内でのチェイスは村人相手ではなく、犯人と行うこととなり、この辺は妖怪化した渥美版に近い
 ただし、崩落事故による死亡は無く、直前に金田一・警察に止められて犯人は逮捕される
 また、英泉(殺されなかった方の住職代理)の正体(辰弥の実父)が明かされ、事件の最中で負傷した実父の看病等の為、辰弥は村に残ると金田一と別れて終わる
(その後にどうなるかの描写は無い…最初の丑松殺害の容疑者となった時点で元の会社は解雇されている旨の台詞も有り、今後どうするのか、謎のままである)
 更に、村は後の統廃合で村名を失う事となる旨、最後のナレーションで語られる
 次に稲垣版だが、ソモソモ西屋が存在しない事と設定されており、美也子は久野医師の弟の未亡人として登場する
 上記の通り、諏訪弁護士から住処等の保障を依頼された美也子は久野医師宅に金田一を逗留させるのはこの為である
 村人の暴走が起きた際、多数の村人に洞窟の進入を許す展開はある意味原作や渥美版に近い展開で有るが、追い詰められた辰弥を救ったのは尼子の亡霊である
 此処だけオカルトになるのだが、追い詰められた辰弥の背後から亡霊が威嚇し、怯んだ所に洞窟崩落…村人79人が死亡する中、辰弥は自力で帰還し、生き長らえる
 尼子の財宝はシッカリ辰弥が見付け、私物化する
(金田一に報酬として数枚渡され、次回作ドラマの女王蜂で横溝と旅行する資金になる)
 また、辰弥の父方の系譜が『尼子の落ち武者襲撃に唯一反対した村人の血筋』である事が語られる
 美也子は原作と同じく指からの傷で死亡するが、上記の通り犯行が全て露見した後、治療を自ら断り、のた打ち回って死亡する…と、語られた

・犯人
 両作品で犯人は同一人物(原作と同じ)である
 ただ、幾つかの違いが有り、古谷版では動機がかなり違う
 古谷版での犯人は、要蔵の32人殺しで孤児となり、要蔵の弟である荘吉に養われる
 その後、荘吉の息子に嫁ぐ事になるが、その夫が事業に失敗、本家である多治見に救援を要請するも拒否されて旦那は自殺、失敗した事業は多治見が買い取って繁栄の材料とした…と云う経緯があり、多治見家ソノモノに強い恨みが有った事が動機とされている
 ソコで、多治見本家の血筋を全て根絶やしにし、多治見が嫌っている慎太郎に相続させる事を目指して犯行に及んだと説明される…此処には他の作品等に見られる慎太郎への愛情は無く、単に『多治見家が一番嫌がる相続をさせたい』だけである
 つまり、此処では多治見の血が入って無い辰弥を殺す必要は無く、辰弥は殺さずに血縁で無い証明だけをする積りだったのが、辰弥に真犯人を突き止められたので殺すしかない…と、なったのである
 まぁある意味、辰弥が能動的に動き過ぎた結果の展開であるwww
 稲垣版では、原作通り真犯人は慎太郎に懸想しており、多治見の財産を相続すれば、以前の様に自信に満ちた姿で自分に求婚してくれる筈だ…との思いから犯行に及んだとされている
 原作の様に財産目当て…と云う事では無い様で、事件前に夫殺しもやっていない(夫が存命の時は慎太郎も同郷の友人と云う扱いだったらしい)事が語られている

・多治見家のその後(遺産等)
 多治見の財産については、両作品とも慎太郎に相続をさせる事で落ち着いた様だ
 稲垣版ではソレ以外の収入(尼子の財宝)が有るので、辰弥は困らない筈だが、古谷版では仕事も解雇になり、遺産も慎太郎…となると、本当にどうする積りなんだろう?www

・主役(誰の視点で語られているか)
 古谷版では、基本的に視点は辰弥である
 上記の通り推理も独自に行い、真犯人に辿り着く所まで行った…まぁ詰めが甘くて最後には金田一に助けられた訳だが
 辰弥の目が届いていない部分(警察内部での会話等)では第三者視点又は金田一視点となるが、比率としては辰弥が多い
 金田一も一応独自に推理し、真相に辿り着いており、最後に辰弥が真犯人に追い詰められた際に助ける活躍をしている
(英泉も庇ったが、結果で云えば庇いに入って怪我しただけ…と云う見方も有る)
 稲垣版では導入部は金田一視点(横溝に事件の冒頭を説明する等、辰弥の居ない場所での進行になるので)であるが、村に行ってからは基本的に辰弥視点で作られている
 ただ、古谷版と同じく、辰弥の知り得ない場面等では第三者視点又は金田一視点で作られる

・真相に至った経緯(誰が主に推理しているか)
 古谷版では上記の通り、金田一・辰弥の両方が独自に推理しており、辰弥は偶然だが金田一は証拠や過去の資料等から犯人を特定している
 稲垣版では、辰弥は完全に巻き込まれ形で物語に翻弄されているだけで、推理自体は金田一が行っている

・事件後の小竹
 古谷版では小竹殺害後、小梅が全く描写されていない
 村人が辰弥を吊し上げようと多治見邸に乗り込む際に、頭の白い老女が一瞬、屋敷の隅に逃げる姿が映るが、後姿であり、小梅かどうかの確認が出来ない
 この老女が小梅であるならば、一応、マトモな判断が出来る程度の精神状態ではあろうが、辰弥が慎太郎に相続させると決めた事には異を挟んだと云う話は聞かないので、在る意味『今まで多治見を支えてきた』と云う気概は無くなっているのだと思う
 対して稲垣版では、原作通り小梅が殺され、小竹が残るが、小竹は腑抜けた描写がされている
 村人が辰弥を追い詰める際、多治見家に火を放つ(或いは夜の事だったので、照明用の松明が移り火しただけかも知れん)が、ソレにも反応せずに座り続けているシーンが有る
 ただし、今回の一件で最後に説明された死者数は美也子を含め88人と有る
 また、崩落で死んだ村人が79人と新聞に記載されている事から生存したと思われる
(犯人に殺されたのが8人、村人が79人生き埋め、そして美也子を足せば88人となり、小竹の入る余裕は無い)
 飽くまで多治見邸に火が付いたのは、辰弥捜索の際の暴走であり、放火は村人の本意ではなかったのだろう

 取り敢えず、映像作品2本だけで書いたのに文書量が凄い事になったが…まぁ良いか

 次回は…本当にネタが無くなったかなwww
 取り敢えず、休みも1日(木曜日)有るので、何か探したい
 ソレまで皆様、御多幸を^^

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