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2016年8月16日 (火)

悪魔の手毬唄(ネタバレ多数:原作・映像4種・漫画)その2

 先週の続きになるが、事件の真相が此処からネタバレになるので、ソレが構わない人だけ読み進めて欲しい



 さて、此処からは更にネタバレが強く、犯人等の事件の核心を比較したい
 先ず犯人…の前に、恩田事件の話に戻る
 実は恩田幾三=青池源治郎であり、当然、恩田を殺害した犯人は別に存在する
 源治郎は亀の湯を継ぐ前、映画『モロッコ』の大ヒットで活弁が不要になった時点でモール製作の副業を故郷の村に斡旋して利ザヤを稼ぐ予定だった(コレが昭和6年)
 更に村の有力者である由良・仁礼2家の嫁・娘に手を出し孕ませている(コレで出来た娘が泰子・文子である)
 また、恩田として村に逗留している際に世話をしてくれていた別所の娘にも手を出しており、孕ませた(コレで出来た娘が千恵子)
 事件の後に由良・仁礼の2家は家の力等も使い、別の親を設定する等して『子が恩田の娘である事』を隠していたが、別所の子だけはソレだけの力も無く、別所千恵子は詐欺師・殺人者の娘と村で迫害されていた過去がある
 また、上記恩田=源治郎の関係上、亀の湯の歌名雄・里子も全て父の同じ異母兄妹と云う関係が成り立つ
 兎に角、副業斡旋を続けていた恩田=源治郎だが、モール元受の倒産で結局利ザヤが得られない事が判り、取り敢えず集まった機械の代金だけ持って別所千恵子の母と逃亡する計画を立てる
(由良・仁礼での乱行は自分を優遇しなかった村に対する意趣返しの意味が強かったが、特に村の有力者でもない別所の娘には確かに愛情を持っていた、と推理された)
 ソコに犯人がやって来て恩田を殺害、判別が付かなくなる様に囲炉裏で顔を焼くと云う隠蔽を図った
(隠蔽には放庵の助言が有った可能性がある)
 この辺の粗筋はどの映像作品でも共通しており、若干の細部に違いは有っても事件の本筋に影響の有る程違いは描かれていない

 さて、恩田=源治郎について、金田一はやはり推理でソコに行き着く
 原作では、周囲の証人から恩田又は源治郎の人となりを調査するに当たり、段々イメージが重なってきたとしている
 石坂版では偶々鏡に蜜柑が1つ映り込み、1つの実体が2つに見える事から閃いた…としているが、尺の関係なのか、説明が雑である…私は何度もこの映画を繰り返し見ているが、この説明については此処の会話だけでは全く理解出来ず、金田一の意気込みばかりが空回りして見えるのだwww
(『謎を解く鍵は蜜柑だったんです』『蜜柑?』『えぇ、詰まり、一人二役』…コレで会話が成立する訳が無いwww)
 古谷版では唄の三羽目を調べに神戸に行ってる最中に里子の殺害を知らされ、ソコから里子も恩田の娘なのでは…と、発展して推理した様だ
 古谷2時間版では、実は恩田=源治郎の確信を持つ根拠が全く描写されずに、イキナリ結論に行き着いているwww
 一番尺が厳しいのがこの作品なのだが、結構酷いwww
 稲垣版でも原作と同じく、調査過程で証人の証言からイメージが重なった旨の説明がある
 JET版でも推理の根拠が明確には記されておらず、源治郎の写真(後述)探しを始めている

 ただ、コレは飽くまでも金田一の心象でしかない
 証拠として2つ提示されるのだが、1つが肉体的特長である『両足の中指が長く、靴下・足袋等はソコから破ける』と云う証言、もう1つが両者の写真照合(所謂首実検)である
 先ず、両足の中指が他人より長い…と云う身体的特徴については、原作では恩田事件当初に気付かれている
 ただし、まだ亀の湯に居た源次郎の親類や妻の『リカ』がその特徴を含めて源治郎の遺体である旨証言しているのだ
 本題の連続殺人の際、別所千恵子の母からも、恩田の身体的特徴として証言があり、磯川の中で『死体は恩田』を確定させる
 ただ、金田一は上記青池の親類筋の証言を忘れておらず『恩田=源治郎』の疑念が強くなる原因にもなった
 また、被害者の足(指の長さについて特徴を確認出来る)現場写真等の資料は岡山県警が空襲で焼けてしまっており、当時検死を担当した村医が趣味で撮っていた写真から確認している
 石坂版では恩田事件当時の証言が無く、中指の写真(村医が所蔵)で恩田事件の被害者が恩田である事が確定するも=源治郎には至らない
 古谷版では源治郎の遺体は当時親類筋及びリカの証言で確定するが、中指の言及は無い
 昭和27年になり、別所母の証言から中指の話になり、死体が恩田である事が判明するが、コレが原作準拠の話に繋がり、恩田=源治郎の疑念が強くなる
 古谷2時間版では石坂版と同じく別所母の証言→村医の写真→恩田の死体確定、しかし=源次郎に至らず、である
 稲垣版では少々可笑しいのだが、恩田事件当時に親類筋から源次郎の遺体である旨の証言は有る
 昭和27年になり、別所母から中指証言が有り、村医の写真で遺体が恩田である事を確定するのだが、恩田事件当時の親類筋の証言が全員の頭からすっぽり抜けて『源治郎が犯人』説のみ有効になる

 その後、金田一は神戸に出て源治郎の写真を求める(閉鎖された寒村では、活弁と云う『芸能界にいる人間』を下に見る風習があり、過去を消す為に青池家では過去の写真は全て処分していた…恩田は写真嫌いで通しており、写真が入手出来なかった…と云う経緯で、事件当時に写真照合が出来なかった、とされている)のだが、原作では活弁としての写真を新聞社から入手する
 コレを恩田と関係した3人の女性に確認して貰う訳だが、由良の嫁である敦子のみ、当時は夫が存命中であった中での不義である事が明るみに出、照会に出て来ない状況であった
 石坂版ではその辺の事はうっちゃってwww照会に参じ、仁礼・別所の母と一緒に写真照会をしている
 古谷版では別所母のみ写真照会を受け、由良敦子は照会を拒否する…しかし、金田一が強引に聞き出し、証言を得る
 古谷2時間版では3人揃った所に等々力が写真を持って登場する
 稲垣版では石坂版と同じく3人揃っての写真照合となる
 JET版でも照合の現場には3人揃っての照合である
 原作では更に過去、由良家が恩田事件で更に没落した際、当時当主の卯太郎が病死し、後家になった敦子と仁礼嘉平が密接になった時期を記している
 その時に、嘉平は放庵から『敦子は卯太郎存命時期に恩田と通じていた』と云う事を教えられ、敦子との関係を絶った…と云う経緯だったが、この話が無くとも狭い村で不義密通の過去が公になったのに写真照合に出て来れる『原作と古谷版以外の全作品』での敦子は少々道徳観念が可笑しいのかも知れない
 上記、嘉平と敦子のエピソードは原作以外に語られていない事も有り、古谷2時間版では文子殺害時には御互いの娘の殺人犯人を御互いだと断定して取っ組み合いに近い喧嘩をするシーンも有った
(他の作品では、原作も含めて文子の兄である勝平と泰子の恋人であった歌名雄が取っ組み合いになっている)

 では、犯人だが…原作・全映像作品・漫画(コレには以前書いたつのだじろう版も含めて)全作品において青池リカで共通している
 当然、恩田事件での犯人もリカである
 動機も基本的に全て共通である
 恩田事件については亭主の浮気(しかも同時に三又…里子の妊娠中と云う意味も含めて4人同時期に相手にしていた訳だ)と、恩田としての詐欺について、更にはモール副業で儲ける事が出来なくなった事でコレに見切りを付けて別所の娘(千恵子の母)と上海に逃げる計画を知ったから…と云うものである
 上記で推理されたとおり、源治郎は別所の娘にだけは愛情を持っていたのである
 で、連続殺人についての動機は、上記の通り泰子・文子・千恵子・里子、そして歌名雄は全て父の同じ兄妹である事が起因している
 歌名雄と泰子が恋仲になり、ソコに仁礼が文子の婿に…と横槍を入れる、ソレら全てが血の繋がった兄妹の間で起きている事であるが、ソレを知るのは恩田事件の真相を知るリカと放庵だけである
 この事を公にすれば恩田事件の犯人も自ずと判ってしまう事もあり、誰にも打ち明けられずに犯行に走った、とされる
 また、JET版でのみ、前回にも書いたが泰子が高慢な性格に設定を変えられて(よくソンな性格の娘と恋仲になったな、歌名雄…)おり、1人赤痣で顔体半分が覆われている里子を蔑む姿がリカの目に入り、殺害動機の一つとなった

 原作では、千恵子殺害の積りが誤って我が子である里子を殺害してしまい、本懐である千恵子を改めて殺そうと、千恵子が故郷に錦を飾る為に建設した、通称『ゆかり御殿』に放火し、ドサクサで犯行を決行、しかし警備している金田一・警察陣に阻まれ逃走中に土手を越えて沼に落ち、溺死している
(コレは読む限り本懐を遂げられずの自殺だったのか、逃走中の事故だったのか、判別がし辛い)
 石坂版では里子を誤って殺した事に気付くと、亀の湯・里子の住んでいた土蔵に千恵子を呼び出し、自白する展開になる
 別の場所で謎解きをしていた金田一と磯川が土蔵にやって来て、更に自白を続けるが、金田一らが放庵の死体確認の為に少し席を外した隙に警察の目を盗んで逃走、沼に身を投げる展開になる
 古谷版では里子の死体が未発見の時点で千恵子を呼び出し犯行に及ぶが、金田一に阻止され、沼に入水する
 古谷2時間版では石坂版に近いが、千恵子に告白後、金田一・磯川が土蔵に来るが特に抵抗も無く隙を突いて沼に身を投げる…ただし、此処で金田一が入水を食い止めている
 しかし、放庵を殺した『お庄屋殺し』の毒草を使い服毒死と云う結果で、やはり命を落としている
 稲垣版では映像化作品で唯一描写されている『ゆかり御殿』とその放火が有り、そのドサクサで千恵子殺害に及ぶが金田一に阻止され、放庵の家に逃走する
 ソコで追い詰めた金田一にまで刃を向け、橘・歌名雄までやって来てやっと罪を自白、源治郎の幻(幽霊? 稲垣版の金田一シリーズは結構幽霊描写が多いのが特徴である)を見て、ソレを追う形で沼に入水する
 JET版では里子の遺体発見後に千恵子を土蔵に呼び出し犯行に及ぶも歌名雄に阻止され、逃走、沼に入水する
 基本沼で死んでいるが、古谷2時間版のみ阻止されたが服毒していたと云う形で二重の自殺を企てていた事が特筆すべき所か
 また、映像作品・漫画版では千恵子を呼び出すのは、ほぼ全作共通だが、自白する積りだけの場合と千恵子の殺害を完遂しようとする場合とに分かれるのも比べて見ると面白い
(更に云えば、金田一にまで凶行に及んだのは稲垣版だけである)

 さて、母親が一連の殺人犯として自殺、妹もその被害者として死亡、父親は実は昭和7年に死んだ詐欺師である事が判明し、更に云い寄ってくれた女性達は皆被害者として死んでいる…と云う正に踏んだり蹴ったりの歌名雄だが、原作では『歌が上手い』と云う設定を持っており、一人上京する道を選ぶ
(千恵子のマネージャーが芸能人として育てる思惑も若干有る様だ)
 コレに伴い、亀の湯は別の親戚筋に譲る事が語られている
 石坂版では磯川が引き取り、岡山の農場専門学校に進学させることにした、と金田一に告げている
 亀の湯の今後は全く描かれていない
 古谷版では事件が完全に決着した後、金田一・磯川から真相を聞き、日和に引き取られる事になる
 亀の湯は特に語られないが、常勤の女中さんも郷に帰る旨云っているシーンが有り、歌名雄もどこか工場で働くと説明が有り、継ぐ気は無い様である
 古谷2時間版ではリカの49日後に1人で東京に出る、と金田一・千恵子に語る…やはり亀の湯の今後は語られていない
 稲垣版では千恵子のマネージャーは出てこないが、千恵子の母が育てると東京に引き取られる
 JET版では岡山の農大に進学するが、磯川他誰かが引き取ると云う描写は無い
 原作では1人或いは東京で千恵子のマネージャーに付いて芸能人生活…となる可能性が示唆されるが、石坂版の『磯川が預かる』と云う結末が印象的だったのか、古谷版・稲垣版と磯川ではないモノの、その位置に居る警察(警部等)が個人的に引き取る結末はソレナリに多い
 古谷一行主演の連ドラ版横溝正史シリーズではこの作品が最後の作品(翌年、第2シリーズが製作されるが)で、日和とのコンビが此処で一段落付く為、こう云う展開も可能と判断されたのだと思われる
 稲垣版でも結局シリーズ最終作となった作品で、以降は稲垣金田一と橘が組んで事件に当たる作品は作られていない

 最後の項目に入る前に特筆すべき事を各作品毎に少々記す
 石坂版では『おりん』が『おはん』に名を変えている…当時、同じ東宝系の映画で『おりん』と云う主役が活躍する映画が配給された事に考慮した事らしい
 また、放庵は恩田事件の直後、放心状態のリカを手篭めにし、以降も生活費を強請っている解釈がされている
(原作では、放庵は色好みで少々独特の倫理観が有る描写だが、特に強請りや強姦等はする性格ではない、とされている)
 また、原作では『グラマー歌手』として有名になった『大空ゆかり』について、特に歌手とは云っておらず、更に芸名も使わずに『別所千恵』で有名になっている
(原作では別所千恵子…何故『子』を抜いたかは不明)
 古谷版では捜査主任が済し崩しに日和となっており、原作に登場する立花警部補は登場しない
 古谷2時間版では石坂版に準拠して恩田事件直後、放心のリカを放庵が手篭めにし、その後も生活費を強請っている描写がある
 また、ゆかりはグラマー歌手であり、帰郷の際に里子に対して最新レコードを土産にしている(他の泰子・文子には特に渡していない事で、村に居た時期に一番親しかったのが里子だった事が暗示されている)
 稲垣版ではリカは放庵に手篭めにはされていないが、恩田事件をネタに生活費を強請られている描写はあった
 また、パートナーの警察が署長と云う立場であり、捜査主任を兼ねる展開になっている(ってか、何処署の署長だったのか…シリーズ5作で常に一緒なんだがwww)
 JET版では泰子の生前最後の目撃者は千恵子となっている
(原作その他全てで、その位置には里子が入っている)

 最後になるが、金田一と磯川が別れるシーンである
 事件が全て解決し、金田一も磯川も全て事件から解放される(原作では捜査主任は放庵の捜索時から村に来た立花であり、磯川は御意見番的な位置に居たので、開放が早かった)と、傷心旅行に出るのだ
 磯川がリカを愛していた(勿論片恋な訳だが)事を見抜いていた金田一の計らいなのだが、大阪で二人は別れる事になる
 その際、金田一は磯川に『リカを愛していたんですね』と告げられ、吃驚した隙に列車が出発、返答を得ないまま別れる所で小説が終る
 石坂版では総社駅(岡山の街)で別れる事になるが、磯川は事件の後処理を手伝う事になっているらしい
 そこで同じく『リカを愛していた』事を見抜かれるが、列車の駆動音でソレが磯川の耳に入ったかどうかも不明であり、やはり回答を得ずに列車が出る…ただ、上記の通り別れたのが総社駅、駅のプレートには『そうじゃ』が平仮名で書かれているのが画面ほぼ中央に大きく映し出される
 磯川の答えを画面に表示する暗示的なラストである
 古谷版ではリカの墓前で別れており、その場で『リカが好きだった』事を見抜かれるが、日和は無言の肯定に近い形で返答している
 古谷2時間版でもリカの墓前で別れるが、この作品だけ『リカを愛していた』旨の台詞が全く無い…と、云うのも里子の遺体発見後、解決前に磯川自身がリカに告白めいた事をしているのだ…当然、成功してはいないのだが
 稲垣版では村境で橘と別れ、人力車で村を出るのだが、その際に耳元でハッキリと『リカを愛していた』旨の見抜きを告げられている…橘が驚いている隙に人力車を出させて回答は聞いていないが
 JET版では石坂版に準拠しており、総社駅で別れ、『リカを愛していた』の問答は列車駆動音で磯川に届いていない風な描写であった
 原作でも印象的なラストシーンな訳だが、石坂版の『そうじゃ』と云う駅名(実際にある地名だし、原作でも確か乗り換えの要所になる大きな駅として登場する)を旨く使った映像美であるラストを作って仕舞ったので、他の作品にも少なからず影響を与えていると思う
 また、上記歌名雄の一件でも書いた通り、古谷版(連ドラ)と稲垣版では日和・橘と組む最後の事件なので、こう云う位置設定が可能だったのだと思われる

 以上、各作品を見ながらメモってただけで8.5KB近いメモになっていたので、ある意味覚悟していたが、文章にしたら30KB超えてるとか、どぉよwww
 取り敢えず2回に分けたが、読んでくれる人が居れば有り難い話である

 さて、次回は…何書くかな
 ミケのレポートも書けてないし、その辺思い出しながら書くか、他のネタが有ればナニか別の記事になるかもしれない
 ソレまで皆様、御多幸を^^

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コメント

どもです。

今回も実に素晴らしい研究だと思います。
とくに石坂版と稲垣版で、由良敦子が堂々と写真鑑定に応じたのはおかしいんでない?という指摘は確かにその通りだと思います。

今までの松茸氏の研究で、ほかの作品では映像化でいろいろ改変点が多くあったのに対し、この悪魔の手毬唄では(つのだじろう版を除けば)あまりそれがないというのも意外でしたね。結構長編だし人間関係も複雑で登場人物も多いのに。それだけ原作の完成度が高いということなんでしょうかね。

前にも言いましたが私が知ってるのは原作小説と石坂版の映画とJET版コミックの3つだけですが、金田一耕助の出てこないドラマまであるなんて全然知りませんでした。
原作小説は私が初めて自分で買って読んだ横溝正史で、それだけに少々思い出のあるお話ではあります。
石坂版映画はつい最近BSでやってたのでちょっとだけ見直しました。やはり金田一は田舎を走り回るのが似合いますね。余韻の残るラストはやはり一番好きです。しかしあそこは総社駅だったのか。総社は行ったことはあるけどバイクだったんで駅はよく知らないし、侘しい田舎駅だなあと思ってググったら、今も大して変わらないような…(地元の方に怒られるかな)。
JET版は他の作品もいくつか持っていますが、やはり横溝正史の世界観がよく出てますよね。見直してみましたが、これのラストも少し石坂版に近づけている気がします。

ちょっと話が変わりますが映像化された金田一耕助でのどに引っかかった魚の骨のような、どうにも困ってしまうような作品であるところの「金田一耕助の冒険」について、松茸氏はどういう印象がおありなのかできれば一言聴いてみたいです。
れっきとした角川映画の金田一耕助作品でありながら、演じるのが何故か石坂浩二でなく古谷一行で、そのくせ横溝先生自身をはじめ脇役やゲストにとんでもないキャストを配し、お話もスラップスティックというにはあまりに支離滅裂(まあ大林監督らしいとはいえる)、さらに金田一自身が事件をよりややこしくさせてあろうことかそれを楽しんでいるという前代未聞のバカ映画。ひどい映画でとても人には勧められませんが、なぜか私は嫌いになれません。なんででしょうね?

でわでわ。

投稿: あひる | 2016年8月20日 (土) 21時44分

Shot>あひる提督
 コメント感謝します
 今回も過分な御言葉有難う御座います
 返信遅れまして申し訳ありません

 私もNETをソレナリに検索してるんですが、金田一作品の小説・映像化作品・漫画版の其々感想や解説は結構見付かるんですが、横断的に比較したサイトって見かけないんですよね…
 総合的に全作品を網羅しているサイトは有るんですが『誰版はこうだったけど、誰版はこうなってる』的な書き方したサイトは全く見付かりませんでした…そう云う事やる奴って珍しいのかね…まぁ同じ話を並列して何本も見比べるってのは在る意味、キが違ってるかも知れませんがwww

 さて本題
 まぁ昭和中期の話ですから、有る程度の貞操観念が昭和後期生まれの私では元が違う可能性も有りましたが『夫が存命中に他の男と不義密通』ってのは充分醜聞だと思うんですけどねぇ…
 男性社会であった事も含め、『二号さん』『お妾さん』と云う文化については、病院坂の時にも若干調べた通り『その方及び子供達も含めて経済的に全面的な保障をする』と云う意味で合理的な制度だった(特に終戦直後は男性が一時的にグッと減りましたし)訳ですが、女性の場合はねぇ…

 そうですね、私も結構見比べて、思いの他改編点が少ない(その割に2発言で30KBも使ったのは無駄に説明が多かったからだな…反省すべき所だな)のはナンか逆に新鮮でした
 少なくとも事件の概要としての被害者・犯人・殺害方法・動機・犯人の末路等、殆ど同じで(一部違う作品は有りますが)後は演出と役者さんの演技だけ…と云えば云い過ぎかも知れませんが、それに近い感じは覚えました
 やはり動機面で『近親婚を防ぎたいけど、ソレを云うと過去の犯罪も全て暴露する必要が出来る』と云うのは犯人側からすれば二進も三進も行かない話で犯罪動機として誰でも納得出来る…と云うのが改編されない一番の理由ですかね

 あぁ、金田一不在の金田一原作作品は今回の『火曜日の女』シリーズでwikiを見ると犬神家(全6回)・手毬唄(全5回)・三つ首塔(全6回)の3作が作られた様ですね

 原作小説は以前の八つ墓村以降ブログのネタに映像作品と併せて…と云うケースで読むのがメインですからナンとも俄かも良い所なんですけど、今、本陣を読み始めて、完読した悪霊島を比較材料を集めてます
(今回は映像化作品全部見た…まぁ鹿賀版映画と鶴太郎版TV、古谷2時間版の3本しか無いですが…JET版漫画も入手しましたw)
 
 そうですね…基本的に金田一=田舎の寒村、明智=都会のイメージが有るから、年代的に明智の方が古い話なのに垢抜けたイメージが強いですよね
(まぁドラマで古谷一行や石坂浩二が畦道走り回ったり自転車の所、天地茂や北大路欣也が自動車運転してるイメージが有りますしねぇ)

 手毬唄に戻って、磯川警部との別れるシーンは原作もニュアンスは違えど有りましたが、やはりソコは巨匠、市川崑監督の『総社駅』の駅名を使った映像ならではのラストは印象に強いです
 原作では磯川警部に金田一の台詞は聞こえていて吃驚した隙に電車が出る…だったと思いますが、取り敢えず答えておらず、映像作品でシッカリ答えたのは古谷版、答えるまでも無くリカの生前に告白めいた事をしたのが古谷2時間版ですから、この2つが異色なんでしょうね
 今は総社駅って寂れてるんですか…確か、他の岡山編の作品でも出て来た気がするんですよね、総社…何処だったかなぁ
 JET氏はクイーンもドイルもコミカライズされてますが(ソッチは読んでませんwww)、金田一は原作の雰囲気が充分出されてると思います…偶に映画・映像作品に影響された描き方になる時も有りますがwww
 横溝ブームが去って結構経ちますが、まだ描いて欲しい作品は結構有りますね

 で、『~の冒険』ですか…確かに批評がし辛い作品ですねぇ…DVDは一応持ってますし、当然何度かは繰り返し見ました
 横溝氏公認のセルフパロですしねぇ…www
 劇中で話題になったけど、作中未解決事件の『瞳の中の女』事件を中心に、他の金田一ネタを随所に散りばめたスラップスティック…ですよねぇ
 否定か肯定か、と聞かれれば『娯楽映画としては肯定、金田一作品としては否定』ですかね
 確かに金田一は私も良く書きますが、警察等から情報だけは入手して、完全に解決し切るまで推理を披露しない…故に事件は完結しており犯人は本懐を遂げてる事が多いです
(八つ墓村とか、その所為で事件の真相解説の場で磯川警部が何度苦い顔をしたか…事前に警察と連携してれば防げた可能性の高い犯罪も有った訳で)
 更に、犯人を捕まえ切れずに自殺を許す事、或いは自殺する事が予測されてるのに敢えて防がない事等が良く云われ、wikiで見ても等々力警部などはソレを『金田一のヒューマニズム』と半分肯定してる面も有ったと記してますが、本来、探偵とはソレでは不味い訳です
(本懐を遂げて自殺、では犯人の一方的な勝ちと見ても良い訳ですから)
 ただ、『~冒険』では『コレから更に面白くなる予感がします』と事件の続きを促す様な発言をして、最後は自ら死体を飾り付ける様な場面で等々力警部に拳銃で狙われ、発射音で『完』…コレでは金田一の推理ドラマとしては認められないでしょう

 ただ、パロディ映画として、金田一の上記の様な探偵失格の部分を強調して映像化するとか『あぁ、此処まで酷くないけど、確かに金田一ってコンな一面も有るよね』と笑って見れる程度の『心に余裕の有るFAN』が笑いながら見る程度の作品、としてはアリかも知れないな、とは思います
 作品の好き嫌いを云ってしまうと、個人的に田中邦衛と云う俳優さんが余り得意では無いので、その面から余り好きではないし、上記の通り娯楽作品であり、金田一の推理作品では無いと云う観点からも、余り得意では無い部類になるかと思います
 ただ、上記の通りパロディ映画として『そうそう、金田一って警察の情報からコンな事考えて推理してても可笑しくないよね、そう云う奴だよな』的な笑いを交えて見る意味では、コレを好きな人を『だからお前は金田一FAN失格だ』とはとても云えません
 俳優陣が好きな絵面(等々力警部は誰が良いかなぁ…www)であれば、『サイコ』における『新サイコ』とか、『ホットショット』『裸の銃を持つ男』的なステレオタイプの映画に対するパロディは好きですし、多分、娯楽映画として好きになったかとは思います

 では、また^^

投稿: 毘沙門天松茸 | 2016年8月22日 (月) 12時08分

返信ありがとうございます。

一つ思ったんですが網羅的に紹介しているサイトが少ないのは、やはり推理小説だけにネタバレは危険だからかもしれませんね。

近親婚というか近親姦は横溝小説にはよく登場するテーマですよね。いかにも田舎の因習が多く残る地方での怪奇事件にマッチした暗くて重い動機ではありますが。
まあ金田一耕助シリーズでも「病院坂の首括りの家」は全編確か東京だし、あと私が覚えている中では「幽霊男」が確か都会が舞台で、金田一がホテルのボーイに変装しているなどとちょっと想像ができない場面があったと思います。

JET氏の他の作品では「オペラ座の怪人」を読んだことがありますが、これも結構面白かった覚えがあります。


さて、「金田一耕助の冒険」ですが、松茸氏の記事を読んでいるうちに懐かしくなってようつべで角川映画のCM集を見ていたら出てきたので思い出した次第。おそらく普通の金田一作品ではないし、そもそも比較対象が他にないですから松茸氏が取り上げることもないかもなと思って話題に出してみました。
私も総評としてはヒドい映画だと思います。キャストの恐ろしく無駄な顔ぶれだけは笑えましたが、それだけにかなり残念だなとも思っています。
一番まずいと思うのは、「金田一シリーズで事件が結局最後まで行きついてしまうことが多いのは金田一が事件を楽しみながら解決しているから」って身もふたもないことを金田一自身に言わせてるとこ。世の中そんなに物わかりのいい人ばかりじゃないんだし、それだけは言っちゃダメでしょう。下手すると「殺人が起こる話を楽しんで読む」ミステリファンへの排斥に取られそうですよね。
映画としても、正直私は大林監督って巷で騒がれるほどすごい大監督とは思えないんですよね。「時をかける少女」は面白かったと思いますが、それ以前の「ハウス」や「ねらわれた学園」のあのかなり安っぽい合成で作られたイメージや、本気なんだかギャグなんだかよくわからない中途半端でマンガチックな演出は、監督の脳内の画とホントに一致しているんでしょうか?だったら嫌だなあ。まああれ以後の大林映画ってほとんど見てないので最近ではどうなのか知りませんが、Wikiによれば「金田一耕助の冒険」に出演した田中邦衛がこの映画に呆れ果てて「みんなよくやるよ」とこぼし、以来使われたことがなかったとか。うん、気持ちはわかる。見るのも大変だったからやるのはもっと大変だったろうな。ひょっとしてそれが嫌で映画の定番の石坂浩二に断られて、TV版の古谷一行が金田一をやる羽目になったんでなかろうか。

まあ長々と書いてしまいましたが、楽しい話題をどうもありがとうございました。
でわでわ。

投稿: あひる | 2016年8月24日 (水) 21時43分

Shot>あひる提督
 更にコメント感謝します

 ネタバレですか…まぁ私の記事は既にネタバレの域を超えて『私の記事で事件の概要丸判り』状態になってますからねぇwww
 ただ、結構ネタバレサイトは有る様で…まぁ昭和中期の本格推理ですから、今から読み始める方以外はある程度知ってる事が前提で書いてる記事も散見しました
 ソレでも横断的に比較してるサイトって無いんですよねぇ…
(総評としての感想で『私は古谷一行より石坂浩二』とか『いやいや、稲垣吾郎も悪くは無かった』とか云う寸評は有るんですけどね)

 そうですね、近親姦は乱歩も横溝も結構頻繁に使った題材ですね
 村社会では『狭い地域で権力・財力を流出させない為に』暗黙の了解的に有って可笑しくなかった話ですし…まぁ科学が進んで(昔も経験則的に判ってたと思いますが)近親姦で出来た子供は虚弱や精神障害を持って産まれる確率が上がる、と証明された訳ですが

 病院坂は読みましたが幽霊男はまだ読んでないです
 取り敢えず、今回本文に記した『磯川と等々力の邂逅』と云うのが『貸しボート十三号』収録の『堕ちたる天女』が唯一っぽい話も聞いたので、コレ(『貸しボート~』を探して)を読みたいと思ってます
 等々力警部の登場する所謂『東京編』は結構短編~中篇が多いらしく、映像化作品って結構少ないんですよね

 JET氏は原作のFANやってる小説のコミカライズ…と、自称してたと思いますので、やはり原作つき作品は雰囲気出すのが旨いんでしょうね

 さて、『~冒険』
 確かに原作に同タイトルの冊子はありますが、短編集のタイトルであり、一貫したストーリーのある代物では無いですからね…多分、独立記事にはしないかなぁ…と、自分でも思います

 そうですね、金田一が事件を楽しみながら解いてる所為で、犯人は本懐を遂げてしまう…と云うのは、確かに金田一本人の口から云わせるのは不味いですが、金田一シリーズの特に長編を数本も読んでれば一度は思う事かもしれません
 楽しみながら…とまでは云わないまでも、もっと早期に警察と連携を取って置けば途中から未然に防げた、或いはもっと早く犯人を『生きたまま』逮捕出来たかも知れない…と
 まだ八つ墓村・病院坂・獄門島・手毬唄・悪霊島程度しか読んでない私ですら、少々その様に思う所は有りますから、もっと本数読んでる人は多分一度二度では無いんぢゃないかと思いますが…
 パロディってのは基本、風刺ですから、結構辛口です
 
 敬意を持ってオマージュ・インスパイア等と云う云い方をしても、基本本筋から外したifの世界ですから、作者は『原作ではこうだったけど、こんな風に主人公が動けば結末も変わったんぢゃないか?』で始まる訳で
(プレ・アフター・サイドストーリーについては、また話が変わりますが)
 故に、読者が一度は必ず思ったであろう事を敢えて主人公の口から云わせる…と云うのは、まぁパロディの許容範囲内では無いか、とは思います
 だからって前発言で私が書いた『サイコ』と『新サイコ』に関して、『元ネタとパロディ』であって『同じシリーズ』とは絶対にしないのと同様、『~冒険』は『金田一シリーズ』では無い、と思いますが

 基本パロディってのは『判ってくれる人が笑ってくれれば良いや』的な側面がありますから、元ネタFANが激怒する物って結構ありますよ?
 ソレこそ一般ギャルゲ・ラノベ等の18禁パロ同人なんか、好んで読む人間も多いですが、徹底して忌避する人種もソレナリに居ますから
 そう云う意味では公式パロと云っても良いのかな(横溝氏御大や角川春樹が出演してますしねぇ…)、と思います

 大林監督は取り敢えず『転校生』『時かけ』は評価してます
 他は基本実車映画ソノモノを殆ど見てないし、あまり興味も無いんですが…確かに田中邦衛が呆れた話やその時に行った『よくやるよ』が実際に映画に編集されて使われてる話等は私も読んでます
 キャスティングとしては、推測では有りますが、上記の通り『~冒険』は『パロディであって、同シリーズではありません』から、角川のシリーズに含みたくなくて石坂浩二を外した…けど、『金田一である事を説明不要で受け入れて貰う』為に当時は双璧となっていた古谷一行を使いたかった…と、云う事も考えられるか、と
 個人的な推測ですけどねwww

 私も自分では取り上げる事の無い映画の話でしたので、楽しかったです
 では、また^^

投稿: 毘沙門天松茸 | 2016年8月25日 (木) 12時02分

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