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2015年7月5日 - 2015年7月11日の記事

2015年7月 7日 (火)

八つ墓村、読破(ネタバレ満載)

 と、云う訳で、最近読んでるラノベシリーズを放っぽり出して読み始めた横溝正史の小説である

 先日、古谷一行の金田一耕助シリーズDVDコレクションの購入開始時に寸評を入れた訳だが、その際に『平成27年5月現在で一番多く映像化された横溝作品だが、原作通りに作られた事が1回も無い』旨の記述をしたと思う
 で、その事に興味を持ってブックオフで文庫本を買った訳だが、ソレを読み切ったのだ

 さて、その時の記事から、当時、他のWEBやwikiから仕入れた情報で以下の様に書いたと思う
 この作品は原作小説でも特徴的な部分が大きく2つ有るらしい
・金田一が空気である
・映像化に合わせて登場人物や関係性を省略・簡素化している

 …と、云う事でネタバレ満載でこの辺りを追求して書いて置きたい
 これから読みたい人や映像は…もぉ公開して何年も経ったモノだし、良いよね?
 なお、比較は原作・渥美版('77)・古谷版('78)・豊川版('96)・JET版(漫画:'96)の5作でのモノとなる
 多分、鶴太郎版と稲垣版も見てはいると思うが、覚えてないのだ

 先ず、舞台であるが、基本的に同じ(と思う)
 岡山と鳥取の県境にある寒村…と、原作では書かれているが、どの作品でも寒村と云う意味では全く変わらない(諏訪弁護士の事務所が原作だと神戸だが、渥美版では大阪、古谷版と豊川版、JET版では明記されてなかったかも知れない)

 時代的には、渥美版だけ'70年代に設定されており、これは日本航空とのタイアップの関係で、主人公の職業を空港の航空機誘導員として航空旅客機を映画の大画面に出さねばならなかった故の変更である
 …ってか、何で横溝作品の映画化で航空会社とタイアップしたか、その時点で松竹の気が知れんwww

 主人公;寺田辰弥は豊川版では石鹸工場勤めで、渥美版では上記の通り、空港勤めであり、この2作品では真っ当なサラリーマンである
 原作及び古谷版ではヤミ品を流すブローカーで生計を立てており、JET版では定職についてないと記載されている

 金田一が村に来た切っ掛けも、原作・JET版では最後に語られるが、西屋の頭領:野村荘吉が、その弟:達雄の死に疑問を持ち(ってか、原作ではかなり本気で疑っている人物がいる)、その調査に金田一を呼んでいる形である(つまり、今回の事件とは別件で滞在していた訳だ)
 豊川版では辰弥を探し出した諏訪弁護士が、今回の件にキナ臭いモノを感じ、金田一に調査を依頼すると云うモノである
 渥美版でも、諏訪弁護士からの依頼となっているが、こちらは殆ど諏訪弁護士の個人的な依頼になっている
 即ち、自分の事務所が現場となった殺人事件について、腸内で溶けるカプセルに毒が仕込まれていると云う事で、容疑は晴れたが、このままでは気分が悪い、と、この殺人事件に関しての調査を依頼した…と云う事である
 まぁ一応、依頼に沿って被害者の村に来て調査を始めたら、弁護士事務所の一件を発端にした連続殺人事件に切り替わったので、併せてその調査を…と云う事らしい
 そう云う観点で来ているので、久弥の死亡時も現場に居ないながら死体の司法解剖を岡山県警に進言したりと出来たのだろう
 しかし、結局やったのは事件がほぼ終了してから村人に事件の解説をした事だけであった…以前の発言や後述もするが、この映画だと最後に多治見邸宅が全焼するが、その後、ドサクサに紛れて村からは消えており、ラストに諏訪弁護士事務所で辰弥に実父の偽情報を流したと云って〆る
(まぁ、この作品では辰弥の実父は登場すらせず、外国で成功し、帰国していた癖に村での事件に一切関わらず(劇中、TVで村での連続殺人事件が報道されているにも拘らず、だ)完全に無視を決め込んでいる…この親父も何処か可笑しいのだが)
 まぁ、クライマックスで真犯人の手掛かりを残した春代も、真犯人も鍾乳洞内で死んだので、金田一が村人に解説しないと、辰弥が鍾乳洞から出たところで逮捕or嬲り殺しだったかも知れんので、その意味では一応辰弥の助けにはなったのかも知れんが
 最後になったが、古谷版が一番酷く、本当に通りすがりなのである…村名に惹かれて…と云う事から、その村の謂れなんかも宿で聞き歩く…と、視点が辰弥でなく、金田一だからか、説明してくれる人が居ない所為で非常に無神経な言動が目に付く

 次に典子…本作の真のヒロインについてである
 原作では、登場時こそ月足らずで誕生した、少々知恵足らずで面相も余り芳しくない旨の書き方がされているが、中盤に辰弥に告白(一目惚れらしい)をした辺りから、行動力もあり、常に辰弥をサポートしながらも何故か物語の転機には必ず脇に居るポジションを取り、容姿も綺麗になる(辰弥の一人称で書かれるので、辰弥の心象が変われば一気に美化される…と云う事も有るのだろう、一応、原作では周囲も最近綺麗になったと話を聞く…とあるが、何処までやら)離れ技を見せ、最後には辰弥の子を身篭って結婚…と、云うサクセスストーリーを歩む娘だが、映像化作品では省略される事が多い
 渥美版・古谷版では省略、豊川版では登場するが然したる活躍も無く、JET版でも辰弥のサポート自体はするが、特に恋仲になる等の進展は無い

 次に死亡者数であるが、原作が井川 丑松・田治見 久弥・洪禅(和尚)・梅幸(尼)・妙蓮(濃茶の尼)・久野 恒実・田治見 小梅・田治見 春代の8人が犯人の手によって殺され、森 美也子が鍾乳洞で抵抗された際に負った傷が元で中毒死、片岡 吉蔵と周(西屋の若頭)が辰弥を追い詰めた際に起きた落盤に拠る事故死となるが、渥美版では田治見 小梅が最後に田治見家が炎上した際に家の中に一人仏壇に向かっており、多分焼死したと思われ、古谷版では里村 慎太郎も殺害され、英泉(古谷版では富三造となっている)が犯人と刺し違えている
 豊川版では田治見 小竹も犯人に殺害されている
 片岡 吉蔵と周に関しては、ソモソモ映像化の際に殆ど省略されており、森 美也子に関しては渥美版では落盤による事故死、古谷版・JET版では鍾乳洞内で相打ち(相手は両作品で違うが)となり、豊川版では服毒自殺である

 各作品で特筆すべき点は其々以下の通り
 渥美版は以前の記事にも書いた通り犯人が犯行発覚後に妖怪化して事故死、多治見家邸宅も炎上し縁者は全員死亡している事
 古谷版では全ての事件解決の数ヶ月後に近くの河が氾濫し、村全部が流され、村人は一人も生き残っていない…ドコロか、主人公辰弥も丁度、尼子の財宝を取りに来ていた最中だったのか、一緒に流されて命を落としている
 豊川版では辰弥は多治見の遺産は放棄した状態で元の生活に帰り、里村の兄妹も神戸に帰る事で事実上、多治見家は無くなる
 JET版は尼子の財宝について発見されずに解決し、辰弥は母親の思い出に浸る為に時折来ようと決心する所で話を終える

 次に犯人だが…まぁ此処までの文章を読んでいれば、誰が犯人かは判ると思うが、取り敢えず名は伏せる
 流石にコレは全作品共通である…(まぁ石坂版獄門島の様に色々な事情で犯人を原作から変更する事も有るが、取り敢えず本作では無い様だ)
 ただし、古谷版だけ、諏訪弁護士が共犯・一部実行犯として逮捕される展開になっている
 原作では、財宝を見つけた辰弥・典子夫妻の財宝所有権について尽力し、最後まで辰弥の味方で終わる人だし、渥美版と豊川版では金田一を呼びつける元の依頼人にもなっている訳だが…作品が変わると立ち位置が一気に変わるキャラの最右翼である

 多治見家については、原作では要蔵の血縁は死に絶え、分家筋の慎太郎が継ぐが、慎太郎は結婚せずに辰弥の次男に次を任せたい(長男は当然、寺田:辰弥の養父の姓を継がせる)と云う申し出が有り、決着するが、映像作品では結構まちまちである
 渥美版では血筋は絶え、戸籍上は辰弥が残るが家屋等は全焼、結局土地のみが残る形になるが、達也が相続したと云う話は残らない
 古谷版では再三になるが、村ごと濁流に飲まれてるので、血筋も財産も何も残らない
 豊川版では結局誰も継がなかったんぢゃないかな? 辰弥は元の生活に戻り、慎太郎・典子は神戸に出る…と云う事で、他の血筋は全て絶えた訳だし…宙に浮いた財産はどうなったか、よく覚えてない
 JET版では、慎太郎が継ぐ形で落ち着く…が、一応辰弥にもソレナリの分与を行っているので、円満に解決している

 で、物語の視点だが、原作では上記の通り辰弥の一人称で書かれている
 渥美版・豊川版・JET版もソレに準じており、要所ゝでしか金田一が登場しない…が、古谷版だけ、辰弥と金田一が両方主役級に登場している…シリーズ物で2話目以降、アバンで『僕、金田一耕助です…』から始まる前回までの簡単な粗筋紹介をするのが、このシリーズの鉄則なので、金田一が蚊帳の外だと問題が有ったのだと思う

 あと、森 美也子が尼子の血を引いている…と云う設定については、渥美版と豊川版でその様な語られ方をしているが、他の作品では原作を含め、そんな事は一切書かれていない
 併せて云えば、渥美版では辰弥の父親(母親の鶴子は物語の設定上、村の出身で無ければ話が成り立たないからだろう)の血筋も遡ると尼子の地盤に辿り着く…と、判明した所で金田一が調査を辞めた、と云っている…此処までオカルトにしたなら、しっかりオカルトにすれば良いのに…とも思うが、まぁ可能性と云う事で判断を視聴者に委ねる事でオカルトにしてるのかも知れん

 最後に謎解きだが、金田一も確かに謎を解いていた…が、原作では本当に『何もしていない』のだ
 原作では上記の通り、別件の調査で呼ばれたが、調査を断ろうとしていた(物証が出ない事がほぼ確定していたので、立証不可能と判断した)所に達雄殺しとほぼ同じ手口の連続殺人が起きた事で事件捜査に乗り出すが、犯人をほぼ確定していた(妙蓮(濃茶の尼)殺害辺りで…既に5人も死んだ後ではあるが、時間の進み方から云えば、辰弥が村に来て数日後の話である…その後の展開に結構時間が掛かっているので、日程的にはかなり初期段階と云える)にも関わらず、物証が無いから泳がせて次の殺人を未然に防ぐ・現行犯で逮捕…と、考えて泳がせておいたら出し抜かれて犯行は続くわ、辰弥は吊し上げ寸前になるわ(と、云うか丁度良く落盤事故が起きなければ殺されていた)、本当にナニしに来てんだ、と云った状態である
 村人の暴動を抑えるのに警察権力は役に立たず、説得したのは結局長英(死ななかった方の和尚)である
 まぁ病床に伏していた(それ以前の仏事には和尚ではなく、副住職扱いの英泉が執り行っていた)長英和尚に事のあらましを告げ、村人の説得を依頼したのが金田一なので、全くの役立たずではなかったが、事件に対しては、自分の推理を磯川警部に相談してれば、警察の人海戦術で犯行の防止・現行犯逮捕は出来てた(まぁ残り3人を絶対に助けられたか…と云えば微妙だが)可能性は少なくないと思う
 その所為で、最後の謎解きってか解説の場では、磯川警部の苦い顔が何回出た事やら…
 金田一の推理スタイルが『秘密主義で、警察から情報は仕入れて推理する癖に、警察に推理を披露しない』と云う、酷い云い方をすれば警察に寄生してるだけの推理ヲタクなので、仕方が無いと云えばそうなのだが…
 更に、金田一作品では、謎解きの後、犯人が自殺する事も多く、一部では金田一がソレをも見越してる癖に見逃しているに近い描写もされており、一部では警察(等々力警部)はある意味ソレを黙認している節もあるとか…殺人防御率率が他の創作に出てくる名探偵に比べて著しく低いのも、この辺りに起因しているとの事である

 最後に小竹婆ぁさんであるが、前述したとおり、渥美版では最後に焼け死に、豊川版では犯人に殺されている
 古谷版では小梅殺害後は全く登場しなくなっており、生きてるだろうケド状況不明のまま終了する(尤も、前述の通り事件後数ヶ月で村全体が流された時に死亡してると思うが)
 では、原作はと云えば、小梅殺害後、一気に腑抜けて仕舞うのだ
 一卵性双生児は片方に重大事が起きるともう片方にも影響がある…と云う様な記述がされるが、それ以前に生まれてから両人とも嫁にも行かない行かず後家で家の内外を取り仕切っていた相方が目の前で惨殺されたのだから、仕方が無いとも云えよう
 ちなみにJET版でも腑抜けた小竹婆ぁさんが1コマだけ描かれている

 まぁ…取り敢えず、筋が似通ってる癖に違う5つの話を全てネタバラシしながら書いているので、支離滅裂になってる部分も有るかも知れんが、勘弁して欲しい
 最後に、原作をそのまま映像化出来たら見たいか…と云えば、鍾乳洞探索の部分(特に久野医師の遺体発見の下り)は編集で短くしても良い気がする…まぁソレだけ広大で蟻の巣の様な迷路になってる、と云う事を云いたかったのかも知れんが、読んでて疲れる部分でもあった
 まぁ昭和前~中期の作家だけに、表現も少々古く、読み易くは無かったのも事実であるが

 取り敢えず、思い付いた所は一気に書き上げた積もりであるが、何か書きそびれが有ったかな…
 まぁ個人的な解釈・感想と云う事で流して欲しい

 次回はナニ書くかな
 ネタは常時探しているので、適当に見繕う積もりである
 ソレまで皆様、御多幸を^^

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