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2016年8月7日 - 2016年8月13日の記事

2016年8月 8日 (月)

悪魔の手毬唄(ネタバレ多数:原作・映像4種・漫画)その1

 と、云う訳で、先日やっと隔週刊の『横溝正史&金田一耕助シリーズDVDコレクション』で2時間ドラマ版の標記作品がリリースされた
 原作を読み切ってから少々経つのだが、その時に取ったメモを踏まえて映像作品4本及び漫画作品1作の比較を行いたい
 調子捲って書いてたらトンでもない長文になって仕舞ったので、今回と次回に分けて纏める事にした、御了承願いたい
 また、今週末はミケでチト今週は忙しくなると思われ、原稿が上がってる分、月曜に上げておく事にした

 先ず、本作の映像化作品が現時点でどの位出ているかをwikiから調べる(敬称略)
劇場作品
 1961年 監督:渡辺邦男 金田一:高倉健
 1977年 監督:市川崑  金田一:石坂浩二

TVドラマ
 1971年 金田一は登場せず(火曜日の女シリーズの『おんな友だち』、1時間枠全5回)
 1977年 金田一:古谷一行(横溝正史シリーズ、1時間枠全6回)
 1990年 金田一:古谷一行(2時間ドラマ)
 1993年 金田一:片岡鶴太郎(2時間ドラマ)
 2009年 金田一:稲垣吾郎(2時間半ドラマ)

 漫画としてはwikiには先日紹介した、つのだじろう氏と今回比較するJET氏の2名のみ記載されているが、ナンか調べれば他にも出てきそうな感じである

 この内、今回は原作・1977年映画(以下『石坂版』)・1977年TV(以下『古谷版』)・1990年(以下『古谷2時間版』)・2009年(以下『稲垣版』)・漫画(以下『JET版』)を比較したい
 鶴太郎版は昔見た気もするが覚えてない…もしかすると、一時期TVドラマを一切見なかった時期があるので、見てないかも知れない

 さて、此処からは毎度の事ながらネタバレが非常に強い…ってか、今回はマジにコレだけで本読まなくても大抵判る様な書き方になって仕舞ったorz
 数行間隔を空けるが、了解の上で読み進めて欲しい





 さて、先ずは舞台になる時代及び場所である
 原作では昭和30年7月に金田一が村に訪れ、最初の事件(多々羅放庵の失踪)は8月に入ってからである
 場所は岡山県の寒村『鬼首村』…同名の村が別作品『夜歩く』に登場するが、こちらは古谷版のTVだけ視聴して原作未読であるが『同県同名だが別の村』と云う認識がされているらしい
(登場人物・地形描写は全く違うし、位置描写も違っているらしい)
 石坂版は昭和27年の記述で時期も8月では無い様だ…金田一は常時マントを着用しているし、画面等から見える季節は冬になっている…ロケの都合との見方が強いが、まぁ事件に大きな影響は無い
 古谷版は石坂版と同じく昭和27年、ただし此方は夏である…特に月日の表示は無いが、画面から見える季節は間違いなく夏である
 古谷2時間版も古谷版と同じく昭和27年夏…冒頭で事件概要を説明する磯川警部と金田一が一緒にカキ氷を食べている
 稲垣版は原作と同じく昭和30年、ただし、秋と明示される…コレもロケの都合だろうか
 JET版も原作と同じく昭和30年の話になっている…季節は説明されていないが、1コマだけ8月のカレンダーが描かれている事で、まぁ普通に考えれば8月なのだろう…しきりに汗を拭う描写が有るし
 場所は岡山県鬼首村、コレはどの作品も同じで、文明度は人力車が来れる道があるかバスが日に数本有るか…程度の差であり、まぁ現代日本からすればソレナリに未開の寒村と云ったイメージは、どの作品からも見て取れる
 此処で気になるのが昭和30年とする原作・稲垣・JET版と昭和27年とする石坂・古谷(両方)版である
 物語の根本にある『過去の因縁』に起因するが、コレが昭和7年の事、と云う事で固定するので、石坂・古谷版は丁度ソコから20年後と切りの良い時代設定にしたのだと思われる

 次にその『過去の因縁』について比較する
 『恩田幾三』と名乗る男がモール飾りの副業を農村に持ち込む事から事件は始まる
 葡萄栽培からワイン醸造までの業務を始めて大当たりした村の新興勢力『仁礼家』に対抗し、コレに飛び付いたのが旧家『由良家』である
 由良が一時的に金を出し、参加の村人に副業を推奨、かなり順調に進み、作業用機械の代金が全部恩田に回収された所で丁度実家を次ぐ為に村に帰省した亀の湯の旦那『青池源治郎』が詐欺と見抜き、恩田の塒にねじ込むが逆に殺害され、以降恩田も失踪して仕舞う…と云うのが概要だが、コレが昭和7年の事になる
 原作では、モール会社の元受が倒産しており、結果的に詐欺になったが、恩田は詐欺を行う積りは無かった可能性も示唆されている
 石坂版ではモール元受の倒産は無く、最初から詐欺の積りであった事とされている
 古谷版ではモール元受は倒産しているので原作通り、更に時代も『20年前』とのみ云っており(上記舞台が昭和27年だから)昭和7年と推測出来るが明示されていない
 古谷2時間版では古谷版と同じく『丁度20年前』と云う云い方で昭和7年を暗示しているが、モール元受については石坂版と同じく倒産の描写は無い…つまり、恩田の詐欺確定である
 稲垣版は昭和7年11月とハッキリ明示して説明するが、やはりモール元受の倒産については描写が無い
 JET版では石坂版に準拠しているのか、モール元受の倒産の話は無く、詐欺確定で話が進む
 …さて、此処で昭和7年に拘ったのには理由がある
 被害者である青池源治郎は都会で活動写真の弁士(以下『活弁』)をしていたのだが、トーキー映画の台頭、そして洋画『モロッコ』において『スーパーインポーズ』技術による字幕が付与される事で大ヒットとなり、結果として活弁が必要なくなった…と云う時代背景がある
 コレが元になる為、恩田事件は『モロッコ』公開の翌年、昭和7年である必要が有るのだ
 ちなみに、源治郎が活動していた都会であるが、原作を含めほぼ全ての作品で神戸となっている中、古谷2時間版でのみ浅草となっている…コレは、警視庁の警部である等々力(シリーズレギュラー)を登場させる為に必要な変更で、後で源治郎の写真を取り寄せる為のコネにも使われている

 話は変わるが、今度は金田一の来村動機を見る
 原作では、難しい事件を解決して休養を欲した金田一が勝手知ったる岡山(所謂岡山編…と云われる位、金田一は岡山で事件を解決しており、本作はその中でも比較的後期(時系列的にも)の作品で、色々気兼ねが無くなっている)に向かい、馴染みの警部、磯川に場所斡旋を願い出た所、紹介されたのが鬼首村であった
 磯川は磯川で上記昭和7年の事件を再調査して欲しい思惑があり、正に『鴨が葱背負って』状態だったのだろうwww
 兎に角、昭和7年の事を穿ろうと思った矢先に当時の重要な証人である『多々羅放庵』が失踪し、事件が勃発するのである
 故に、コンビを組むのも基本的に磯川とになるが、所々で上記岡山編である『獄門島(瀬戸内)』や『八つ墓村(岡山と鳥取の県境)』等の事を思い出す描写もある
 石坂版では、もっとダイレクトに磯川から探偵業務を依頼したい旨呼ばれた先で、上記恩田事件の詳細を聞かされる形である…石坂版は劇場シリーズであるので、単発で楽しめる仕様にする為か、金田一の旧知は基本的に出ないのだが、本作の磯川と最終作『病院坂の首縊りの家』に登場する老作家夫婦だけが旧知の存在として登場する
 故に、事件の捜査主任として登場する立花警部(原作では警部補)は金田一の業績を知らないが、磯川は知っており、絶対の信頼を置いている
 古谷版ではやはり養生に鬼首村に来ている…が、事務所の家賃滞納問題でトンボ返りする羽目になり、帰省途中に放庵の元妻『おりん』に出会う…結局、嵐の様な大雨で電車に乗れず、泊まった宿でおりんは既に1年前に他界している旨を聞き、放庵宅に取って返す形になる…結局、恩田事件も含めて日和(このTVドラマシリーズには原作に有る磯川は登場せず、シリーズレギュラーである日和と云う警部がほぼ常に相棒になる)の策略である事が後で判る訳だが
 古谷2時間版では、等々力と金田一の両方が磯川に招かれて鬼首村に来ている…等々力は来村と同時に本庁に呼ばれて東京に戻らされるが、古谷一行が演じる金田一のシリーズで磯川が登場するのは、この作品だけである…兎に角、磯川も来て貰ってから用件(恩田事件の再調査)を云い出すと云う騙し討ちはしているのだが
 ちなみに原作に登場するキャラである岡山県警:磯川と警視庁:等々力は共に金田一の良きパートナーであるが、この二人が直接会うシーンは殆ど無い
(まぁ岡山と東京だしねぇ…)
 映像化作品でも当然、会う事は殆ど無いのだが、この作品はその非常に稀な例の一つである
 稲垣版では、やはりシリーズレギュラーが橘署長で、その紹介であり、策略であるのは登場人物を入替えただけで原作準拠と云えなくも無い
 JET版は漫画だけに役者の都合を考えずに登場人物を描けるのが強みで、磯川の作品は磯川で、等々力の作品(東京モノ)は等々力で描き分けている…当然、原作準拠で磯川が策略的に呼んでいるwww

 コレに併せる話になるが、金田一の素性について、原作では『磯川の紹介』である事、上記の通り岡山編だけでもソレナリに後期の作品だし、東京等でも難事件を解決しているので、その名声を一部(放庵や仁礼家の現当主『嘉平』)は知っている所から始まる
 石坂版では上記の通り磯川は知っているが、それ以外は全く知名度が無く(亀の湯で磯川が紹介しているので、亀の湯の女中や息子の『歌名雄』は知っているが)風体から余り頼りになるとは思われてはいない風である
 古谷版では放庵失踪の捜査開始時点で日和から紹介され、それ以前に知っている者はいない様である
 古谷2時間版では、やはり磯川が紹介しており、亀の湯の面子は知っているが、村内では他に知る者はいない感じである
 稲垣版では、シリーズを通して作家の横溝先生が書いている『自分が解決した事件を小説化した本』を持ち歩いて自己紹介し捲るので、逆に有名である
 JET版では古谷版に近いのか、事件発覚まで特に知らされて無い状態であった

 次に肝心の手毬唄についてである
 原作では、読者に紹介する必要も有った為か、冒頭でお喋りお庄屋の唄を1番とする唄(2番が枡屋、3番が秤屋)が記載される
 ちなみに、お庄屋、枡屋、秤屋…そして後に出る錠前屋と云うのは村に古くから有る屋号と呼ばれる風習で、お庄屋は代々お庄屋をしていた多々羅放庵、枡屋は由良家、秤屋は仁礼家、錠前屋は別所家を指す
 話は戻るが、1番目にお庄屋を歌う唄は本来の手毬唄としては様式が可笑しい…三羽の雀は娘の事を歌っているのに1羽目の雀がお庄屋を歌っている…この唄を外して三羽目が歌う娘唄がある筈…と原作では推理される
 また、金田一がこの唄を聞くのは仁礼家の娘『文子』が殺された後に上記お庄屋唄を1番とした3節を聴く事になる
 この事件の前に由良家の娘『泰子』が殺されているのだが、このときに聞くタイミングを外されるのだ
 唄を教えるのは由良の隠居している老婆なのだが、この老婆が食えない性格をしている
 一羽目の唄に準えてお庄屋が失踪、二羽目の唄に準えて自分の孫が殺された事に気付き、三羽目の雀が歌う仁礼の娘も直ぐに殺される可能性に気付きながらも『自分の孫だけ殺されるのは癪だ』と態とタイミングを外した嫌いがある
 また、後で登場するが、お庄屋歌を外して娘のみを歌った唄では、三羽目の雀は錠前屋を歌っており、上記『別所家』の事になる
 別所家は恩田事件の際、恩田幾三が村に逗留していた頃に世話をしており、恩田失踪の後に娘が生まれている…ソレが『千恵子』であり、村では詐欺師・殺人者の娘と迫害を受けたが、東京でブレイクして『大空ゆかり』の芸名で大スターとなっている
 石坂版では泰子殺害時に一羽目として由良の見立て唄を、文子殺害時に二羽目として仁礼の見立て唄を聞かせており、単にボケて殺害状況を聞いて思い出しているだけ、と云う描写になっている
 三羽目の別所の唄は由良の隠居からでなく金田一が唄の載っている冊子の所在を突き止め、調べている
 古谷版では文子殺害時にやはり由良の隠居から一羽目:由良、二羽目:仁礼の唄として聞かされる…隠居はボケてはおらず、原作と同じく自分の孫だけ被害に遭った事に対する抵抗の意味で、文子殺害時まで唄を公表していない描写である
 三羽目の唄は別所の唄になるが、放庵の捜索に関連して神戸にいる放庵の血縁から冊子を借り受け調査される
 古谷2時間版では石坂版と全く同じで、由良の隠居はボケており、泰子、文子の殺害時に其々その見立ての唄だけを思い出して聞かせて来る…三羽目の唄は金田一が岡山学芸大学で冊子を調べて確認する
 稲垣版では映像作品では唯一、お庄屋唄が金田一の耳に入る
 放庵や亀の湯の娘(歌名雄の妹)『里子』も歌うほど、村では知れ渡っている唄の様だが、一羽目がお庄屋の唄なので、別所の唄が無い
 原作と同じく、その違和感から金田一が神戸に調べに行って三羽目の別所唄を突き止める
 JET版では泰子殺害時に一羽目の由良唄を聞かせるが、以降の唄は『忘れた』と聞かせなかった…が、原作と同じく態と教えなかった節の描写がある
 一羽目にお庄屋を歌った唄は、私の見た映像4本、漫画1本では稲垣版でのみ紹介されていたのは特記すべきだと思う
 また、由良の隠居がボケて本当に唄の続きを忘れていた場合と、最初に殺されたのが自分の孫娘である事から、ある意味捜査の協力を拒む意味で敢えて教えてない場合とに分かれるのも見て取れる

 さて、此処で殺される被害者についてに話を変える
 本作では珍しく全ての映像作品及び漫画で被害に遭う人間は同じ人間『だけ』である
(映像化作品で追加の被害者も無いし、原作で殺されてる被害者が助かる例も無い)
 最初の被害者は失踪扱いであった放庵
 次の被害者は『枡で量って漏斗で飲んで』の唄に見立てられ、滝壺に固定された上で口に漏斗を、その上に枡を設置され、滝の水が枡から零れ落ち、漏斗を通して口に入る様設置された由良泰子
 3番目の被害者は『大判小判を秤に掛けて』の唄に見立てられ、仁礼のワイン醸造庫に縁起物の大判飾りを付けた竿秤の近くで殺された仁礼文子
 最後の被害者は別所千恵子の身代わりになり、『小町娘の錠前が狂った』に見立てられ、辻の地蔵脇で近くに錠前と合わない鍵の組み合わせを置かれて殺された青池里子
 以上4人である
 ちなみに娘唄三羽目の『小町娘』は、所謂性的に不能の女性を指す隠語である
 故事に有る小野小町と云う女性は絶世の美女であったにも拘らず、夫を持たず一生貞操を守った事から身持ちの固い娘、転じて性的不能の娘を指す隠語になったとされている
 となれば『錠前狂えば鍵合わぬ』と云う歌詞の意味も自ずと知れよう

 放庵はお庄屋殺しと村で呼ばれる草の毒で殺害され(お庄屋唄でその様に歌われている)、死体を隠されている
 作品毎に『最近死んだ他の村人の墓に埋葬した』とか『沼に捨てた』とか多少の違いは有るが、物語に影響は少ない
(放庵が失踪扱いの時点で、最重要容疑者となり、捜査が迷走する)
 また、原作とJET版でのみお庄屋殺しは『沢桔梗』と云う毒草である旨描写されるが、実際の沢桔梗は確かに毒草だが、人一人殺すには結構な量が必要になる程度の毒なのだそうだ
(原作では毒を盛られて苦しんでる所を首を絞めて殺している…が、検死結果では盛られた毒のみで死ぬ量だった事も判っており、苦しむ放庵に対し、楽にしてやる意味で止めを刺したのではないか、とも思われている)
 ちなみに上記の通り舞台の季節が違う所為か、石坂版ではお庄屋殺しはヤマトリカブトと云う別の植物となっている…トリカブトって位だから、毒性は多分桔梗より強く、ソレこそコレだけで毒殺は可能だったろう
 更に云えば、古谷版(両方)と稲垣版では『お庄屋殺し』と云う俗称のみ紹介され、毒草の一般名称は一切出て来なかった事を付け加えておく
 また、放庵への犯行直前に『おりん(放庵の別れた元嫁)』を名乗る老婆と金田一が遭遇しており、コレが容疑者(又は放庵の変装)と捜査されるが、古谷2時間版のみ、放庵殺害後(ただし、失踪扱いとなる前)に、金田一は磯川と一緒に居る時に目撃している
(他の作品は原作も含めて遭遇は金田一のみ)
 また、このおりんであるが、放庵に復縁願出の手紙を出しているが、コレが数年前の話であり、実際には1年前に他界している事が明らかになる
 金田一は放庵に依頼され、復縁を了解する返事を代筆(放庵にはおりんの死も復縁依頼が数年前である事も犯人に隠匿されている)し、本来コレが『おりん』が村に来る伏線になる訳だが…
 原作・石坂版・JET版では描写されているが古谷版(両方)・稲垣版ではこの下りが無く、突然おりんが登場する事になっている
 最後に放庵失踪の現場にオオサンショウウオが飼われているのが見付かるのは原作から映像作品全てに共通する
(JET版ではカットされていたかな?)
 しかし、原作では『別れた元妻が帰ってくるので、精を付けようとした』と説明されているが、映像作品では一貫して『放庵は鳥目で、特効薬として食う積りだった』とされている
 一応、原作でも夏は『体力が落ちて鳥目がちになるので』と、精を付ける意味は鳥目の一時的な回復を狙った面も有る事を示唆しているが、まぁ色好みの爺ぃが元妻を迎え入れるのだ、意味合いとしては押して知るべしだろう
 兎に角、犯人がおりんに化けて殺害する訳だが、夜(当時は照明が然程明るくないので、鳥目では人の見分けが付かない)であった事が放庵が簡単に騙された理由にしている
 ただし、殺害してから食事等の偽装をしている稲垣版でのみ、サンショウウオは登場するモノの、その用途や理由については言及していない

 泰子の殺害状況については、原作準拠で全ての作品に共通している
 ただ、JET版でのみ、泰子の性格が高慢である描写がされ(原作にもその様な描写は無い)、原作準拠の動機と併せて動機の一因とされている事だけ特記する

 文子の殺害状況に一番差が出ている
 原作では醸造庫の樽の陰で絞殺され、座らされた形で腰ベルトに竿秤が差さっている形で発見される
 石坂版では絞殺死体が樽の中に放り込まれており、肩から上がワインの水面から出ている…更にその上に竿秤が飾られているのである
 古谷版では原作準拠で樽の脇に座って腰に竿秤が差さっている
 古谷2時間版では石坂版に準拠して樽の中に放り込まれて頭上に竿秤が設置される
 稲垣版が一番凄惨で、文子が樽の上に吊るされ、竿秤は文子の喉元に突き刺さっており、ソコから血が伝ってつま先からワイン樽に滴っている形であった…殺害方法もコレで、後ろから近付いた犯人に気付いて振り返った所に槍の様に喉元を一突き(謎解き時の殺害シーンの再現)と云うカナリ残酷なシーンであった…他の作品では一様に(原作含めて)絞殺が死因である
 JET版は石坂版・古谷2時間版に準拠している
 また、文子殺害の晩に、前日死亡した泰子の通夜の席で由良家屋敷の壁におりんを思わせる老婆の影が映し出され、一時パニックになる(原作では、後から金田一・磯川に報告されるだけで、大騒ぎにはなっていない)のだが、この描写が古谷2時間版だけカットされている

 里子の殺害状況は、原作通りだとチト映像化に問題が有ったのかも知れない
 原作では、里子は基本的に和服で過ごすのだが、この時は千恵子の身代わりとなる為に洋服に着替えていたのだ…犯人がソレに気付かず殺害してから『被害者が違う』事に気付く
 そして身代わりであった事を隠す為、着替えさせようとするのだが、発見が早く脱がした所で和服を着せる事が出来なかった
 …つまり、里子は下着姿で地蔵の陰に隠された状態で見付かるのだ
 石坂版では和服のまま路上放置であり、犯人は警察が里子と断定するまで被害者が違う事に気付いていない描写がある
 古谷版では和服のまま路上放置である…が、犯人は間違いに気付いていた描写がある
 古谷2時間版でも和服のまま路上放置であるが、犯人が殺害時に間違いを気付いたかどうかの判別が難しい
 稲垣版では原作準拠で身代わりの為に洋服に着替えているが、特に脱がされてはいない…しかし、殺害時に犯人は間違いに気付いた様である
 JET版はやはり漫画の強みで女優の事など考える必要が無い為、半裸(てか、洋服の切れ端だけが纏わり付いてるだけの、ほぼ全裸)で発見される、また、地蔵の陰に隠されている描写もあり、殺害時に間違いに気付いたのだとソコから判断出来る

 …と、此処までで結構な字数になっており、以降も調子に乗ってたら12KBを超える文章量になっている…丁度以降の部分は事件の真相に迫る部分だし、この辺で1回〆て置きたい
 次回はこの続きを予定している
 ソレまで皆様、お待ち戴ければ幸いです
 御多幸をお祈りしております^^

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